巨人の目覚め
Q.追い越し車線を法定速度未満の速度でトロトロ走ってる車がいます。どうしますか?
クラルテ「穏便に破壊します」
ロザリー「破壊一択」
ラウル「しね」
チャンさん「首先,准备把汽车当成烹饪用车时,最重要的是要记住确保把汽油全部排空。如果准备工作不到位,汽油中残留的燃料和气体会在你把它放到火上时立即燃烧,所以务必在准备阶段将汽油完全排空。现在初步准备工作已经完成,我们将用盐擦拭拆卸下来的零件,彻底清洗干净。清洗干净后,用清水冲洗掉盐分,然后将它们切成一口大小的块。你会发现,金属零件和其他零件的导热性不同,所以要注意它们放在火上的顺序(えーとですね、まず自動車を調理する際に気を付けてほしいのはガソリンをしっかりと抜き取る事、これに尽きます。下処理を怠るとガソリンの残留燃料やガスなどで火にかけた瞬間に激しく燃え上がってしまいますので、ガソリンは下処理の段階でしっかり抜きましょう。さて、下処理が済んだところで分解した部品をしっかりと塩で揉み洗いしていきます。洗い終えたら清潔な水で塩を洗い落とし一口サイズにカットしていきます。やはり金属部品とそれ以外の部品で熱の伝わり方が違うので火にかける順番にも気を付けてください)」
ヨルゲンセン「何じゃ最近の若いのは過激じゃのう」
ソコロフ「今年の新人ヤバいッスよ」
ヴォイテク「そうだよ、穏便にAKを突きつけるだけにしてやれよ……」
ユリウス「なんでみんなチャンさんにはツッコまないんだ……? 俺がおかしいのか?」
額を脂汗が滴り落ちる。
いつもこの瞬間ばかりは緊張感が最高潮に達する―――対消滅機関の”火入れ”、すなわち点火の瞬間だ。機関内部の対消滅エネルギーを活性化させて外気の流入を開始、それに火を着けて稼働を開始させるこの瞬間。さながらエンジンが「産声」をあげる瞬間であるとヨルゲンセン機関長は考えている。
「真空破壊、秒読み開始……10、9、8、7、6」
「点火時期近付く」
左手を傍らの紅いバルブ―――”真空破壊弁”と手書きのラベルが貼り付けられたそれに添え、点火の瞬間を待った。
1m近くの厚さがある特殊耐熱ガラスの向こう側では、鬼火さながらに白い光が揺らめいている。遮光ガラスを用いたゴーグル越しに見なければあっという間に網膜が焼け、視力を失う事になりかねないだろう。
「3、2、1」
「真空破壊弁、解放!」
キム機関長の声を合図にバルブを解放した。
緩やかに、ほんの少しずつ外気を機関内部へと流入させていく。これによって内部の真空状態が破られ、流入した外気がエンジン内部の対消滅エネルギーと反応を開始。手元の点火プラグのスイッチを次々に弾いていくと、いよいよエネルギーは油を注がれた炎の如く燃え上がり始めた。
「対消滅機関内、圧力正常に上昇中。蒸気圧、現在1MPaから2MPaへ」
「蒸気流量、規定値へ到達」
「タービン始動」
「了解、タービン始動」
ごうん、と唸り声を上げ、タービンの前に位置する巨大なダンパーが動作を開始した。対消滅機関にて瞬時に生成された高温・高圧の蒸気がタービンへと流入して、タービンの巨大な羽が回転を始める。
対消滅エネルギーという超エネルギーを用いているが、対消滅機関のやっている事は従来型の動力機関と変わらない。結局は『お湯を沸かし』『蒸気を作り』『タービンを回して発電する』のだ。
ただしその発電効率は化け物級だ。原子力と比較すると発電効率は概ね3~5倍、戦艦クラスに採用される大出力の直列型であれば10倍にも達する。
そして今、そんな動力機関の製造技術を独占している……というより唯一技術を継承しているのが、北方の技術大国『イライナ公国』のみだ。協商連合代表のミカエルは、そのイライナ公国を統治するキリウ大公と宰相のリガロフ家との間に太いパイプを持っており、だからこそ対消滅機関の調達には苦労しない。
「送電網、正常稼働を確認。船体全域への電力供給を開始」
「蒸気圧、9MPaへ上昇……上昇幅横ばい、安定中」
やったな、と隣にいるキム機関長と拳を突き合わせた。それから思い出したように脂汗を手の甲で拭い去り、息を吐く。
これでこのテンプル騎士団の空中艦は再び飛び立てる。
船体を見たところ、特に目立った外傷もない。艦内の状況から推察するに、推進システムを始めとした艦の運行に必要な設備もまだまだ動く筈だ。
約6万年もの間メンテナンスフリーで稼働する空中艦、という代物に驚愕しつつ、ヨルゲンセン機関長は後ろを振り向いた。
