表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女は王女になる!  作者: 綴
王宮編
12/48

相談役の授業

第十二話です!

今回はまたまた新キャラ登場です!

「なるほど、よく似ていらっしゃる。貴女様がアルシェラーサ姫ですな。瞳の資質も...」


 ジェナード・ハメル・ユーハニーシャは懐かしそうに瞳を細めて呟く。


「私、母にそんなには似てないと思うのですが...」


 玻優が首を傾げて言うと、ジェナードは笑った。


「はい。そうですね、リフェミア様にはあまり似ておりませんな。似ていらっしゃるのは貴女様の祖母君、ファラセーナ様です。とても素晴らしい君主であらせられた。...老人は感傷深いからいけない。さあ、授業を始めましょうか。姫様は我が国が何を信仰しているのかしっておりますかな?」


 ジェナードはそう言って授業を始めたが、玻優は首を横に振った。


「星空です。姫様。我が国は古来から星空を信仰しているのです。魔法を使うために必要な魔力は星空にいらっしゃる女神、シエラーナ女神が与えてくださっているのだと伝承にはあり、それを信仰するために王家が星空教を作り、国教となっております。姫様の名前も星が入っておりますな。アルシェラーサの愛称はシエラ。シエラとは星の別名なのです。それから、シアは空。我が国シエラシアとは星空という意味になります。」


 ジェナードはそう穏やかに微笑みながら、玻優に説明した。玻優は感心したように頷く。星空を信仰しているからって国の名前を星空にするなんて、随分安直だな。でもそーいや、母国の日本も日の出ずる国とかで日本だし、神様も太陽神だったから国の名前なんてそんなものかと自分で勝手にそんな風に思って納得した玻優なのであった。


「年に一度の星空祭は一週間続くのですがね、あれは本当に楽しい祭でございますよ。姫様は王女としての務めが多々ありますが。」


「そうなの。せっかくなら楽しんでみたいわね。」


 玻優が残念そうに言うとジェナードがくすり、と笑う。


「姫様が王女修行を頑張られたら私から陛下に頼んでみましょう。姫様が祭を楽しめるように。」


「本当に?ジェナード様、ありがとう!」


「私のことはジェナードとお呼びください。姫様は威厳というものが足りません。ただの王女ならそれもいいでしょうが、姫様は世継ぎの王女です。他者に侮られるようなことをあってはなりませんよ。どうしても呼び捨てることに抵抗がありますならば、役職でお呼びなさい。私の場合は相談役などで呼ばれては困りますが。」


 ジェナードは穏やかに諭すように言う。玻優は頷いた。自分に威厳が足りないというのは思っていたことだからだ。


「わかったわ。」


 それからもしばらく授業は続いたのだった。


 ジェナードの授業が終わり、しばらくしてからもジェナードは玻優に様々な話を聞かせた。


「姫様。エント・シュライツ卿の実家は、公爵家です。現公爵も宮廷の重鎮です。また、シュライツ公爵家は王家を代々守護してきた家でもあるのです。陛下の信頼も厚い。だからエント卿の父君シュライツ公爵に陛下の

 姪姫、エミリア様が降嫁されたのですよ。」


「へえ。すごい家なのね。」


「ジークリヒト・メロウシア卿のご実家も公爵家です。現公爵は宰相ですからね、貴族としては1番の家柄といえるでしょう。代々王妃や宰相を出し続けておりますしね。...姫様。メロウシア公爵は...いえやはりやめておきましょう。」


 ジェナードが言いかけた言葉が気になった玻優だが、聞くのはやめた。この授業を受けただけでジェナードのことを信頼するようになっていたから、ジェナードが言わないということは玻優は知らなくていいということなんだろうと思ったからだ。


「次はアリアス・サシエラ・イリアフィード嬢ですが、ご実家のイリアフィード伯爵家は伯爵家でありながら公爵家のような家格を持つ家柄なのですよ。王宮のどの派閥にも属さない中立派と真実言えるのはイリアフィード伯爵家だけだと言っていいでしょう。...姫様の側近の家ぐらいはわかっていた方がいいと思いましたので、お伝えしました。このことをお忘れなきように。」


 ジェナードが言うと、玻優は複雑な表情を浮かべる。あの三人が、本当に玻優を王女として尊敬していて仕えてくれているかといったら違うと思うからだ。早くあの三人に王女として尊敬されるようになりたいものだ、と玻優は一人で思ったのだった。そんな玻優をジェナードは微笑ましく見つめる。


「シエラはどうだ?」


 玻優の前を後にしてからからジェナードは国王のもとに行った。国王が開口一番に聞いたのがその言葉だ。


「陛下。姫様は可愛らしいお方ですなあ。表情がころころ変わられるし、よく笑われる。なんかこう新しく孫が出来た気持ちです。」


「シエラは私の孫だ。勘違いせぬよう。」


「陛下。孫馬鹿もよろしいですが、甘やかしてはなりませんよ。甘やかすのは姫様のためになりませんからな。陛下ときたら昔から甘やかしすぎるのだから。御子達にもそうでしたな。最終的には御子達の望むような結末を与えて差し上げた。」


 ジェナードはしみじみと言った。国王はため息をつく。


「その割には私が子供らに好かれないのは何故なのだろうな。」


「普段の接し方では?...リフェミア様は貴女様のわかりにくい愛情表現を理解していたようですがね。あの方は聡いお方だった。一をいえば十を理解するようなお方。あんな方は滅多におりますまい。アルシェラーサ様にもその片鱗があるようですが。」


「見所はあるということか。ならいい。折角連れてきたのに見所もない素質もない馬鹿では苦労が水の泡だからな。」


 国王はそう言って一人頷くのだった。ジェナードは国王を呆れたように見る。


第十二話如何だったでしょうか?

新キャラジェナードさん、

中々私は好きなんですよね。

みなさんはいかがでした?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