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どうせなら異世界で最強目指します  作者: DAX
第三章【襲撃】
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合魔とノリ


はい、勢いで書いたツケを回収する回です。




 相手の攻撃を上半身だけで躱す。

 相手の体には無数の傷があり、戦歴を物語っていた。

 だが男の攻撃はトロくて欠伸が出そうだった。



 遅いな~……



 攻撃を躱すと男はバランスを崩していたので、そっと足を出すと見事にスッ転んだ。

 チラッと周りを見ると、俺の代わりにルルが欠伸をしていた。



 こらこら……



 自分達にとっては不意をついたつもりなのかも知れないけど、左右から挟み撃ちするようにして攻撃してきた。

 1人は斧の神器を振り回し、もう1人は籠手の神器を装着して阿呆みたいに殴りかかってきた。

 少しだけ後ろに上体を反らして躱す。

 相手は勝手にぶつかり合って自滅している。


 俺はほとんどその場から動いていなかった。

 本当に無駄のない動きって、自然とその場から動かないものなんだな。



 これが先日戦った羅刹王だとそう上手くはいかないが、相手は人間の雑魚5人組。

 正直、取るに足らない相手だった。



 もういいか……



迦楼羅(かるら)! 水蓮華(すいれんか)! 嵐斬龍(らんきりゅう)! 雷怒死(かみなりおこし)!!」


 炎、水、風、雷の4連撃……4人の敵は無惨に散っていった。

 残りの1人も地属性で倒して、鮮やかな五つのコントラストが奏でる5連撃を披露しようとした。



「ひっ、ひぃぃぃぃぃ!!」

 男は脇見も振らず逃げ出した。


「あっ!」

「あっ!」

 俺とルルはハモった。



 すると、ヒューーーーと落下する音と共に、逃げ出した男は地面に叩きつけられた。



「げばっ……」

 男は全身複雑骨折で、あえなく御臨終となった。




「遅かったなガオウ」

 俺は男を下敷きにしているガオウに声をかけた。


「バカ者……お主が速すぎるのだ」

 ガオウは下敷きにした男から降りると、俺に文句を言い始めた。


「わりぃわりぃ、だって【魔名宝空】の練習ならこの辺りが1番だしな」

 俺は全然悪びれていなかった。





 俺達(俺、ガオウ、サラ、ルキ)は羅刹王と夜叉姫の迷宮を攻略すると、ルルが迎えに来てくれる予定ポイントに向かった。


 とりあえず神珠は帰ってからララに鑑定してもらい、サラとルキにあげることにした。

 2人が夜叉姫を倒したわけだし当然だな。

 その為の迷宮攻略だったわけだし、神珠の大きさからみても2つともSランクはありそうだ。


 神器は羅刹王を倒した俺が貰った。

 まぁ【神鳴】は【雷属性】だし、他の皆にあげても属性が発動されないので、ただの刀の神器になるだけで皆には必要なかった。

 刀の神器【神鳴】はそのまま所持し、具足の神器【銀鶴】はレイナへのお土産にした。


 以前レイナが手に入れた籠手の神珠はSSランクで、ランク的に扱うのは厳しい。

 メインで使用している籠手の神器【大和】はAランクで少々物足りない。

 【銀鶴】はSランクだし、能力も【衝撃】なのでレイナなら上手く使ってくれるに違いない……なんかどんどん武装されていってる気がする。


 その内、全身凶器になりそうだな……

 拳で空を裂いて蹴りで大地を割る的な……



 道中は少しだけスキル【合魔】を試した。

 風属性の【魔名宝空】に水属性を付加させたら、新属性【氷】になった。

 俺自身は出来るようだ。

 そしてSランクになった3人にも試してみたが、やはり3人は上手く出来なかった。

