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第78話 事後処理

前回のあらすじ

ユーマとアリアはスタンピード最強の魔物、三つ首竜と遭遇したがマリアの本気の前に難なく討伐される。

そして死者を0にして、スタンピードの鎮圧に成功する。

 スタンピードを鎮圧させてから3日が経ち、余波で各周辺で発生した魔物達も冒険者やデスペラード騎士団が連携して無事に鎮圧させた。

 これに関しては予めキング種の様な強力な魔物がいる事を見越して、腕利きの冒険者や騎士で編成した討伐隊が行ってくれたからだ。


 そしてそのスタンピードでの1番の立役者となった僕達は今エリアル王国の王城に来ている。


 理由は、僕達が今回の一番の功労者だという事で国王から直接表彰されるというのだ。

 まあ無理もないな。

 なんせ僕達はあの戦いで思いっきり本気を出して、しかもアリア、クルス、レクスの存在も公にしたのだから。


 しかも、僕が三つ首竜を討伐したのと同様に、ラティはゴブリン、コボルト、オークの3体のキング種を、クレイルはハイミノタウロスを、コレットさんは5体のトロールという、スタンピードで発生した中で特に強力な魔物を単独で討伐したのだから。


 その事があの場にいた人達を伝って国中に、更には国王の耳にも入ったので、僕達はこうして王城に呼ばれ表彰される事になったんだ。


 因みに、何故3日も経ってからだったのは、僕達も冒険者としてのギルドへの報告が結構あった為、それが落ち着くのに3日も掛かったからだ。


 主に、討伐した魔物の報告や素材の買取、その他にもアリア達の正体の報告などをした。


 ギルドでは討伐した魔物の素材の買取もやっている為、僕達はそこで三つ首竜、ハイミノタウロスを始めとする多くの魔物の素材を買い取って貰った。

 主に鱗や骨、それから牙などの大半を売り、自分達で使えそうな素材や肉などは手元に残すなど、その部分の取引などでも時間がかかったりした。

 因みに、その買い取りで得た金額は、武闘大会での優勝賞金を軽く上回ってしまった為、その時の僕は全身を真っ青にして受け取ったりする。


 アリア達の報告も、ギルド全体を驚愕に包んだりした。

 元々コレットさんはアインの事を公表していたけど、そこに新たに竜神、フェンリル、特異種のグリフォンという3体のEXランクの従魔が出てきたのだから無理はなかった。


 またクレイルもレクスの存在を公にした事で、ギルドにレクスの事を報告した。

 本来ならクレイルは従魔の存在を「実家に預けている」という偽造した為、身分を詐称した罪でギルドから罰則を受ける筈だったが、レクスはEXランクのフェンリルでそれによる無駄な騒ぎを避けたかったというクレイルの事情が理解されたり、クレイルがスタンピードを鎮圧させた立役者の1人だという実績などから、ギルドも特例として無罪放免となった為助かった。

 これにより、レクスは安心してレクスを亜空間の外に出せる様にもなった。


 そしてアリアとクルスもまた、自由に元の姿で外を出歩ける様にもなったが、アリアはその巨体では色々と不自由な為、基本はミニサイズで過ごしている。


 僕達が従魔と一緒に玉座の間で跪いて待っていると、この国の王のロンドベル・フォン・エリアル国王がやってきて、正面にある玉座に腰を掛けた。

 ロンドベル国王はハイエルフで、その容貌は少し白が入った所謂白金の金髪に、見る者を全て魅了するのではないかという程の絶世の美青年。

 見た目年齢は20代後半ぐらいだった。

 だが、お母さんから聞いた話だとこの人はもう2000年は王を務めているという。

 つまり、この人は最低でも2000歳以上の年齢という事になる。


 それにしても、アルビラ王国でアベルクス国王とは身分を超えた関係になり、ヴォルスガ王国でも武闘大会の表彰式でレオンハルト国王に会ったし、なんか僕、行く先の国々で必ず国王に会っているな。

 僕って、この世界ではそういう星の下に生まれたのかな……。


「面を上げよ」


 国王の言葉に従い、僕達は顔を上げて彼と目を合わせた。


「銀月の翼、ユーマ・エリュシーレ、ラティ・アルグラース、クレイル・クロスフォード、コレット・セルジリオン、そなた達はこの度スタンピードの脅威に自ら立ち上がり、危険を恐れずに戦い、そして見事スタンピードを鎮圧させたと聞く。この度は、このエリアル王国を救って頂き、誠に感謝する」