いつの間にかそこには蒼いホログラムが投影されていて、黒い軍服姿の竜人の女性―――この空中艦を指揮していたマルギット・クランウェル大佐が笑顔で立っていた。
『ありがとう……この艦に再び、火が燈った』
「我々にできる事はここまでじゃ」
スッ、と敬礼するヨルゲンセン機関長。それに倣うようにキム機関長や他の機関士たちも、一斉にマルギット大佐へと敬礼を送る。
「……子供たちを頼みます、大佐殿」
『本当にありがとう、協商連合の皆さん。皆さんの献身、絶対に忘れません』
「……各員、退艦。速やかに艦を離れろ!」
工具や残材を回収し、撤収へと移る。
後はこのまま、テンプル騎士団の空中艦【アストレア】が無事に離陸してくれればいい。そうすれば協商連合は彼らから譲渡された技術を手に入れる事ができるし、ミストルテイン側も撤退に移るだろう。彼らからすれば戦う理由の喪失に他ならないからだ。
任務は果たした。後は彼女らを見送り、生きて帰るだけである。
「マルギット大佐」
機関士全員の退去が済んだのを確認してから、去る前にヨルゲンセン機関長はそっと彼女に語り掛けた。
もう、マルギット・クランウェル大佐を始めこのアストレアの乗員に肉体はない。電子化された意識こそが彼女たちの全てである。
だからこう言って送り出すのも奇妙だろうが……敢えて機関長は、こう言葉にした。
「―――達者でな」
『はい―――皆さんも、末永くお元気で』
ニッ、と笑みを浮かべ、ヨルゲンセン機関長は空中艦『アストレア』の機関室を後にした。
斉射されたロケット弾が、照準器の向こうに広がる敵戦艦の横腹へと吸い込まれていく。
爆発が爆発を呼び、対空砲塔群が一斉に沈黙。ここぞとばかりに爆弾を投下し操縦桿を引き、すっかり軽くなったF4Uコルセアを上昇へと転じさせた。
グワッ、と腹の下で火の手が上がる。ロケット弾8発に爆弾1発を叩き込まれた敵戦艦の巨体が左舷へと傾いだかと思いきや、爆弾が命中した場所を起点に船体が割れ始め、ボロボロと破片を撒き散らしながら崩壊を開始。艦首と艦尾を空に向けるようにして真っ二つになるや、炎上しながら崩れていった。
―――戦艦2隻目。
突貫を図る敵駆逐艦の艦橋を機銃掃射で砕き、たまたま視界に映った敵の複葉機に12.7㎜弾を叩き込んで黙らせる。
これだけ落としても、敵はどんどん湧いてくる。
ミストルテインには一体どれだけの物量があるんだと思いつつ、操縦している機体の火力の物足りなさを感じてしまう。
いや、十分すぎる火力はある。12.7㎜機銃にロケット弾、そして爆弾。ダメ押しの20㎜機関砲を外付けで搭載しており、これで「火力不足」なんて言ったら他のパイロットたちに精神状態を疑われてしまう。
だがもっと火力が欲しい。もっと大量の爆弾を、もっと大量のロケット弾を。もっと余裕のあるペイロードを。
操縦桿を倒して道を空けた。直後、ズドン、と敵巡洋艦の無防備な横っ腹に20.3㎝砲が直撃して真っ二つに破砕、生じた爆炎を突き破るようにソーキルの舳先が突き出してくる。
他の空中艦から発進したのだろうか―――奇妙な円盤型の戦闘機が艦首の機銃を連射、複葉機を火達磨に変えて急上昇するなり、見事なトス爆撃(※上昇しながら上に向かって爆弾を投下し山なりに飛ばして敵へとぶち当てる爆撃方法)を披露するや、敵戦艦に深手を負わせる事に成功する。
【XF5U フライングパンケーキ】。アメリカが試作した円盤型戦闘機で、とにかく頑丈な機体を持つ事で有名とされている。
そんな代物を飛ばすなんて、協商連合にはよほどの物好きがいるらしい。いったいどの艦の艦載機なのか、と思いつつ空飛ぶパンケーキのパイロットに「見事な爆撃でした!」という意図を込めて親指を立てると、向こうは機体をバンクさせて応えてくれた。
さて弾薬はあとどのくらい残ってるだろうか……と意識を自分の機体に戻したその時だった。
カッパドキアに、異変が起こったのは。
「……?」
土埃が急激に舞い上がった。
堆積した苔や土壌を突き破るようにして、巨大な空中艦の船体が地上へとせり上がってくる。
規格外、としか言いようがなかった―――ソーキルで140mだというのに、そのカッパドキアに半ば埋没し、そして59000年の眠りから覚め飛び立とうとしている空中艦は明らかに全長500、いや600m以上はあるのだから。
船体各所に搭載したエンジンポッドを鳴動させ、スラスターの蒼い輝きをちらつかせながらふわりと浮き上がる巨大な空中艦。
間違いない、テンプル騎士団の空中艦だった。
59000年前に墜落し、朽ち果てた筈のそれが―――ついに再び、大空という大海へ漕ぎ出そうとしている!
