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私が騎士団の司令官ってなんですか!? ~聖女じゃなかった私は得意の料理で騎士たちの心を掴んだら食堂の聖女様と呼ばれていたのです~  作者: 堂道廻
第四章【悪夢】

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93 どっちがどっち

「ナイトメア……とはなんだ?」と会長が聞き返してきた。


「あ……ううん。なんでもないんです。ただ、なんとなく頭に浮かんだだけで……」


「……ナイトメア、悪夢か」


 そう独り言ちた会長はふっと口元を緩める。


「もしかしたら我々の体はどこか別の場所にあって、同じ夢を見ているのかもしれないな」

 

「……」


 それは会長なりの冗談なのかもしれない。すると、その発言に呼応するようにハヤテくんが眉を寄せた。


「……なあ。オレたち、前もこんなことをしてなかったか?」


 彼は自分でも説明できない違和感を探すように、視線を窓の外に向けている。


「なに? どういう意味だ?」会長が問い返す。


「こういう風に集まって、作戦を立てていたような……。そんなことがあった気がしてな……」


「バカを言うな。確かに互いを校内で見かけたことはあるだろうが、お前と会話するのは今日が初めてのはずだ」


 会長に指摘されたハヤテくんは「……そう、だよな」と肯定して口を閉ざした。戸惑いを残す彼の顔を私は見つめる。


 私には彼の言葉を明確に否定することができない。だって、ノエルくんが口にした私たちの共通点も。ハヤテくんが感じた説明のつかない既視感も、私には心当たりがあるのだから。


 夢で見た。戦術騎士隊アルタイル、その地下基地で私と彼ら騎士たちが円卓を囲んで作戦会議を行っている光景を。実際、私はただ彼らの話を聞いているだけだったかもしれない。でも、私たちは仲間だった。そして、そのメンバーが一つの部屋に集まっている。夢と現実が偶然一致したと片付けるには、重なりすぎている。


 会長が語ったように、私たちの体はどこか別の場所にあって、同じ夢を見ている? そもそも本当にあれは夢なの? もしかしたらこの現実が夢で、夢が現実なの??


 揺るぐはずがない現実が、ひどく曖昧なものになっていく。光の届かない深海に沈んでいくような感覚に襲われる。考えれば考えるほど、分からなくなっていく。


 ……そういえばもう一人、私たちの他に誰かいた気が――、


「そろそろ下校時刻だな」


 会長が腕時計を確認し、椅子から立ち上がった。


「白城、家まで送っていこう」


「え?」


「それなら僕が送って行きます」


 返事をするより早くノエルくんも立ち上がった。


「お前じゃ役不足だ」


 そう言って続いたのはハヤテくんだった。彼まで立ち上がっている。


「オレが送っていく。こいつの家は知っているからな」


「役不足って、それ誤用ですよ。見掛け通り頭悪いんですね」


「あ?」ハヤテくんの眉間がぴくりと動く。


「金髪に染めている野郎がなに言ってやがる」


「これは地毛です」


「そうか、なら明日までに黒く染めて来い」


「うわ……、時代錯誤な発言ですね。だから頭が悪いって言われるんですよ」


「てめぇ、いい加減に――」


「いい加減にするのはお前もだ、赤桐ハヤテ」


 会長が呆れたように二人を制した。


 え? ちょっと待って? な、なにこれ? もしかして私を巡って揉めてない? 争われちゃってるの??


「生徒の引率は生徒会長である私の仕事だ。お前たちは寄り道せず帰れ」


「生徒会長なら最後の一人が下校するまで残って見届けるべきですよ」ノエルくんが即座に反論する。


「そうか、ならば生徒会長として勇敢なお前たち二人に指示を与える。『全校生徒が帰るまで学校に残れ』と」


「「はあ?」」


 ハヤテくんとノエルくんが同時に声を上げた。


 話がまとまる気配はない。しばらくこの状況を眺めていてもいいかもね、なんていけないことを考えてしまう私なのです。ここで「やめて! わたしのために争わないで!!」とでも言えばいいのかな? でもそんなことを言ったら即座に、ハヤテくんに「うぬぼれるな」とか言われそうだし。


 ん? おかしいなぁ……。確かにぶっきらぼうだけど優しい彼が、そんな酷いセリフを言うはずないのにね、なぜか辛辣で塩対応な彼の言動が想像できてしまうのですが……。


 結局、というかなんというか最終的に、誰が私と帰るのかはじゃんけんで決めることになり、その栄光(?)を勝ち取ったのはノエルくんだった。


 そして会長とハヤテくんの二人は、怪異が現れたときのために生徒たちが完全下校するまで残ることになった。

 二人を残して先に帰るのは気が引けたけど、携帯の電波も復活したし、なにかあれば連絡するということで私たちは互いの連絡先を交換した。


 昇降口で上履きから靴に履き替えていたとき、思わずふっと笑みが漏れた。もしかしたらそれは「ニヤニヤ」だったかもしれない。


 これからどうなってしまうのだろうという不安はもちろんあったし、あれだけ怖くて不安だったのに、彼らに守られている今の状況がとてもおかしく思えてしまうのだ。その根源は一種の愉悦や優越感かもしれない。 


 だって、だってこの私がだよ? 我が校が誇るイケメントップ3に囲まれているのさ。その事実がこそばゆくて、はがゆくて、じれったくて、いとおしくて、自慢したくて……。ああ、もう声に出して叫びたい!! 

 

 少女漫画みたいなイケメンハーレムきた!! 私を取り合ってでも守護してくれる専属ナイト最高かよ!! 


 なんてね、あはは……。うん、今夜は良い夢が見れそう。


 


 


 みなさん、こんにちは。お盆はいかがお過ごしでしょくか。私は毎日のルーティンを繰り返す日々を送っています。

 次回は神戸旅行のためお休みさせていただきます(⊃。•́‿•̀。)⊃

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