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使徒と遊戯のラグナロク  作者: 愚者
プロローグ その壱

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1/15

プロローグ―神の遊戯―

神の力を与えられた人間が織りなす群像劇‼

プロローグ―神の遊戯―


道楽




 青年は気が付くと黄色い雲の上で寝ていた。

 ゆっくりと上体を起こすと、目の前には一人の長い金髪の人間が立っている。


 その人間は全裸で、全体的に言えば男のような筋肉質な体つきなのだが、男性器がない。だからといって女性器だってない。生殖器というモノが無いのだ。

 男でも女でもない存在、完成された個の存在のように思え、ただ不思議と感じる威厳と敬畏がそれをさらに際立てる。


「私は神だ」


 確かに神と言われても納得できる雰囲気を放っていた。

 夢だからそんなこともあるのだろうと、青年は自然と納得して、次に放たれるであろう言葉を静かに待っていた。


「驚くか、敬うぐらいはしてほしいものなのだがな...まぁ、いい。貴様に話がある」


 神と名乗る者は、肩を明らかに落胆させるが、青年の疑問など受け付けないというかのように、淡々と話を続ける。 


「我らは人類の目に余る行為に清々し、人類を滅ぼすこととした。あぁ、こうして君の前に現れたのは、ノアのように君を救おうなんて思ったわけじゃあない。勘違いされても嫌だし先に言っておくよ」


 じゃあ何故現れたのかと、青年は怒りと不思議が入り混じった瞳で神の目を覗き込む。

 その行為に神は苦笑を一つ残すと、手を前に突き出し手のひらにチェスの駒を顕現さす。

 その行為に青年は驚きの表情をすれど、内面はさほど驚いてはいなかった。

 確かに一瞬驚いたものの、此処は夢のようなモノであろうし目の前にいるのは神を名乗る存在だ。

 何が起きたとて驚きはすれどさほど不思議ではない。


「じゃあ、どうすれば助かりますか?」


 青年は喉を震わしながら掠れる声を放つ。

 その青年の質問にか態度にか満足したのか、神と名乗る者はニタリと口元に笑みを浮かべ、上機嫌に青年の耳に声を響かす。


「それは、貴様や友だけが助かり歴史の始まりを作るアダムになりたいのか?それとも、世界を救うために身を焦がす英雄となりたいのか?」


 その質問は悪魔的だった。

 前者を選べば、世界を見捨てた裏切り者であり多くの人間を見殺しにした自己中だ。そしたら、生きていたとしても何度も何度も思い出し苦しい思いをするだろう。

 だが、後者を選べば過酷な道となり、自分の身や精神が持つかすらも分からない。

 どちらにせよ、幸せは無いのだろう。


 ―どちらも嫌だ!!


「僕は、自分も世界も救う」

「ハハ、ハハハ、アハハハハハ!!いいぞ!人間。だがどうすというのだ?まさか、口先だけの偽善者ではあるもいな。神々の力をはねのける何かが、神々の決定を覆す何かが、貴様にはあるのか!?」


 神を名乗る者は楽しくなってきたのであろう、豪快に笑ったと思えば、口調は徐々に強いものになっていく。

 だが、それが青年の答えであった。

 神だって面白ければ笑い、何かがあれば口調を強めることだってある。

 それだけ分かれば世界を救うには十分だった。


「世界を盤にし人類を駒にした《遊戯(ゲーム)》をするんです」


 その提案が全くもって予想していなかったのか、神を名乗る者は目を丸くする。

 だが、次第に口を三日月形へと歪ましていく。


「いいぞ、人間。貴様の提案する《遊戯(ゲーム)》について述べてみろ」


 青年は笑みを浮かべ嬉々として喋る神と名乗る者を見た時、興味は持たれたのだろうと安堵の息を漏らす。

 だが、本番はここからである。提案するモノが神を名乗る者に気に入られなければ意味がない。

 青年は緊張から冷や汗をかきながら、問う。


「その前に一つよろしいでしょうか?」

「なんだ言うてみろ」

「神々は人類に権能を与えられますか?」

「あぁ、できるぞ」


 ならば、と自分の思っている《遊戯(ゲーム)》について青年は語った。


「僕の思っている《遊戯(ゲーム)》は、神々に権能を与えられた人間がどういう行動をとるのか、という世界を盤にしたゲームです」

「我らに協力しろというのか?」


 神を名乗る者は威圧と疑問を込めた静かな声を浴びせる。

 それが青年の心臓を強く握りしめる。


 ―呼吸がしにくくて、息がしずらい。苦しい。でも!!