「すっげ……」
あんな質量が飛ぶのか、と驚愕していると、ミストルテイン艦隊も焦ったように突撃を開始した。未知の技術の塊を逃がしてなるものか、とテンプル騎士団の空中艦へ砲撃を射かけ始めたのである。
数発がテンプル騎士団の空中艦『アストレア』を打ち据えるが、しかしその装甲表面には傷一つついていない。
やらせるか、と操縦桿を倒し、巡洋艦の直上から機銃掃射を見舞う。20㎜ガンポッドを使い切る勢いで撃ちまくり敵艦の艦橋を砕いて真下へと抜け、操縦桿を起こした。
グォォォォン、と唸り声を発し、コルセアの機首が天空を向く。
《すべての航空隊及び艦隊へ通達》
無線機から聴こえてきた声に、思わず身を震わせた。
どこか無機質で、余計な感情を含んでいない機械のような声音―――たしかあの人だ、クラリスだ。ミカエルの傍らに控えていたあのでっかいメイドさんである。
なぜ彼女の声が……?
《直ちに射線上より退避してください。繰り返します、直ちに射線上より退避してください―――》
なんだよ射線上って、と視界を巡らせて―――ラウル君の銀色の瞳が、星空の一点を見つめたまま凍り付く。
いつの間にか、そこに真新しい星の瞬きがあった。
いや、違う。
光だ。
エネルギーを充填する光だ。
協商連合艦隊総旗艦【チェルノボーグ】の艦橋内で流れるのは、クラシックの名曲『ラデツキー行進曲』。この異世界においても転生者の手により持ち込まれ普及、世界中で愛されている名曲としての地位を確立している。
若干アップテンポ気味なアレンジの加わったそれを聴きながら、艦隊司令の席に座るミカエルはそっとソーサーの上にティーカップを置いた。
「―――ようこそ、旧き者たち」
ミストルテインも、よくもまあこれだけの艦隊を動員できたものだと驚かされる。それも領空侵犯と、よく分からない理由での開戦宣言まで引っ提げて。
こういう場合、戦力の逐次投入は愚の骨頂だ(こういう場合でなくともだ)。戦闘がエスカレートする前に、相手を確実に潰せる戦力を差し向け殲滅してしまうに限る。
「……【ズメイ砲】、発射用意」
「ズメイ砲用意。対消滅機関から薬室へのエネルギー伝導を開始」
艦長席に座るイルゼ艦長の命令で、艦橋に詰めていた戦闘人形の乗員たちが命令を復唱した。
全長480mにも達する超弩級空中戦艦チェルノボーグ。水上艦のように切り立った舳先と肥大化したバルバス・バウで構成された艦首部分―――その下部、バルバス・バウに相当する部分が、唐突に3つに割れた。
爪のように展開するバルバス・バウの外殻部。その中からせり出してくるのは4本の電極にも似た砲身―――というよりは、エネルギーに指向性を与えるためだけの加速装置だった。
展開した爪のような装甲から蒼い電撃が迸るなり、砲身前方に蒼いエネルギー球が形成される。
10基直列接続した対消滅機関、それを2基並列に搭載するという特殊な配置の機関部を有する空中艦【チェルノボーグ】。明らかに過剰な、余りある豊富な電力もこの決戦兵器を運用するためのものである。
ズメイ砲―――遥か太古に存在し、今では協商連合本部『エンジェルパレス』に化石として展示されているエンシェントドラゴン”ズメイ”の名を冠した、【超高出力プラズマ投射砲】である。
ズメイの遺伝子解析と化石の解析、そしてミカエル自身が瞑想時に交信、垣間見たという情報を基に協商連合で新規製造された決戦兵器である。対消滅機関の生み出す豊富な電力を用いてプラズマを瞬時に生成。砲身を内蔵した船体から艦首方向へと投射する事で、射線上の全てを粉砕する恐るべき代物である。
「エネルギー出力、7%で固定」
「それでいい。本気で撃ったらとんでもない事になる」
理論上、出力100%で発射した場合の威力はTNT換算で【145.6テラトン】……ツァーリボンバの3百万倍に達する威力となる。
そんな事をすれば蒸発した物体の粒子が対流効果で成層圏まで舞い上がり、地球規模の寒冷化を招く結果となってしまうだろう。それ故に出力には10%までのリミッターがかけられている。
出力7%でも船体より大きく膨れ上がった蒼いプラズマ球。恒星の如き光に脅威を覚えたらしく、敵艦が砲撃してくるがいずれも射程圏外だ。掠りすらしない。
