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第39話 運命の告白

 そうして、体調も回復した俺はついに復帰後2回目の登校をした。


 「おーおー! 凪人や、また来たんか」

 

 「本物か? すぐ休んじゃってよ」

 

 トウジとシンゴだ。


 「なんか顔つき変わったか? 凪人。ちょっと大人になったっていうか、親父みたいだな」

  

 「どういうことだよ……。そんな老けてるかよ」

 

 「違う違う。渋くなったって意味だよ」

 

 「そうかい。今日からはしばらく休まなくて来られそうだよ」

 

 「おーそれはよかったよ!」

 

 「てかさ、先週さ凪人、お前を探していた女の子いたぞ」

 

 「誰? 何組?」

 

 「1組の誰だっけ? 飛澤だっけ? そんな苗字だっ

た気がする」

 

 「とびさわ?」

 

 そういや、宮島で会ったあの人もそんな苗字な気がするな。

 明美さんっていうのは覚えているけど。 

  

 「まあ、また会いに行ってやれよ」

 

 「モテモテだねー凪人くん」

 

 「別にちげーだろ」


 そして、今日一日中は授業を受けっぱなし。

 まだまだ、慣れないな。久しぶりすぎて退屈。

 

 そして終わりの会も終わって静香と一緒に帰っていた。

 

 「ねえ、凪人くん今さらだから体については聞かないよ。でもさ、一つ聞いていい?」

 

 「いいけど何?」

 

 「凪人くん、あの時私のこと好きだって言ってくれたでしょ? あれってシオンさんを助けるための方便?」

 

 はは、やっぱり橘静香は化け物だよ。どうしてこうも俺の気持ちを読めるのか。

 

 「ちげーよ。全部本心だよ。嘘つく必要ねーよ」

 

 「……ずっと好きだったよ。これは本当だよ」

 

 ………………………!!!!

  

 ま、まずい! いやまずくないけど勢い余って言っちゃったよ。

 

 「そっか……」

 

 え? やっぱりとちっちゃったか? 

 

 「凪人くんから告白されちゃったか」

 

 「え?」

 

 「本当は私から言おうと思っていたのになー。私も好きだよ凪人くん」

 

 風がやむ。今なんて言った? こういうときっていつも世界が止まった感じがするよな

 

 「でも、その質問するってどうやっても俺が言うしかないじゃないか」

 

 「ふふ、それもそうかもね」

 

 静香は照れ隠しのように笑うと、少しだけ表情を引き締めた。


 「あそこで嘘つかないさ。これがこいつのためだったとしてもな」

 

 本当だったら何もいないはずの影に目線を落とした。

 俺の影には、俺とは切り離せないものがいる。

 

 「今も? あの時と今ではシオンさんに対する気持ちは違うんじゃない?」 

 

 「……」

 

 即答、できなかった。

 

 「即答できないっていうことはそういうこと?」 

 

 「うん、ごめん静香。俺は静香のことは好きだ。大好きだ。それでも、俺はシオンを縛り付けた。それは俺の罪だ。だから、俺には責任をとる必要がある。それにシオンと共に生きるから今の俺がある」


 「静香、それでもいいか? 理解できないか? 幼馴染よりも半年前にあった化け物を優先する俺を」

 

 「理解できるよ。そうこないと、凪人くんは私をあの時助けないでしょう」

 

 「だからさ、凪人くん、私を彼女にしてくれる? 私も凪人くんのために命を賭けれるよ」

 

 「本当にいいのか? 本当に本当にありがとう静香」

 

 そうして、俺は守りたいものがやっと確かなものとなって手に入った。

 

           ***

 

 翌日、掃除の時間。

 

 「凪人、今日お前どこ掃除?」

 

 「俺体育館だよ。トウジは?」

 

 「俺、教室。えーと静香はどこかなー??」

 

 「いいって! トウジ!」

 

 「冗談、冗談。早くいかないと間に合わないぞ」

 

 「それもそうだな」

 

 よいしょ、体育館掃除は結構楽な部類なんだよな。

 なんせ、モップをかけるだけだもんな。

 てか、体育館ってこんな狭かったっけ?

 どんな感じだったけ?

 宮家がでかすぎるだけかな。

 

 早く終わらせて、静香と帰りて―なー。

 本当に付き合えたんだよな。この俺が。

 そうだ、ショッピングモールも行きてえな、あの日のリベンジで。

 

 ブスリッ!

 ベチャッ! バチャ!

 

 「……は?」

 

 腹に裁ちばさみが刺さっている。

 

 「……が、はっ……」

 

 なんだ、何が起こった? 

 波導は感じなかった。

 いや、まだ殺意を感じれるほど精度は良くないけど、感じなさすぎるだろ。

 

 「……誰? あんた?」

 

 そこにいたのは、自分と同じ中学の制服を着た見たこともない女の子だった。

 右手にさっき俺を刺していた裁ちばさみに、左手には新聞紙か?

 

 「あなたが、木場くん……だよね? おなかを刺したのにそこまで冷静なのは」

 

 「それと、この写真に写っているのも木場くん?」

 

 その新聞には、「宮島での謎の爆破事故」という見出しに、右下の小さな写真の端に俺と、佳紬由さんが写っていた。

 協会が工作したんじゃないのか?

 

 「それは、俺だよ。確かにそうだ」

 

 「なんで、俺を刺した。俺以外にすると殺人だぞ」

 

 「……飛澤明美をしっているだろう?」

 

 飛澤明美。その名前を聞くと今にも思い出す。爆発の煙の匂いとあの熊の導魔の眼光。

 

 「知らないとは言わせない」

 

 少女の瞳に憎悪がみなぎる。

 

 「あんたが殺した、私の姉の名前だ」

 

 もう一度、少女がハサミを握り、俺にとびかかる。

 

 一般人だよな。駄目だ、波導で防御できていない、回避しないと。反撃はダメだ。

 俺は、刺さった裁ちばさみから身を捻り、少女の攻撃を紙一重でかわした。


 「っ……!」


 傷口から血が噴き出すが、俺は必死に痛みをこらえた。

 反撃してはいけない。彼女は一般人だ。

 

 「……やっぱり化け物。もう、腹が癒えている」

 

 「あの人が言っていたのは本当だったのね。人外。」

 

 「日を改めましょう。ここで騒ぎを起こすのは良くない」

 

 「9月28日。場所は万博記念公園。……そこがあんたの死に場所よ」

 

 「ちょっと待て! その力はどこで手に入れた! おい、飛澤!」

 

 少女は、 答えなかった。答えるはずがないか。

 なぜだ、なぜ飛澤が波導を扱えていた。

 最後の一撃は紛れもない、波導を纏っていた。

 

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