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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第三章【襲撃】
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安心と忠告


明けましておめでとうございます。

ブクマ150突破です。

今年もよろしくです。




 アルカディア国の上空には、巨大な刃が現在進行形で落下してきている。

 発動させたのはジェガンだと思われる。

 てかそれしか考えられない。

 こんな凄い神器がAランクで創造出来るのかは疑問だったが謎が解けた。


 信じられないことにジェガンは死ぬ間際、6つ目(・・・)の神器を発動させていた。

 後で、ララに確認してもらって判明した。



 Sランクの神器だった……



 もしかしたら俺が最後に斬る前に既にジェガンは事切れてたのかもしれない。

 自分より上のランクの神器を発動させて魔力が耐えきれずそのまま……


 どこで手に入れたのかは不明だが、まさに執念の為せる業だった。

 ただ発動と同時くらいにジェガンの神器は全て壊れていた。

 少し欲しい神器があったのにそれだけは残念だ……





「任せろって……1人でやるのか?」


 ルキが少し心配そうに尋ねてきた。



「あの神器を斬り裂くのは俺1人でやるけど、もし破片やらが無数に出たら皆はそれを何とかしてくれ」

「……分かった」


 ルキはなんとなく想像出来たのかゴクリと唾を飲み込んだ。



 皆は固唾を飲んで俺を見守っている。

 それか、不安そうに上を見上げていた。

 戦士達は神器を発動させて身構えている。


 俺も神器を発動させた。

 発動させたのは、【絶刀・天魔】【森羅万象】【魔名宝空】の3つ。

 魔名宝空に雷属性を付加させて嵐属性にし、絶刀・天魔には風属性を付加させた。

 そして構えは【脇構え】。


 俺は両の脚に力を込めて一気に真上に向かって跳躍した。

 まるでロケットの噴射の如く俺は飛び上がり、瞬く間にジェガンの放った神器との距離を詰めた。



【脇構え】+【風属性】


「【陽金・風の位 風見鶏(かざみどり)】!!」



 俺は巨大な刃に突っ込みながら刀を振り上げた。

 同時に絶刀・天魔の能力【巨大化】を発動させて刀を巨大化させた。

 巨大な刃と刃がぶつかったが、重みを感じたのは一瞬で後は豆腐を切るみたいにスパッと真っ二つに割れた。


 次に俺は絶刀・天魔の大きさを元に戻して、【炎属性】を付加させ八双の構えをとった。



【八双の構え】+【炎属性】


「【八双・炎の位 白爆発(ふれあ)】!!」



 二つに割れた刃の1つ目掛けて俺は刀を再度巨大化させながら袈裟斬りに降り降ろした。

 ジェガンの発動させた神器は燃えるようにして粉々に砕けて消えていった。



 よし、あと半分!



 俺は徐々に落下していたが、魔名宝空に魔力を込めて一気に下降し、残りの刃に向かって突撃した。



【脇構え】+【炎属性】


「【陽金・炎の位 太陽光】!!」



 巨大化したままの刀でそのまま斬り裂こうとして、刀がぶつかった瞬間に駄目だと感じた。



「うっ……くっ……そ…………」


 ある程度は砕くことが出来たが、綺麗には斬り裂く事が出来ず、ジェガンの発動させた神器が落下していった。



「…………っ」


 ここにきてどうやら魔力が尽きたみたいだ。まぁ生身の身体でここまで急いで帰ってきた訳だし、心身ともに疲労困憊な訳だ……うん、頑張った。



 後は……皆に任せよう。



 発動させていた神器は全て解除され、そのまま落下していった。



ーガシッー



 俺は空中で柔らかい何かに抱き締められた。

 いや抱き抱えてもらった。

 この柔らかさはレイナだろうか?



