第15話そして、月日は流れ11月(終)
何かがおかしいと、朝、目が覚めたとき思うことは多少あるだろう。例えば、体調が優れない。これは、日常茶飯事である。まぁ、天気が悪いとか、気温が低いとか。そんなところもあるだろう。俺は、朝、目が覚めたとき、何かしらの異変は感じていた。何かいつもと違うと。でも、それがなんだかはわからなかった。とにかく何かがおかしかったのだ。
「母さん、飯はー」
居間に行ってみたが、誰もいなかった。どうやらまだみんな寝ているらしかった。いや、この辺に関しては日常茶飯事である。そして、飯はと聞いて出てくるような家でもないのは事実である。仕方なく、俺はトーストをオーブンに放り込み、冷蔵庫からマーガリンといちごのジャムを取り出し、焼き上がるのを待った。
景気の良いオーブンが焼き上がる音がしたので、俺は、皿を一枚もってトーストを取りに行った。綺麗とは言えないが、焼き目のついたトーストを熱い熱いと言いながら取り出した。テーブルへと持っていき、座りながら俺は、トーストにマーガリンといちごジャムを塗りたくった。ふと、ニュースがなんとなく気になったので朝の情報番組を見るためにテレビの電源を付けた。
「今日は、季節外れの暑さになりますのでご注意くださいね」
よくわからないアイドルが天気予報を語っていた。今日は暑くなるらしい。なるほど。11月というのに30度近くまであがるらしい。それは、季節外れだ。ブレザーはいらないかもしれない。
むしゃむしゃとトーストを頬張っていると、スポーツニュースをやり始めた。海外での日本人サッカー選手の活躍が目覚ましいとのことだった。俺は、サッカーをあまりしらないがなんとなく嬉しいニュースだった。
時計を見たら8時を回りそうだった。チャンネルを変えたら、これまたあまり知らない棒演技で有名な俳優が料理を作っていた。無駄にオリーブオイルを天空落としの如くかけまくる番組だと、学校で話題になっていたのを思い出した。俺は、初めて見たので、これのことかと思った。
8時10分には家を出たかったので、俺はカバン等々を用意して、髪型等々を整えて、靴を履き玄関を出た。愛車のネモ号に跨がり、学校へと行った。
通学路で、サトシにあった。彼は彼で自転車に乗っていた。俺なんかよりも立派なクロスバイクであった。愛車、愛車と騒いではいたが、俺のはママチャリだった。いつか、俺もクロスバイク的なものに跨がりたいと虎視眈々と狙っていたりする。
「おはよ」
「おはよ」
「今日は、また随分と遅いね」
サトシは言った。
「まぁ。なんか、テレビ見てた。あの棒俳優の料理を朝からおみまいされてきたわ」
「ああ、あれ見てたんだ」
「噂ほど面白くなかったぞ」
「オリーブオイルの量が足りなかったんだよ」
「かもしれない」
今日は、遅刻5分前に学校についた。我ながらいつもより結構遅い。いつもなら、15分前には学校につき、自分の席に座って週刊の漫画を両手に持ってお行儀よく座っているからだ。
「はい、みんなおはよー」
教師が入ってきて、クラスのみんなは席にあたふたとついた。
「出席取るぞー」
「はーい」
あっという間に放課後だ。さっき、朝の出席を取ったような気がしたが気づけば授業は終わり放課後だった。まぁ、朝から放課後まで寝ていたから当たり前なのだが。
俺は、部室があった場所に行った。あの後だ。あの森本先輩が誘拐された後、とんでもないことが起きた。俺は、今でも嘘なんじゃないかと思っている。
あの後、俺たちは家に無事帰ることができた。が、その次の日。俺は部室に行くと、部室の中身がもぬけのからになっていたのだ。秋山タイチも、横山ハルも学校から消えていた。そして、森本ユキも学校からは消えていた。俺には、何がなんだかよくわからなかった。居なくなったのだ。すっぽりと。