 国王は深く頭を下げ、感謝の言葉を放った。

 周りは国王が自ら頭を下げた事に驚いていたが、国王は何か言われる前に口を開いた。


「皆の者よ、どうか騒がないで頂きたい。こちらの冒険者達の活躍があったからこそ、このエリアル王国は滅亡の危機を乗り越え、更に今回の戦いで死者をも出さずに乗り切ったのだ。この国に住む者達を救ってくれた事に対しては、国王である私が感謝を伝えるのは当然の事だ。どうか、目を瞑って貰いたい」


 国王の言葉に、大臣達は仕方ないという様な感じに引き下がった。


「そこで国王としては、そなた達に何か褒美を与えたい。望むならば、爵位を与えても十分な功績だ。何か望みはあるか?」


 これに対して、パーティーリーダーの僕が代表して答えた。


「恐れながらですが、私達は爵位は望んではおりません。ですが、強いて臨むのであれば、私達の後ろ盾になって頂きたいと願う所存であります」


「ほう、後ろ盾とは?」


 僕の願いに、ロンドベル国王は面白そうな表情になった。

 大臣達も驚きつつも興味深そうにしている。


「はい、実を申しますと、私とラティ、こちらにいます私とラティの従魔、竜神のアリアと、希少種のグリフォンのクルス、そしてその2匹と従魔契約している私達はアルビラ王国のアベルクス国王に後ろ盾になって貰っています。それは、自分達を貴族などの権力者から守るという意味が込められています。ですから、その守りをより確実にする為に、陛下からも後ろ盾をお願いしたいのです」


 僕がそう言い切ると、ロンドベル国王の表情は驚きに染まっていた。


「何と……そなた達が以前アルビラ国王が言っていた子供達だったというのか」


 どうやら、ロンドベル国王は既に僕達の事を知っている模様だった。


「陛下は、私達の事を知っていたのですか?」


「うむ。我等十天大国の各王は数年に1度、1ヶ所に集まって互いの国の情報などを話し合う世界会議という物を行う。そして前回の会議の時、アルビラ国王が君達の事を話してくれたのだ。そして、もし君達に会う事があったらその時は力になってやって欲しいと言われた。だから、アルビラ国王の友として、その願いを聞き入れない訳にはいかん。よって、ロンドベル・フォン・エリアルはここに宣言する! 君達、銀月の翼の後ろ盾となる!」


 国王の宣言に、周りの大臣達は拍手を送った。


「では、そなた達にエリアル王国王家のメダルを授ける。ディン、すまんが持ってきてくれ」


「畏まりました」


 ディンと呼ばれたエルフの執事が退室し、暫くして箱を持って戻ってきた。


「これは、我がエリアル王家の証を示すメダルだ。これがありば、私の後ろ盾を証明する事が出来る。どうか、受け取って欲しい」


 その差し出された4枚のメダルにはエリアル王国王家の証である、世界樹の紋章が刻まれていた。


「国王陛下の思い、ありがたく受け取らせて頂きます」


 僕達はディンさんからメダルを受け取った。

 こうして僕達は、2つ目の後ろ盾を得る事が出来た。


 だが、僕達にはまだ未解決の問題がある。


「では、次にあの者の処分を行うとしよう。連れてこい」


 国王も忘れていなかった様で、近くにいた兵士に命じた。

 その兵士は一度退室して、また戻ってくると今度は見慣れたハイエルフも一緒だった。


「放せ! この無礼者が! 私を誰だと思っているのだ!」


 そう、僕達がこの国に来て一番の悩みとなった、レイザード侯爵だ。

 彼は両手が魔法を使えなくさせる効果を持つマジックアイテムの魔力封じの枷を嵌められ、魔法が使えなくなっていて無理矢理引かれて国王の前に跪かせられた。


「国王陛下! なぜ私がこの様な目に合わなければならないのですか!?」


 レイザードの問いに、ロンドベル国王は呆れた眼差しを向けて答えた。


「レイザード侯爵、私は前に言った筈だ。ハイエルフの誇りを忘れてはならぬとな。だが、今回貴様が行った事は到底許す事が出来なくてな。貴様を罰する為にここに連れて来た」


 国王のその言葉に、レイザードは激昂した。


「何故ですか!? 私は、他人から恨まれる様な事を行った覚えがございません! いくら国王とはいえ、罪のない者を罰するなど、その様な横暴が許されると思っているのですか!?」


