◇二十五歳の夜 その2◇
よろしくお願いします。
「おぉ。今日は早かったなぁ。」
茫然自失の俺にいつもと変わらぬ口調で親父が言った。
その親父のすぐ隣に横たわっている少女は意識がない様子だ。
顔に少しかかった髪といい、整った顔立ちといい、
なんと言うか絵になっている。
美少女と呼んで異論がある者はいないだろう。
ハーフかな?
ちょっと場違いな感想を抱いてしまう俺。
そして、着ている服は元々露出度高めな上に、
それはもう絶妙な破れ方で、
大事な部分だけキッチリ見えないのが
かえってエロい感じをそこはかとなくかもしだしている。
スタイルも抜群だ。
『これが世に聞くロリ巨乳というヤツか。侮れん。』
俺の心に戦慄が走った。新たな趣味に目覚めてしまうのか?
いや、落ち着け、、俺は真性の貧乳派。
これしきの事で心揺れたりはしない。
『貧乳好き』がオリンピックの正式種目であったなら、
少なくとも俺は強化指定選手くらいにはなれるという自負はある。
巨乳派に屈したりはしない!
そう自らの心を厳しく律し、再び少女を見る。
トップスはへその付近から大きく裂け、
バストトップがギリギリ見えないラインまで破れている。
そして、あろうことか乳の下の部分が文字通り溢れていた。
『クッ!下乳だと!!!』
胸の谷間(上部)はグラビアなどで見慣れているが、
生下乳は、通常、物理的にシャツを脱ぐ刹那にのみ垣間見える
いわば『瞬間の芸術』
彼女いない歴25年の俺には未知の世界。
俺の中で『大切な何か』が壊れる音がした気がした。
何か良く理解ない敗北感に打ちのめされた俺は、
寂しげな笑顔を浮かべ、出来るだけ優しい口調で親父に語りかけた。
「取りあえず警察に行こう。」
「警察?財布でも落としたのか?」
いや、いくらなんでもその返しはないだろ!
そう思いつつも俺は冷静に続けた。
「親父、、正直に話してくれ。その娘はなんだ?」
「ん?天使?」
「有罪!有罪確定!!警察行くぞ!!!おらキリキリ歩かんかい!」
俺は親父の腕を掴み、引きずって行こうとしたが、
無駄に体格の良いこのおっさんはビクともしない。
「おいおい。そんな引っ張ったらシャツが伸びちゃうじゃないか。」
「シャツとかどうでもいいだろ!自分が何したか分かってんのか!」
全く動じない親父に俺は激昂して怒鳴る。
考えてみたら、俺が感情を親父にぶつけたのは恐らく、初めての事だった。
不意に親父が真面目な顔になる。
「確かに、その娘には悪い事をしたなぁ。」
その言葉は深く重く俺の心に刺さった。
どこかで俺の勘違いであって欲しいと願っていたから。
押し黙っている俺に親父が続ける。
「今になって冷静に考えると、酷い事をしてしまったと思うよ。
言い訳に聞こえるかも知れないけど、本能に逆らえなかったんだと思う。
そのせいで、取り返しのつかない事をしてしまった。」
しんみりと話す親父。初めて見る姿だ。何か言葉を掛けようと思案したが、
俺の拙い人生経験からでは、何も見つける事が出来なかった。
しばしの沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのは、意識を取り戻した少女だった。
「取り返しのつかない事なんてありませんよ。
むしろ、私は感謝しているんです。」
あまりにも意外なその言葉に俺は状況がつかめなかった。
そんな俺を尻目に会話を始める親父と少女。
「おぉ。気がついたか。」
「はい。ご迷惑をおかけしました。」
「いや、元を正せば俺のせいだし、、」
「そんな事はありません!悪いのは私欲に囚われ
好き放題ハッチャケてる方々です!
どうか、お力をお貸し下さい!」
「う〜〜〜ん。でもなぁ。これ、人間の身体だし、、」
「ちょっと待てぇい!!!」
俺は思わず叫んだ。二人の関係性が全く見えない。
「突然大きな声出すなよぉ。驚くじゃないか。父さんそういうの苦手だぞ。」
「いや、一体なんの話をしてんだよ!大体、その娘は誰なんだ?」
「あっ!申し遅れました。私カトリーナと申します。
北の方で天使的な事をやってます。」
「彼女はヴァルキュリアなんだ。」
「この国で言うところの死神みたいなものですね。以後、お見知りおきを。」
「お見知りおきをって、、」
全く事態をつかめない俺。コイツらは何を言っているんだ?
「昔、かぁさんと旅行に行った時、現地を案内してくれてな。
いやぁ懐かしいなぁ。」
「なぁに言ってるんですかぁ。こちらではまだ20年くらいのもんですよねぇ?」
「いやぁ、人間の20年って割と長いもんなんだよぉ。」
「へぇ〜そういうもんなんですねぇ。」
和やかに話す二人。当然俺は蚊帳の外だ。
なんのドッキリだよ!
訳が分からない。
「おい!俺にも分かる様に説明を、、」
「チッ!まさかここまでくるなんて!」
俺の言葉を遮る様にカトリーナが叫ぶ。
先程までとは打って変わって険しい表情だ。
窓の外を睨みつける視線は猛禽類を思わせる。
というか、瞳がなんか金色になってるんですけど!?
えっ?ナニコレ?
「一応、結界張っておくかぁ?」
呑気な口調で親父が尋ねる。
「お願いします!!」
言うと窓を突き破って、外に飛び出すカトリーナ。
「おい!ちょっと!」
驚く俺。
我が家は解体屋を営んでおり、
一階が工場で二階が住居である。
つまり、彼女は『二階の窓』を突き破って外に出たのだ。
俺は慌てて窓に駆け寄る。
そこには、空中に立っている。少女が居た。
明日はフェイト観に行くので、更新はできません。
なので、本日2回目になりますが、投稿させて頂きます。
よろしくお願いします。