 【風・水】や【地・風】とかになるだけで、新たな属性にはならなかった。


 後は帰ってゼノに試したいところだ。

 ゼノのスキル【属性<光闇>】にしたらどうなるか気になった。



 ガオウに説明してもらったが、これまた奇妙な属性だった。


 【光属性】や【闇属性】のスキルをそれぞれ持っている人間や魔族もいるそうだ。2つの属性は珍しく、所持者はそれほど多くはないがいるそうだ。

 更に珍しいスキルになると【属性<光・闇>】のスキルを持っている者もいるそうだ。


 ルキに聞くとゼータは【属性<風・水>】というスキルを所持しているそうだ。


 だがゼノの【属性<光闇>】はそれとも、ちょっと違うみたいだ。

 堕天族でもゼノだけの先天スキルで、別々の属性のようで1つの属性のような凄く曖昧な属性スキルらしい。

 【合魔】の1歩手前みたいな属性スキルだった。



 話がそれたけど、ようは現状俺以外は新属性は無理ってことだ。

 【合魔】のスキルを持ってる奴がいればいけそうだけど、今はいない。

 ただ、本当に後少しで皆も【新属性】になりそうな気はする。惜しいところまではきている感じだった。


 要検証だな。



 頭が痛くなってきたから、後はルルとの待ち合わせ場所まで、広大な草原で【魔名宝空】の練習をするだけだった。

 他の3人はガオウのスキル【重力操作】の練習台になった。

 軽くなったガオウとルキをサラがスキル【飛翔】で運ぶだけだけど。



 俺は【魔名宝空】と【森羅万象】を発動させて、【嵐属性】の魔名宝空で風を切りながら、草原を疑似飛翔した。



 【守護】の能力が本来の用途をなしていなかった……

 ソラちゃんを守る為にマナさんから譲り受けた神珠で作った神器が、俺の疑似飛翔の為の守護に使われていた。



 マナさんの旦那さんが生きてたら怒られそうだな……



 そんなこんなで疑似飛翔していたら、【神眼】が前方に見覚えのあるウサ耳の女の子を捉えた。


 スピードを緩めようとしたが止まらない……


 仕方無かったのでスピードを緩めず、一気にブレーキをかけた。

 見たこともない男にぶつかったが、【魔名宝空】の能力【守護】でダメージは0だった。


 危ない危ない。




 ルルと久々に再会して軽く挨拶すると、またもや人間達が魔族を痛め付けていた。

 本当に見てて不快だった。


 神眼で見ると、【アザゼル・フリード】って名前の堕天族の男性と、【リリス・ゼブル】って名前の蟲人族の女性が傷だらけで倒れていた。


 本当にこっちの世界の人間はクズしかいなかった。

 魔族に対しても優しい人間は1人もいないのだろうか?


 そんなことを考えていたら人間達が襲いかかってきたので、軽くあしらった。







「ルル、いきなりで悪いけど2人を回復してあげて」



「了解です」

 ルルは籠手の神器【オリオン】を発動させて、2人に向かって手を(かざ)した。

 淡い光が2人を包み、2人の傷はすぐに消えていった。



「やっぱ、すげ~な治癒士は……俺も【アクエリアス】使ったけど、中々難しかったもん」



「そうですね、スキルがないと難しいと思います」

 ルルはそう言いながら今度は籠手の神器【アスクレピオス】を発動させた。


 これまた2人に翳すと、2人のボロボロになった羽がゆっくりと【復元】されていった。

 綺麗な光が2人を包んでいた。



「あ、ありがとうございます……」

 リリスがルルにお礼をしていた。


「大丈夫ですよ、私は治癒士ですから直に羽も元通りになると思います」


「す、すみません……」

 アザゼルもルルに申し訳なさそうにしていた。


「ところで2人はどうしてこんなところに?」

 俺は2人に尋ねた。


「…………」

「…………」



 あれ?

 返事がない…………無視か?



