帰還準備
私は、森本ユキ。高校生。とある事情でとある高校に入学した。初めは、魔物退治だと言ってある男の子を私の仲間に加えた。しかし、途中からは魔物退治などしなくなった。正確に言えば魔物退治を行わなくてよくなったということだ。
魔物が高校に現れたのはもちろん、意味があった。魔物たちは私たちが放ったからだ。そして、魔物たちを相手に戦うことによる私の能力向上が目的だった。それは、私が崇拝してやまない王のためだった。王を守るために私は成長する必要があった。私たち一族存亡のために。
私は、カーディガンとウェリントン型のメガネが特に好きだった。カーディガンは、暑くてもすぐ脱げるし、寒くなったらすぐ羽織れる。考えた人は偉いと思う。そんなことはどうでもいい。どうでも良いことをしゃべるのも実は好きだった。王がくれたカーディガンは特に愛用している。
ある日、私は自称傭兵の男にさらわれてしまった。あれは、迂闊だった。私としても、あの時の私の能力をもってすれば確実に倒せる相手であった。しかし、何かが私の力を押さえていた。それ故に、さらわれてしまった。数時間、その傭兵と過ごしたがとても紳士的な男だった。
そして、その時は来た。彼は、丘の上にある公園に私を連れて行き、私を殺そうとしたのだ。
「覚悟はいいか」
男は、言った。
「覚悟は……できない。まだやり残したことがある」
私は、正直に言った。
「そうか。なら、少し質問がある」
「なんだ」
「お前の、親玉。あれはなんだ。頭がいかれているのではないか」
私は、驚いた。どうやら、この男は私たちの王の計画を知ってしまったらしい。どうやって知り得たのか見当がつかなかったが、目の前にいるこの男はあの計画の全貌を知ったのだ。
「どこで、それを知った。お前、命を狙われても仕方がないぞ」
私は言った。
「そうだろう。しかし、君はそれでいいのか。俺だったら、それで良いはずがない」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!」
あたしは、激高した。しかし、次の瞬間だった。
「う……うぇっぷ」
目の前の男が突然口から血を流したのだ。
「ど、どうした」
「そ、そうか。そういうことか。俺としたことが……まぁいい。よく聞け。ともかく、お前は一度彼に会うべきだ。君の知っている計画以外の計画が……」
「おい!」
そして、彼は私の前に倒れたのだった。さらに時を同じくして私たちの高校のかりそめの仲間たちが私を助けにきたのだった。私は、この時思った。このままではたしかにいけない。計画の進行は確かに順調ではあるが、彼が言った一言が気になる。私の知らない別の計画があるのか。そんな馬鹿なはずはない。私は、国に帰らないといけない。それに、最近私を嗅ぎ回っている犬がいることも感じている。たぶん、あのサトシとかいう友達か。彼からは少し違うオーラを感じている。
まぁ、いいわ。とにかく、早く王の元に戻らないといけない。
こうして、私は国に帰ることにした。この国で一番大きい山の麓にあるあの樹海から続く私の世界へ。