そして、未だに彼らとは会っていない。11月になった今でもそうだ。俺らは、どうして彼らが居なくなったのか知りたかったのだが、今となってはその理由を知る術はない。きっと、なにか俺に言えない理由があって姿を消したのだろう。俺とは、戦えないとかそんな理由で。それは、それで納得がいく理由かもしれないが。
部室の机の上にかかる埃を俺は手で払った。宙に舞う埃を俺は、少々吸ってしまい咳き込んだ。情けない。自分でも何をしているのかよくわからなかった。俺は、その人の居ない部室の椅子にもたれこみ、天井を見てぼーっとしていた。
しばらくすると、部室のドアを叩く音がした。俺は、いきなりだったため少々驚いたが、はいと返事をした。
「誰か、居ますか?」
「居ますよ。開けて良いですよ」
女の人のような声がした。聞き覚えのある声だった。そして、扉を開けてその人物は入ってきた。
「た、タケルくん?」
見たことのある、カーディガンを身にまとい、少々ずれたウェリントン型のメガネをかけている背の低い女の子が俺の目の前に立っていた。
「お久しぶりです」
恥ずかしいやら嬉しいやら。なんともいない気持ちになった。
「ごめんなさい。いきなり居なくなってしまって」
「いや、まぁ少しは寂しくなりましたし理由も気になりましたけど……」
「ちょっと、いろいろあって。あまりにも急だったからタケルくんに挨拶もできなくってね」
「そうですか。まぁ、良いですよ」
「あ、今からちょっと話せる時間ある?」
「ありますよ。俺はいつでも暇ですから」
そういうと、俺は森本先輩の後についていった。カーディガンの袖を手でにぎにぎする先輩を久々に見たが、少々かわいくなっている気がした。
学校を出て、ちかくの公園に来た。公園には誰もいなかった。
「あのね」
森本先輩は、振り返って俺の方を向いた。
「なんですか」
「実は……」
「タケル!」
いきなり、俺を呼ぶ叫び声が聞こえた。俺は、反射的にそちらの方を向いたら意外な人物が立っていた。サトシだった。サトシは、なぜか、肩から血を流し、怪我をしていた。そして、なぜかサトシは右手にピストルを持っていた。
「タケル、そいつから今すぐ離れるんだ!」
何を言っているのか、よくわからなかった。そいつとは誰だ。俺の近くにいるとすれば、それは森本先輩ということになる。俺は、森本先輩の方を恐る恐る振り返った。
森本先輩の目はなぜか真っ赤になっていた。
「実ハ、今日ハ貴方ヲ捕食シ二来タノ」
そういうと、彼女の口から長い牙が二つを程生えて俺に抱きついてきた。俺は、避けることができなかった。そして、次の瞬間、森本先輩は俺の首に噛み付いてきた。
「ぐ、はぁ、、、」
「タケル!」
サトシの声が、聞こえたが徐々に聞こえなくなっていった。俺は、死んだ。死んでしまった。
俺は、死んだ。生き返るとかゲームのような話は無く、普通にかみ殺されて死んでしまった。どうやら、森本先輩たちは敵であったのだ。そして、サトシはそれらを退治するために選ばれた者であったらしく、日々俺を見張っていたようだった。そう、俺はしばらく敵の懐で活動していたらしい。突然彼らが居なくなったのは、秋山と横山をサトシが倒したからだ。そして、森本先輩は一人逃げ、最近になってまたこの場所に戻ってきたとのことだ。
しかし、俺は死んだためこの事実を知らず、仲間に殺されたという思いを胸に土に還ることとなった。
そして、町に平和が戻った。
これで、この話は終わりです。途中でよくわからなくなってこんな週刊誌の打ち切りのような終わり方になってしまいました。力不足です。他の作品も呼んで頂けたら幸いです。では、また。




