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第79話 新たな力

前回のあらすじ

スタンピードでの活躍により、ユーマ達は国王に謁見する。

その褒美として、銀月の翼はロンドベル国王の後ろ盾を得る。

そしてレイザードを失脚させる事にも成功した。

 表彰が終わって数日、僕達はコレットさんの家で、久し振りに柔らかいソファで寛ぐ事が出来た。


「ああああ~~~~~。やっと解放されたな……」


「うん……そうだね。正直、あれはもう嫌だよ……」


「皆あたし達の事を英雄だとか救世主だとか言って持ち上げて、もう暫く外を歩きたくないわよ……」


 この数日は、僕達は外に出る度に多くの住民や冒険者、騎士に囲まれてしまった。


 スタンピードで活躍した僕達の事を、エリアル王国を救った英雄だとか、颯爽と現れた救世主だとか言って(おだ)てらりたり、握手を求められたり、自分達のパーティーや騎士団へと勧誘されたり、更には愛の告白なんかもされてしまい、そのお陰で外に出ると戻るのに大幅に時間を掛けてしまっていた。

 告白に関しては、僕に対する者はラティが追い払い、彼女の場合は僕が追い払ったり、クレイルとコレットの場合は上手くあしらって断っていた。


『心配しないでください。もしまた囲まれた時には、私達が守りますから』


「クルゥ」


「オン」


 アリア達の気遣いが、今はとても嬉しい。

 クレイルもソファに寝そべったままレクスを撫で、ラティもミニサイズのクルスを抱っこして疲れを癒している。

 僕も膝の上のミニサイズアリアを撫でたりして癒しの時間を満喫している。


「皆、今日もお疲れ様。もうそろそろご飯だけど、皆お疲れだと思うから今日私が食事を作ったわ。ユーマくん程上手じゃないけど、それなりには料理の腕に覚えがあるから」


 コレットさんが作った料理は、言うならば冒険者が旅先の夜営などで作る様な料理で、単に材料を斬って煮込んだりしたスープと僕の見様見真似で作ったと思われるサラダだった。

 味は素朴だが材料の味がしっかりと引き出せていて、今の僕達には心にしみる味だった。


 やがて食べ終わり、後片付けを済ませた後、コレットさんが僕とラティに声を掛けた。


「ユーマくん、ラティちゃん、あなた達に渡す物があるわ。ちょっと待ってて」


 コレットさんは一旦リビングから退室し、少しして戻ってきたら彼女の手には2冊の薄い本があった。


「お待たせ。2人に、これをあげるわ」


 そう言ってコレットさんは僕達にその本を差し出し、僕達はそれを受け取った。

 傍ではクレイルが一瞬驚いた後に嬉しそうな表情になった。


 そのクレイルの反応に、僕はこの本の正体に気付いた。


「コレットさん、これってまさか……!?」


 僕の問いに彼女は微笑んで答えた。


「そう。私が以前入手した、ロストマジックの魔法書よ」


「えっ!? これをあたし達にくれるんですか!?」


「ええ。この2ヶ月間、あなた達と一緒にいて、そしてあのスタンピードでの戦いを通して、あなた達はロストマジックを覚える資格があると判断したわ。だから、最初の約束通りその魔法書をあげるわ」


「わああ! ありがとうコレットさん!」


「ありがとうございます!」


 クレイルも「よかったな」と言ってくれて、僕達は念願のロストマジックの魔法書を手に入れる事が出来た。

 その喜びで、さっきまでの疲れが一気に吹っ飛んだ。


「それじゃあ、そのロストマジックを覚える際だが、俺達の経験から言わせて貰うとそれは一瞬で覚えられる代物じゃない」


 クレイルの言葉に、コレットさんが続けて口を開いた。


「そうね。私もクレイルも、ロストマジックを覚えるのに、魔法書を読んでその効果や仕組みなどを覚えて実際に使える様に訓練をして、ざっと習得に1年は掛かったわ」


「1年という事は、僕とラティもこのロストマジックを覚えるのに、それくらいは掛かるという事ですね?」


「ああ。少なくともは、1年の修業は覚悟してくれ」


「それじゃあ、もう1年はこの国に留まる事になるな。ラティはそれでいい?」


「いいわよ。あたしは、ユーマくんと一緒なら、それでいいし、ここでなら皆と一緒にいられるし」


 アリア達にも賛否をとったが、彼女達も頷いて、僕達のもう1年の滞在を承諾してくれた。


「なら決まりだね。クレイル、コレットさん、僕達のロストマジック習得の修業をお願いします」


「ああ、任せてくれ。俺達がみっちり鍛えてやるぜ」


 コレットさんも頷き、僕達のエリアル王国にもう1年の滞在と修業が決定した。


「それから、もう1つ。私はこの2ヶ月間、皆と一緒に生活してとても充実していたわ。それにアインもアリアと一緒にいてとても幸せそうだったわ。だから、私はもっとあなた達の事が知りたいの。ユーマくん、私を臨時のメンバーではなく、正式に銀月の翼に加入させて欲しいの」


 コレットさんは僕達の正式な仲間を希望してきた。


「勿論ですよ。僕達も以前からコレットさんを正式な仲間に誘おうと思っていたんです」


「はい。あたし達と一緒に行きましょう!」


「コレット、俺達と一緒に冒険しようぜ!」


「あなた達……ありがとう。これからもよろしくね」


「皆、よろしくね!」


『こちらこそ、よろしくお願いします! アインお姉様!』


「クルルルゥ!」


「ウォン!」


 こうして僕達銀月の翼に新たな仲間、ハイエルフの弓術士、コレットとその従魔、ティターニアでアリアの姉的存在のアインが加わった。


 そして翌日から僕とラティはロストマジック習得の修業を開始した。

これで第5章は終わりです。

次回から第6章、「アルビラ王国」になります。


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次回予告

スタンピードから半年が経ち、ユーマとラティはロストマジックの修行を積んでいた。

そして、その成果を見せる。


次回、あれから半年


この後、22時、0時、2時、4時にそれぞれ幕間を4つ更新します。

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