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12 王族に嫌われている私が、なんで王族の不祥事のもみ消しをしないと駄目なんだろね

本日は朝8時頃にも更新します。



「そう、だったんだ」


「……はい」


 シノンは頷いた。

 なぜ私を殺そうとしたか、シノンの口から語って貰った。

 因みにアザトールは保健室の外で待機している。アザトールがいると、震えてまともに喋ることが出来なかったからだ。

 確かにあれほどのパンチを貰ったら仕方ないよね。もし、私が貰ってたら、軽くトラウマになる自信はある。


 それにしても、やっぱり裏で糸を引いていたのはお兄ちゃんだった。

 父親の治療と引き替えに、私の殺害を頼むなんて……。

 シノンには本当に申し訳なく思う。

 ただ気になる事はある。

 なんで公爵家を使ってまで、私を殺そうとしたかってこと。

 正直、国民に嫌われている私を殺そうとする人なんて何人も居る。何人も居る。……なんか目から汗が出てきた。うん。ただの事実確認事実確認。

 なのに、わざわざ公爵家を使うなんて、しかも王家よりも武力を持っているフォークライ公爵家を――。下手したら内戦になる可能性もゼロじゃないのに。

 『最優王子』とか言われて調子に乗っちゃったかなお兄ちゃん。


「理由はある程度推測は可能です」


「アザトール。どうして兄さんが公爵家を使って私を殺そうとしたか分かるの?」


「ええ。メイドたる者、名探偵顔負けの推理の1つや2つは可能です。――廊下からでは、アレなのでそちらに行きますね」


「ぃ――ぁ」


 シノンはガタガタと震え始めた。

 よっぽどアザトールの事がトラウマになってみたい。


「あー、アザトール。こっちに顔を見せたら駄目だからね。シノンがまた気絶しちゃう」


「たかだかメイドの手加減した本気を貰ったぐらいで情けない。ですが、お嬢様の命令とあれば承知しました」


 手加減した本気ってどういう事だろ。矛盾してない? してるよね。


「私が正真正銘の手加減抜きの本気で殴れば肉片すら残りません」


「――ぃ――」


 涙目になって震え始めた。

 また、その、粗相してしまうかもしれないので、この話はここまでにしておこう。


「では、なぜお嬢様を殺すのに、替えの効く下っ端貴族では無く、公爵家令嬢を使ったかというと、公爵家令嬢には精霊の加護があり、神の権能が効いてないからでしょう」


「神の権能?」


「ええ。ある事情から、この世界には神は存在してないですが、ある者だけが神の持つ超常の権能を使用できるようです。それはほぼ王都にいる8割近い人間に効能が発揮されています」


「どんな効果なの」


「……お嬢様に対して、『悪意ある言霊を鵜呑みにする』効果です」


 え。何その限定的克つ地味な嫌がらせの効果は。

 でも、権能って魔法みたいなものみたいだし、その効果で私は嫌われたんだ。

 良かった。魔法の所為で私はずっとぼっちだったんだ。

 神の権能の所為。私は悪くなかった。私は悪くなかった!


「地味だと思うかも知れませんが、この権能は国を滅ぼす事が可能なんですよ。今回はお嬢様でしたが、それが国王ならどうです? 国中に不満となる言霊が溢れ、反乱に発展することもありえます。実際に、幾つかの国は滅びました」


 そう聞くと恐いなあ。

 でも、分かる。

 もしもアザトールにあの時に出会ってなかったらどうなってただろ。

 周りからの悪意に曝された私は、今のようには生きてないと思う。

 自殺、或いはココロが弱った私に優しくしてきたお姉ちゃんの言いなりになってペットコース?

 どっちにしろロクでもないね!


「で、貴族全体で見た場合は、効いてないのは、王族直系血族の人達、そこの公爵家令嬢、ぐらいでしたね。後、騎士団長もなぜか効きが悪いようでしたので、初めて会ったときにちょっと無効化するようにしておきました」


 それでルドラさんは、私に対して周りみたいに悪意を向けてこなかったのか。


「お嬢様には謝らなければなりません。色々と探してますが、言霊の権能を使用している者の予想は立っていますが未だに手掛かりがありません。しばらくこの状態を我慢下さい」


「あ、うん」


 まー、別に良いかな。

 悪意向けられるのは正直言ってイヤだ。嫌すぎる。

 でも、ルドラさんやアザトールはそんな事無く、きちんと接してきてくれる。

 私はそれだけで満足だ。直接危害がある訳で無ければ、放って置いてもいいぐらい。


「権能を操る者……とりあえず神と呼称しましょう。神は、権能の効果がない公爵令嬢を始末しようと考えた事でしょう。ですが、無実の公爵令嬢を始末すれば問題となる。ところで神の黒幕は一石二鳥ともなる計画を立てます」


「それが私を殺すこと……」


「はい。公爵令嬢をお嬢様を殺すように仕向けます。例えば、万が一にもあり得ませんが、お嬢様を殺したとします。王族殺しでなら公爵令嬢を十二分に殺すことが出来て、お嬢様も死んでいるので、黒幕は万々歳でしょう」


「――そう、言えば、私に関してはことは何も言ってなかったです」


「で、逆の場合は、お嬢様を護るため優秀なちょっと戦闘力の高いメイドがいた場合、返り討ちに遭い、お嬢様を殺そうとしたことで、逆に殺される。その場合はお嬢様は無事ですが、公爵令嬢は居なくなって、不確定要素が1つ潰れるので問題は無いです」