 すると上空からゆっくりとサラとルキが降りてきた。



「何やらあったみたいですけど大丈夫でしたか?」

 サラは心配しているのか、心配していないのか分からないトーンで心配してきた。


「サラ様、お久しぶりです」


「あらルルさん、お久しぶりです……いきなり治癒させられてるんですか?」

 サラは状況を見て、そう判断したようだ。


「そうなんです、相変わらず竜斗様は鬼畜なんで」

 またルルが訳のわからない事を言い出した。


「こちらの方は?」

 ルルはルキに目を向けた。


「すまない、名乗るのが遅れた。マモン・ルキウス・ドラグナーだ。ルル殿だな? よろしく頼む」

 相変わらずの堅苦しい言い方。


「はい、ルルと申しますルキウス様。こちらこそよろしくお願いいたします」

 ルルは復元しながら、軽く一礼した。



「ところで我が国の民達は?」

「はい、大丈夫ですよ。1週間ほど前にアルカディア国に着いて、ここに来るよう伝言を頼まれました。今は落ち着いてそれぞれ生活しておられます」


「そうか、それは良かった」

 ルキは胸を撫で下ろした。



「あ、あの……」

 リリスは何やらルキに言いたげだった。


「ん?」

「先程お名前の中にドラグナーとありましたが、もしやドラグナー国の方ですか?」


「そうだが……貴女方は?」


 リリスとアザゼルはお互いを見合せた。



「わ、私達はホウライ王国から逃げてきました! 帰るところもないのでドラグナー国を目指していました……お願いです! どうか私達をドラグナー国に連れていってください!!」

「お、お願いします!!」


 リリスとアザゼルは懇願した。



「……すまない、ドラグナー国はもうないんだ」


「!?」

「!?」


「少し前にアーク帝国の攻撃に耐えられなくなり、放棄してきたのだ……」


「そ、そんな……」

 リリスとアザゼルは項垂れた、希望が消え去るかの如く。



「ならアルカディア国に来ればいい」

 黙ったまま腕を組んでいたガオウが口を開いた。


「!? アルカディア国?」

 2人はハッとし、ガオウの方を向いた。


「そうだ、我々はアルカディアという国の魔族だ。アルカ大森林内にて隠れて暮らしている」

「私達ドラグナー国の者もアルカディア国に亡命したのだ」



 2人はもう1度お互いの顔を見合せた。



「い、いいのですか?」

 アザゼルは恐る恐る尋ねた。


「構わん。姫様……いや、我らの目的は魔族の国を1つにすることだからな。魔族の仲間が増えるのはいくらでも歓迎する」



 2人の顔は希望に満ちるが如く明るくなった。

 嬉しさからか安堵からか、2人の目から大粒の涙がこぼれた。



 ルルは回復し終わると今度は門の神器【ゲート】を発動させた。


 門が繋がるのを待っている間、軽く食事をとった。

 2人はほとんど何も食べていなかったようだ。

 みるみる目の前の食べ物がなくなっていった。


 一頻(ひとしき)り落ち着くと2人はちらちら俺を見ている。



「……えっと、何?」

 俺が尋ねると2人はビクッとなった。


 今まで人間の奴隷としてツラい体験をしてきたみたいだ。

 人間が怖いのだろう。

 2人はガオウやサラ、ルキやルルに視線を送った。

 戸惑いを隠せないみたいだ。



「安心しろ、竜斗は異世界の人間だ。こちらの世界の人間と違い、お主達に酷いことをすることはない」

 俺はウンウンと頷き、ガオウナイスと心の中で褒め称えた。


「何を言っているガオウ殿、こいつほど危険な存在もあるまい」


 うぉいっ!!

「ルキ……君は何を言っているんだい?」


「そうですよガオウさん、私達がどれほど新属性の実験体にさせられたか……」

 サラはヨヨヨッと嘘泣きのフリまでし始めた。


「む……」

 ガオウは口ごもった。


「バカなのか? お前バカなのか!? お前がそんな反応したら2人が不安になるだろ!」


 俺は2人をチラッと見た。


 見ろ!

 2人が抱き合って小鹿のように震えて、怯えた目でこっちを見ている。


 ルルを見ると黙ったまま無視を決め込んでいた。私何も聞こえません的な。


「お前兎人族だろ! 絶対全部聞こえてるし!」



 いつものくだりをやると、皆クスクスと笑っていた。



 リリスとアザゼルは呆気に取られていた。まだこのノリについていけないようだ。徐々に打ち解けられればいいが。



 そしてゲートが繋がると皆で門をくぐった。



 久々の【レイナの胸(スライムアタック)】が俺を待っている。





ガオウのスキル【大地】は、属性<地>+地耐性です。

サラのスキル【風華】は、属性<風>+風耐性です。

ルキのスキル【水流】は属性<水>+水耐性です。


上記は属性スキルの上位スキルです。


ゼノのスキル【業火】は一応マイナススキルです。

属性<炎>の神器を使えるけど、使うと状態異常【火傷】になるスキルです。


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