 横から聞いていると、この男は本気でそんな事を思っているのか。

 聞いていて最初に沸いていた怒りが、徐々に呆れで冷めていく感覚がした。


「この私を前にしてその言い草、ここまでくると逆に敬意を払いたくなるが、既に貴様は詰んでいるんだという事を思い知るのだな」


 国王がパチンと指を鳴らすと、また扉が開き今度は3人の人が引き摺られてきた。

 レイザード侯爵はその3人を見て、一瞬だがギョッとしていた。


「この者らは先日のスタンピードで、そちらのユーマ殿達を戦闘中に事故に見せかけて暗殺しようとし、逆に返り討ちにあって捕らえられた者達だ。更に、尋問の末に貴様の指示で実行したと自白もした」


「嘘です! 私はこの者達など知りませんし、その様な指示を送った事もしていません! きっと私を陥れようとしているのです! ですから陛下、私は無実です!」


 レイザードはこの期に及んで言い逃れをしようとしたが、国王は既に勝ち誇った様な顔をしていた。


「残念だが、その様な無駄な足掻きはしない事だな。コレット殿、すまぬが頼む」


「はい、陛下。アイン、お願い」


 アインがレイザード侯爵の前まで飛ぶと、彼に何か鱗粉を撒いて吸わせた。

 すると、彼の様子に変化が現れた。


「わ……私は、この、3人に……あの薄汚い人族と、獣人の……ガキ共を……スタンピード、で事故死に……見せかけて、殺すようにと……指示を出しました……」


 彼の口から動かぬ証拠となる言葉が出て来た。


 これはアインの鱗粉の効果だ。

 今回は心の内にある事を全て話す、自白の効果がある鱗粉を使った事で、レイザード侯爵は自分の企てた悪事を全て白状した。

 実はあの暗殺者にも、同じ鱗粉を使った事でこうして彼を捕らえる事が出来たのだ。


 更に、レイザード侯爵は他にも秘め事があったらしく、続けて自白をした。

 彼はロンドベル国王をハイエルフの誇りを忘れた愚王と見做し、彼を玉座から引き摺り下ろして自分が新たな王になると画策した事。

 その為にハイエルフの貴族を回り、自分の味方につけてその機会を狙っていた事。

 その過程でコレットさんの存在を知り、彼女を妻に娶りティターニアのアインを手中に収め自分の力を強化しようとした事。

 今回のスタンピードでこの国は滅ぶと決めつけ、早々にこの国を捨てて滅んだ後に新たなハイエルフの国を築き、その王となる事で国内に住む他種族を奴隷にしようとしていた事。

 その全てを吐いた。


 聞き終えた時の国王の顔は、怒り、呆れ、失望、あらゆる感情が入り混じった表情だった。


「その様な事を企てていたとはな……これは最早到底見逃す訳にはいかんな」


「へ……陛下……?」


 国王は玉座から立ち上がり、宣言した。


「レイザード侯爵! 本日只今を以って、貴様を爵位剥奪、更に国家転覆を謀った重罪人として国外追放とし、終身刑の鉱山奴隷を言い渡す!」


「そ……っ、そんな……!? 陛下! どうかお許しを! 陛下~~~!!」


 その宣言と共に、レイザード元侯爵は必死に国王に許しを乞いながらも、彼は兵士に引き摺られて姿を消した。

 更に彼の屋敷を調べた所によると、彼の家に雇われていた執事や仕えていた人達の殆どが捕縛され奴隷堕ちとなった。

 その上、彼に対する不正の証拠が次々と見つかった。

 その中にはレイザードが実の両親を暗殺した証拠も見つかり、国王へ虚偽報告したことも発覚し、全ての罪を統合した結果レイザードは一生日の光を浴びる事が出来なくなった。

 1万年の時を生きるハイエルフにとって、一生という事はあと数千年は日の光を浴びる事が出来ないというのは、さぞ辛いだろうな。


 後日、レイザードが接触したハイエルフの貴族は、知らせを聞いた騎士達によって捕縛され、殆どが身分剥奪、奴隷堕ちとなった。

 中にはまだ検討中の段階だった者もいた為、そういった者は爵位を下げられたり、暫くは兵士の監視がついたりなどの処分が下された。


 かくして、エリアル王国に巣食っていた蛆虫達は、偶然訪れていた冒険者によって1匹残らず駆逐されたのであった。

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次回予告

全ての処理が終わったユーマ達は休息を送る。

その中で、コレットはある物をユーマとラティに渡す。


次回、新たな力

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