 ガオウだった。

 確かにガオウの毛並みは柔らかくモフモフだったが、鎧が硬くて痛い。



「後は我らに任せろ」

「……お、おう」


 俺は、チラリと下を眺めた。

 サラ、ルキ、バアルがSランクの神器を発動させているのが見えた。

 俺は安心するとそのまま目を閉じ眠った。




◆◆




 竜斗達が巨大な神器を砕く同時刻、アルカ大森林を駆ける者がいた。



「はぁ……はぁ……はぁ……」


 草木を掻き分けて走るが、葉や木の枝で体に無数の切り傷が出来ていた。



「くそったれがっ! まさか俺が……こんな……くそっ!!」


 オークスは敗走した。

 皆が命を落とす中、どさくさに紛れて逃げ出した。



「まだだっ! まだ俺はやれるっ! まだ俺は……!?」


 オークスが森の少しだけ拓けた場所に出ると、急停止した。

 前方には魔人族の女性が待ち構えていた。



「逃がしません」

「はぁ……はぁ……はぁ……くそがっ!」


 オークスはAランクの神器を発動させた。


【バトルナックル】<籠手/地/無/A>


 それはボクシンググローブに無数のトゲがついた籠手の神器だった。

 レイナも黒銀に輝く籠手の神器【大和】を発動させた。



「バトルナックルゥゥアアァァ!!」


 オークスはレイナ目掛けて殴りかかった。

 それに対してレイナは半身になり脚を広げ腰を落とすと、左手を開いて前に突き出した。

 右手は握り拳を作り、少し後ろに引いて腰の辺りに置き魔力を込めた。



「真・崩龍拳……」


 レイナもオークス目掛けて駆け出した。

 お互いの距離が詰まるとレイナはありったけの力を込めて右拳を突き出した。



 レイナとオークスの拳が交差すると、よくある戦闘シーンみたいにお互いにすれ違った。



「俺は……俺は……こんな、ところ、で……」


 オークスは最後の言葉を吐き出すと、そのまま衝撃により宙を舞った。

 そして事切れながら地面に落ちていった。




「…………ふぅ」


 オークスの骸を見下ろし、少しだけ息を吐き出すと、レイナはその場を後にしようとした。



ーパチパチパチー



 突如レイナの後方より手を叩く音が聞こえ出した。

 レイナは音のする後ろへ、勢いよく振り返った。



「魔戦姫……いえ今は魔神姫でしたか? 兎に角、流石ですね、うちの幹部を一撃とは」


 白を基調とした綺羅びやかなローブを纏いフードを深く被った女性が亡骸となったオークスの近くに立っていた。



「……誰です?」


 レイナは警戒を最大限にしつつ、静かに尋ねた。



「これは失礼を。私はギルド【魔族狩り】のギルドマスター、アーシャという者です」

「アーシャ……確かスレイヤ神国の第2王女と同じ名では?」


「おや、知っていましたか。そうです、それはかつての私です」


 アーシャはクスクスと笑いながら話した。



「……そして、【元・光王】にして、ネムリスの姉ですね?」

「……どうしてそれを?」


 初めてアーシャの声色が変わり、それには少しだけ怒気も含まれていた。



「簡単には教えません」

「(確かスレイヤ神国とホウライ王国との国境付近に向かっていた筈……だとしたら恐らく【水王】辺りか……)まぁいいでしょう」



「それで……今度は貴女方が私達と戦うのですか?」


 レイナは神器に魔力を込めようとした。



「いえいえ、とんでもない。あれはこのハゲが率いた【ナーガ組】が勝手にやったこと。ギルド【魔族狩り】としては現状貴女方と戦う気はありませんよ」

「でしたら何の用でしょうか?」


「冷静ですね魔神姫レイナ、好きですよ貴女のような方。まぁ用と言う程の事ではないのですが1つだけ忠告をしに……」

「忠告?」


「はい。早くとも1ヶ月以内にはスレイヤ神国が大々的にこのアルカ大森林目指して進軍してきます」

「なっ!?」


「ふふっ、この馬鹿達が貴女方の国を攻めたことが姉王の耳に入ったようです。スレイヤ神国が全軍で攻めてきますよ」

「…………っ」


 レイナは平静を装うとするが、つい歯軋りしてしまった。



「貴女の味方をしている人間、竜斗さんでしたか? 彼がアーク帝国の【薔薇】【竜胆】【百合】の3人を撃退したことで、アーク帝国の戦力は今ガタガタなのです。そんな時に魔族の国が見つかったのですから姉王は既に戦の準備を始めていますよ」

「…………ありがとうございます、と言った方がいいのでしょうか?」


「ふふっ、気にしないで下さい。ただ気を付けて下さい、姉王の攻めはハゲと違って苛烈を極めますよ」

「……1つ私からも」


「何です?」

「何故、私達に助言を?」


「…………しいていうなら【興味】、ですかね」


 アーシャは少しだけ考えてから答えた。



「興味……?」

「はい。貴女も知ってると思いますが、この世界は魔族を狩るのが1番の利益になります」


「…………」

「ただ、貴女方は今までの魔族とは違います。それがランクなのか、竜斗さんなのかは分かりませんが……貴女方を見ていたら利益が、いえ世界が変わる気がするのです」


「…………」

「私はそれを見てみたい」


「傍観者ですか?」

「そうですね。ただ貴女方が利益にならないと判断した時は、私も容赦なく貴女方を攻撃します」


 アーシャは威圧する様に魔力を解放した。

 レイナ程の魔力の量ではなかったが、その魔力は今のレイナの強さを遥かに上回るものだった。

 レイナの頬を汗がつたった。



「ふふっ、では健闘を祈ります。またお会いしましょう」


 アーシャは魔力を静めると、ニコリと頬笑み、一瞬にしてその場から姿を消した。



一陣の風が吹いた



 レイナはただただ空を見上げた。



「スレイヤ神国……そしてアーシャ・スレイヤル…………もっと……もっと……強くならなくちゃ……」


 レイナは拳を力強く握ると、そのままアルカディア国に向かって歩き出した。



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