ゲームスタート!(ソロ)
みんな大好きキャラクリ
VRゲームに手を出すと決め手から4日が経ち、遂に新神創世の配信開始が迫っていた。
VRヘッドギアはすでに持っていたし、ソフトも問題なく買えたのでもう5分もしないうちにゲームを始めることができる。
しかし残念なことにアズは外せない用事が出来てしまったらしく、今日は一人で遊ぶことになった。とは言ってもあんまり進めるつもりはなく、リハビリも兼ねてチュートリアルを終わらせたらやめる予定でいる。
時刻を確認し、そろそろログイン出来そうなのでヘッドギアを被りベッドに横たわる。
電源を入れると意識が遠くなるような感覚の後、夢で起き上がるような感覚を経て意識がハッキリと立ち上がる。
この新しい自分が作られるような感覚は何度も経験することで慣れるらしい。
新神創世をプレイしますか?
yes← no
〈プレイヤーネームを設定して下さい〉
という文と共にキーボードが目の前に現れる。
事前に決めていた名前をサクサクと入力していく。
〈OK,プレイヤーRiO それではキャラメイクに移行します〉
また味気ないボードが出てくるのかと思いきや真面目系美少女が出てきて喋った。
〈私があなたのキャラメイクを手伝わせて頂くNoAIのNo.37、サナと覚えて頂ければ幸いです〉
AIとはいうがどの程度の性能なのだろうか。事前に用意された選択肢を選ぶだけの簡単なものか、それとも考えることすら可能な複雑なものか、……少しだけ気になる。
〈ここではキャラメイクに「マニュアル」と「オート」の2つの方法があります。どちらにしますか〉
「マニュアルとオートの差は?」
〈質問に回答させていただきます。
「マニュアル」は容姿、ジョブ、ステータスポイント、スキルをご自身で設定される方、主にキャラクターの方向性が決まっている方向けの方法です。
「オート」は私が幾つか質問をし、プレイヤーの回答を反映したキャラクターを作成します。
この事に関して疑問がございましたら質問を受け付けます〉
人のような受け答えに芽生えたばかりの些細な興味がさらに存在感を増したが、気にせず続けよう。
「一つ質問、この世界で最初に戦うことになるモンスターは?」
気にせず続けよう、とか言っておきながら的外れな質問をして興味を満たそうとしている。あ〜あ悪い癖が。
〈成る程、理解致しました。
貴方がこの世界で最初に戦うモンスターは何か、という質問への回答は「スライム」です。
では「マニュアル」、「オート」どちらでキャラメイクを開始しますか?〉
これはすごい、一切脈絡のない問に対して彼女は理解と言って回答して見せた。この時点で彼女がそこそこ以上のAIというだけではなく、最近話題の自律思考型―――人間のような思考能力を持ったAI―――の可能性すら出てきた。
ただし自律思考型AIは一般には公開されていない国家主導の開発であったはずなので、あくまで可能性の範疇でしかないのだが。
「こういうのは詳しくないからオートでお願い」
〈了解致しました。
質問を開始します。〉
早速質問されるらしいがどんなものなのだろうか、興味のあるものとか運動の頻度とか?
〈好きな食べ物は?〉
……そうか、好きな食べ物、か。これは一本取られたな。
「僕はアップルパイが好きだよ」
〈フフフ、覚えておきます。
次の質問です、好きな色は?〉
こんな新学期の会話のような質問でキャラメイクが出来るのだろうか。彼女には疑問と興味が尽きないな。
「青系統」
〈身体を動かすのは好きですか?〉
「嫌いじゃないけど得意ではない」
〈趣味は?〉
「散歩」
〈敷かれたレールと敷いたレール、どっちがいい?〉
〈握るなら鉄と木どっち?〉
―――その後も幾つか質問に答え、計9個(最初のは含めていない)の質問が終わりNo.37が創り出したキャラがこちら。
〈ステータス〉
PN:RiO LV:1
ジョブ:魔法使い LV:1
HP 100
MP 40/40
筋力 15
防御力 5
魔力 20
技量 10
俊敏 10
SP 0
スキル:
魔力吸収
MP自然回復
火属性魔法
地属性魔法
スライド
装備:
右手 アップルパイ
左手 (アップルパイ)
頭 なし
胴 初心者のローブ
脚 初心者のズボン
足 初心者のブーツ
アクセサリー なし
アクセサリー なし
アクセサリー [ロック]
アクセサリー [ロック]
謎に筋力のある魔法使いになってしまった。そして武器アップルパイって何?ツッコミ待ちかな。
〈チュートリアルに移行します〉
「え、説明とかないかんじ?」
〈詳細はメニューにあるヘルプを参照していただければ大丈夫です。
ではチュートリアルを開始します〉
説明無し!
……
編集箇所
・ステータスにアクセサリー欄を追加(9/10)
・AI「No.37」の印象の変更 クール系→真面目系
2024/04/06 アクセサリースロット追加
2024/04/27 心の声と会話を加筆