「つまり、どっちに転んでも黒幕は損しないんだ」


「ええ。そういう風に計画を練ったでしょうから」


 さすがお兄ちゃん。

 その腹黒さは見習いたくないなぁ。でも、国を治めるには腹黒さは必要なんだろうけど。

 と、すると、どうしてシノンはそのままなんだろ。

 お兄ちゃん側に神(仮)の力があるなら、シノンの記憶ぐらいどうにでも出来そうなんだけど……。

 知られても問題ないと思ってるのかな。

 そうだとしたら正解だよ。

 嫌われている私が幾ら騒いだとして、誰が取り合ってくれる? 取り合ってくれないよ。

 それに元々からして騒ぎ立てる気は無かった。

 人に注目されるのも面倒だもの。本当、私は王族に向いてない。

 平民に堕としてくれないかなぁ。

 大きく溜息を吐いた。


「今回の事はさ、初めから何も無かったって事で手打ちにしない?」


「え、え?」


「シノンが私を襲ったなんて事は無かった。それで良い?」


「わ、私は、トワ様がそれで良ければ、構いませんが……。宜しいんですか?」


「良いの。良いの。シノンが私を襲ったって事はなかったんだから、そんなに畏まることはないからね」


 私がどう動こうとお兄ちゃんの手の上みたいな感覚がある。

 なら、少しでも私の意思で、私の好き勝手に動いてやる。


「そうだ、アザトールは、シノンのお父さんの病を治すことが出来る?」


「えっ」


「千里眼で視ましたが、公爵家当主の病は少々特殊なようですね」


「あ、アザトールでも無理なんだ」


 千里眼とか色々やっているから、なんでも出来るってイメージが出来つつあったけど、出来ない事もあるんだ。

 うんうん、それが普通だよね。


「無理ではございません。お嬢様がご命令を下されれば、立ち所に治療して参りましょう」


 ……ちょっと怒ってる?


「あ、なら、その……お願いします」


「お任せ下さい。立ち所に治療してきます」


 アザトールは返事をすると、空間を歪曲させて消えた。

 ……出来ないって決めつけは良くなかったよね。うん。

 帰ってきたら謝ろう。土下座かな。土下座だよね。

 やったこと無いから練習しようかな。


「あ、の、トワ様。ありがとうございます」


「気にしなくて良いよ。初めから何も無かったんだから、シノンのお父さんが病気の侭っていうのは変だしね。それに……」


 どう考えても、マッチポンプじゃん、これ。

 お兄ちゃん(アザトールは除く)しか治せない病気とか、治す為にシノンに何か要求する気満々だよね。

 シノンにお礼を言われるには罪悪感がありすぎる。

 身内の不祥事をなかったことにしてるだけだし。

 王族に嫌われている私が、なんで王族の不祥事のもみ消しをしないと駄目なんだろね。

 本当、この世はままならない。


「……トワ様。私に出来ることはないでしょうか?」


「え?」


「本来なら私はあのメイドの人に殺されていてもおかしくなかった立場。それを助けて貰い、お父様も助けて貰うなんて――。喩え無かった事されるにしても、何もお返ししないようでは、公爵家の名が泣きます!」


 それ、全部アザトールがしたことだし。私は殺されたかけただけだし。

 でもシノンは、何か要求しないと退く気はなさそう。


「それじゃあ、ダメ元で言うけど、イヤなら断ってくれても良いけど、その、私と友達になって下さい」


「お友達、ですか? 私で宜しければ、喜んで」


「――良いの? 私だよ。国中にたぶん嫌われてている悪名高い穀潰し第二王女だよ」


「自分のことをそこまで卑下なさる事はないですよ。それは何者かによる策謀でしょう。短い間ですが、一緒にいて噂のような方ではないと分かりました」


「……ありがとうシノン。これから宜しくね」


「はい。トワ様」


 シノンと握手をする。

 よしっ。

 念願の友達ゲェェット!

 一緒にご飯食べたり、一緒に出掛けたりとか、一緒に恋バナとか、これからは出来るっ。

 感謝したら駄目なんだろうけど、きっかけを作ってくれたお兄ちゃん。ありがとう。

 もうこれ以上は何もしないで下さい。

 本当、お願いします。







 一方で、フォークライ公爵家へ向かったアザトールはと言うと。


「――これ、ほどですか」


「ハッーハッハッハッ。我の勝ちだ! アザトール・オリジン。貴様が奪った、我らが原型(アーキタイプ)の名前「デウス・エクス・マキナ」を還して貰うぞ!!」


 アザトールは地面に膝を付き、両肩は切断された状態となり、心臓には神槍により貫かれている。

 目の前で敵対しているのは、デウス・エクス・マキナ≒■■■■≡ヴァージア。

 かつてアザトールの親友であった機械神の類似品。

 類似品から派生した分神体であり、類似品に限りなく近い性能を持っていた。


「これで、終わりだ――! 死んで消え去れ、大罪の神殺しっ」


「本当、これで――終わりですね」


 クロトロスの手に魔力が集中し、アザトールへ向けて放とうとした。


昨日、短編ですが投稿しました。

『ロリコンだと濡れ衣(?)を着せられ、勇者パーティーを追放された魔法使いは名誉挽回するために旅をする(https://ncode.syosetu.com/n3991ey/)』

宜しければそちらの方もお願いします。




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