艦橋の遮光フィルターが下り、船体下部を構成する部位の放熱用パネルが展開。艦首が微調整を重ねて射線を固定され、いよいよ発射準備が整った。
「―――ズメイ砲、発射!」
ぶわっ、とプラズマ球が膨張した。
拘束していた力場から解き放たれ、電極のような砲身により指向性を与えられるプラズマ球。それは蒼い怒涛の濁流となり、進路上の大気を瞬時にプラズマ化させながら、蒼い電撃をなびかせてミストルテイン艦隊へと殺到した。
プラズマそのものに触れる事すら、敵艦隊にはできなかった。
接触するよりも先に高熱で装甲が融解、遅れて飛んできたプラズマに呑まれるなり影すら残さずに消滅していく。
広範囲に電磁波すら生じさせて突き抜けていくズメイ砲。命中を免れた敵艦も存在したが、しかし電磁波の影響で機関を強制停止させられた挙句、プラズマの余波を受けて装甲を融解。操縦不能となって雲海へと次々に没していった。
ただの一撃。
ただの一隻のただの一撃が、戦闘を終わらせた瞬間だった。
飛行重戦艦『チェルノボーグ』
全長
・480m
全幅
・96m(安定翼含む)
全高
・60m
重量
・48000t
乗員数
・3名(艦長、副長、艦隊司令)
主機
・特型フリスチェンコ式対消滅機関×2(10基直列接続×2)
・コア(賢者の石)
武装
・60口径44㎝4連装砲×7
・20.3㎝連装砲×28
・12.7㎝連装高角砲×16
・12.7㎜対空機銃多数
・艦首533㎜対艦ロケット発射管×6
・艦尾533㎜対艦ロケット発射管×4
・ズメイ砲×1
備考
・重力制御推進
協商連合の切り札にして艦隊総旗艦。【チェルノボーグ】の名前の由来は、スラヴ神話に登場する黒き悪神『チェルノボーグ』から(※対極を成す白い善神『ベロボーグ』も存在)。
イライナが建造したクニャージ・リガロフ級戦艦の設計案を協商連合で買い取り、独自の新技術を組み込んで建造した超弩級空中戦艦。全長480mという巨大な船体に武装と装甲をペイロード一杯に搭載した事で常軌を逸した火力と防御力を両立した恐るべき兵器であるが、最大の特徴は艦首の『ズメイ砲』である。
これはバルバス・バウの内部に搭載されている兵器であり、いくら巨大な戦艦とはいえ合計20基もの特型対消滅機関を搭載するには過剰ともいえるエネルギーを総動員して発射する決戦兵器と位置付けられている。かのエンシェントドラゴン、ズメイが放ったとされる”プラズマブレス”を参考に、遺伝子解析やミカエルの”交信”で得られた情報から恐るべきそれを科学的に再現したもの。敵艦隊に対し極太のプラズマ砲を投射、射線上の全ての物体を消滅させる。
しかしこれはTNT換算で145.6テラトンにも達するとシミュレートされており、100%で発射すればその威力はツァーリボンバの3百万倍にも達するため、地球環境に甚大な被害が及ぶ。それも考慮し通常時では10%までのリミッターが設けられており、リミッター解除にはミカエルの承認が必須となる。
またもう1つの特徴として、艦内に賢者の石のコアを有しており、浮遊用や推進用のプロペラ、スラスターの類を一切搭載していない点が挙げられる。
これは艦内のコアである賢者の石が生じる重力を機械的に制御する事で重力のベクトルを自由自在に偏向し推進しているためである。分かりやすく言うと【重力ベクトルを書き換え、任意の方向に”自由落下”することで推進、旋回、上昇、下降を行う】という類を見ない推進システムとなっている。
そのためこれだけの巨体と重量を有しておりながら、他の艦よりも滑らかに回頭する事が可能となっている他、船体周囲に重力場を発生させる事で敵からの砲撃を反射させたり、周囲の味方艦や味方機を引き寄せ牽引する事も可能となっている。
これだけのスペックを誇るため製造・運用コストも極めて高く、2番艦『ベロボーグ』の建造も計画だけは存在するが今のところ実現する見込みはない。
なお、コアとなっている賢者の石の内部には■■■■■■■■■■■(※検閲により削除)が存在しており、これが重力制御を可能としているようだ。