 無理にでも息を吸って、呼吸を戻して肯定の言葉を放つ。


「はい、スポンサーはこのゲームに賛同する10柱ほど欲しいです」

「傲慢だな」

「貴方達が滅ぼそうとする、人間ですから」


 神と名乗る者はそれを聞くと、腹の底から笑いを晒け出す。

 それを無視して、自分の中にある即席の設計を放り出すように語る。


「権能を与えれた者たちに競争を起こさせるために、福山の街のどこかに皆が欲しがる何かを隠す。そして、権能を与えられたときに権能とその何かの情報、それと自分以外にもプレイヤーがいるという情報を脳内に流す。これぐらい、あなた方が神々というのであれば容易にできるでしょう?」


 それは神を名乗る者に対する青年の挑発が入り混じっていた。

 神はその青年の挑発を受けた。そりゃそうであろう、自分等が滅ぼそうとしている下等な人間に、見下されるように挑発されたんだ。それを受けずして何が神だ。


「あぁ、できるとも。とても容易にな。だからといって何故それをしてやらんといけない、我らに指図する気か」


 神を名乗る者は威圧と恐怖を醸し出すのだが、青年とて何度も当てられれば自然と慣れて来る。

 まぁ、それでも怖いものは怖い。


「いえ、ただ協力してほしいのです」

「確かに面白い提案だが、協力するとでも?全員が欲しがるものなんてものを神々が地上に堕とすだけでもどれだけの力を消耗すると思う?貴様のそれがその価値があるほどものモノなるかもわからない。故に、我に協力する意思はない」


 それは強い拒絶だった。

 青年の策はへし折られ、人類は滅亡へと一歩近づいた。

 だが、そんな時だった。神を名乗る者の背後に、ヌルリと人が現れる。

 いや、この状況では人ではないのかもしれない。

 青年はそんなものに気づく余暇もなく、ただ次の策を青年の持つ知識や経験の浅瀬から深層までを探り、知恵を絞り出していた。

 そんな青年の思考をすべて中断し、まっさらに消し去る一言が放たれた。


「別に俺は良いと思うよー。さいこーにおもしろそーじゃん」


 おちゃらけた言葉を放ちながら、神を名乗る者に乗っかる不思議な人がいた。

 神を名乗る者とは違い、しっかりと服を着ていた。

 けれども、ピエロのような仮面をかぶり、紫と黒のチェックのタキシードを身にまとっている。


「なんだ?ロキ。貴様、まさかこれをやろうってか?」

「んー、そーだよ。さいこーにたのしそーじゃん、俺はこいつを支持するぜ」


 軽々しくふざけた口調で、神を名乗る者の決定を覆そうとする。


「誰もが欲しがる何かはどうする?権能を与える神はどうする?」

「願いをかなえる槍を俺の神力を使って地に堕とすよー。あと、神々は八百万の神と言われるほどいるんだよー、スポンサーには困らねーよ」


 ロキは神と名乗る者の決定を覆した。

 ロキはギョロリと青年を向くと、パチンと指を鳴らしてそのまま青年を指さす。


「君をゲームマスターに任命する。それに伴い、権能を授けよう。名は【遊戯(シュピール)】能力はモノに命令を授ける、お前らに分かるように簡単に言えばプログラミングだなぁ。まぁ、詳しくは使ってみてねー」


 ロキは簡単に《遊戯(ゲーム)》に賛同し、青年をゲームマスターの地位と【遊戯(シュピール)】を与えた。

 すると少しずつ、視界がぼやけていく。

 ぼやけて、世界が霧散していく。

 光の粒となってあちらこちらに散っていくようだ。


「あぁ、《遊戯(ゲーム)》の開始は明後日だ。んじゃがんばってなー」


 その言葉を境に青年は目を覚ました。

 さっきのが本当に夢だったのだろうかと確かめるために、ロキの権能【遊戯(シュピール)】を試してみることにした。

 部屋に置いているギターに触れて、音を奏でるように命令(プログラミング)をする。

 すると、ジャジャジャジャジャンと音を奏でる。


「あれは、本当だったのかなぁ」


 不思議と本当の事なのかと思ったのだが、実際こうも人知を超えたモノを見ると驚いてしまう。


 ―真実ならば、僕が世界を救おう



ゲームマスター・遊び人(小鳥遊 遊蓮)

権能・【遊戯シュピール】

職業・学生

読んでいただきありがとうございます。

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