第十話 初めての討伐、初めての……
討伐依頼を受けたので俺は早い時間から起き、依頼の詳細を聞きにメイナのもとへ向かう。
「お待ちしておりました。真平様。今回倒してほしい魔物は『キラーヴォルグ』です。」
「キラーヴォルグ?」
「狼のような魔物です。鋭い牙と爪を持っており、普通ならゴールドランクの方にやってもらっています。」
それじゃあゴールドランクの奴に頼めよっていいかけたが、よく考えると昨日、メイナが忙しいって言ってたな。だけどゴールドランクの依頼をブロンズランクの俺にやらせるのもどうかと思うが。
「よし、そういえば報告はどうやってすればいいんだ?」
「その点は問題ありません。その装置がやってくれるそうです。」
そういってメイナが指差したのは俺の左手首にある機械だった。
「へえ~『サーチャー』がやってくれんのか。」
「『サーチャー』?」
「ああ、これのことさ。名前、超長いから省略させてもらったんだ。」
まあ、もっとも、ネーミングセンスは人のこと言えないな。名前、超だせえ。
「なるほど。わたしも『サーチャー』と呼んでもよろしいでしょうか?」
「もちろん。」
「ありがとうございます。ではキラーヴォルグを10体倒してきてください。」
「え?10体とか聞いて……」
「行ってらっしゃいませ。」ニコニコ
「…………はい。」
反論できなかった。というかできるはずがなかった。俺はメイナは怒らせないようにしようと心の中で決めた。
―アルマゾーン付近の森
獣族の子供が森の中を一人で歩いている。どうやら、道に迷ったらしい。
「どうしよう……お母さんもいないし…………さみしいよ……」
すると、その子供の前に狼の魔物がでてきた。かなり興奮している。
「え……?」
「グルルルルル……ガウッ!」
「う、うわあああああああ!!!!!」
狼は獲物をしとめたと思っていた。しかし、実際は違っていた。その子供が立っていた場所には何もいなかった。
「………?」
狼は当然困惑している。何が起こったのか?
ドガッ!!
急に狼の体が何者かに攻撃された。狼は少しつらそうにしている。
「……キラーヴォルグ……。」
声をするほうを向くとここからはよく見えないがおそらく、人間と思われる少女が立っていた。その腕のなかには獣族の子供がいる。
「グルルルルル……」
キラーヴォルグはその少女を威嚇し、攻撃を仕掛けてきた。爪が少女の左腕をかすらせ、少量の血が流れ出す。
「……………」
すると、少女は無言のまま、ものすごいスピードでキラーヴォルグに近づいた。
「グルッ!?」
そして、その少女はキラーヴォルグを蹴り飛ばした。しかし、安心したのもつかの間だった。キラーヴォルグの周りに仲間たちが集まってきた。
「「「「「ウウウ……………ガウッ!!!」」」」」
さて、俺は今、やっとアルマゾーンについた。
(確か、キラーヴォルグがいる場所は近くの森って……)
左のほうを見るとそれらしき森が。どうやらあそこみたいだな。
(よし、とっとと終わらせるか。)
俺は森に足を一歩踏みいれた。
「……ガウ……ガウッガウッ!」
(ん?なんだ……?)
少し、動物みたいな声が聞こえてきたので俺は声のするほうへ向かった。すると、少し広い場所にでて、目の前には狼10体に囲まれている少女の姿があった。
「……これはたすけなくちゃだめだよな?しょうがねえ。行くか。」
俺は狼の群れの中に突っ込み、少女のもとへ寄った。
「大丈夫か?けがとかは……。」
「…………………。」
俺は途中で話すのをやめた。なぜなら、その少女は俺が昨日、ハンターから助けた少女だったからだ。足も竜のものだし、間違いない。
「……まあ、とりあえずなんとかしねえとな。お前、戦えるのか?」
その少女は黙ってうなずいた。
「その子を持ちながらでもか?」
少女は続けてコクリとうなずく。相変わらず無口だな。
「じゃあ、半分たの……」
「……まって。キラーヴォルグの様子がおかしい……。」
いきなり声をかけてきたのでびっくりした。だが、よく見ると確かにおかしい。なぜか苦しそうだ。
「グ、ググ……」
「真平、気を付けて、狂暴化してる。」
右の手首にまいたミサンガからちいさい声が聞こえる。セラだな。
「グ、グ、グオオオオオオ!!!!!」
その瞬間、キラーヴォルグの目がカッと開いた。白目になっていて鼻息が荒い。
[ビー!!狂暴モンスターです!!]
『サーチャー』から音が流れる。それくらい知ってるわ!!
「「「「「グ、ググ…………」」」」」
他の奴らも苦しみ始めた。マジか……。10体も相手するのか。まあ、俺の力があればどうでもいいが。
「おい、やっぱお前は今すぐその子を連れて逃げろ。ここは俺一人で十分だ。」
しかし、少女はブンブンと首を大きく横に振った。
「いいから早く逃げろ!!死んでしまうぞ!!」
だけど少女は動かない。よく見ると顔から涙を流している。
「……………わかった。訳は後で聞く。今はそこに座っていろ。戦いには邪魔だから加わんな。」
彼女は少し悩んでからコクリとうなずいた。よかった。これで断られてたらどうしようかと思っていた。
「「「「「グ、グオオオオオオ!!!」」」」」
そのほかの奴らも一匹目と同じようになった。
「じゃあ、行くぜ。」
俺はキラーヴォルグに近づき、右フックを顔面にぶち当てた。そのキラーヴォルグは木に当たった。気絶はしていない。
「くそ……殺すしかないようだな。」
そして俺は暗黒剣を抜く。そして右からやってきたキラーヴォルグを縦に切った。そのキラーヴォルグはあえなく絶命した。
「ッ!!次!」
吐きそうになる感覚を何とか抑えながら、俺は一匹、また一匹と切っていった。
「ラスト!!!」
俺は最後の一匹の首筋に剣を突き刺した。
ブシュッ!!!
「グ……ガ……。」
キラーヴォルグたちは全滅した。ひどい死臭だ。
「……くっそ。」
俺はまだ、かなり吐きそうだ。それでも俺は我慢し、少女たちのもとへ歩み寄った。
「大丈夫だな?早く村に戻るぞ。」
俺はその少女を連れ、森を後にした。
「ありがとう!お兄さん!お姉さん!」
俺達は村の中で少女の抱えていた子を見送った。先ほど目が覚めたばかりなのになぜあんなに元気なんだろうか?謎だ。
「じゃあな。」
「………待って。」
俺が村を出ようとした瞬間少女は俺を呼び止めた。
「なんだ?」
「……………仲間に入れて。」
仲間?どういうことだ?あ、でもそういえばメイナが言ってたな。ギルド内の方であれば4人まで自由にパーティが組めるって。
「おまえ、ギルドに入ってないだろ。あきらめ……」
「じゃあ、入る。」
素直に言われた。だが、元の世界に戻るっていう目的がある以上、仲間にするわけには……
「……………お願いします。」
なんと、いきなり少女は土下座した。畜生!断れねえじゃねえか!
「……わかった。よろしくな。え~と、名前は?」
「………リーナ。」
「そうか。俺は真平。よろしく、リーナ。」
俺はリーナに右手を差し伸べる。
「………よろしく………お願いします。」
リーナは俺の手を握り返した。その手は小さく、かわいらしい手だった。
というわけで真平が仲間をゲットしてしまいました~。




