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オカ研の部長

 ちょっと落ち着いたので、またぼちぼちと書いていこうと思います。



「お二人さん、今日の放課後ちょっと時間いいかぃ?」


 夜の学校探索から一週間後の昼休み、ご飯を食べ終えてまったりしていると結桜からそんな話をされた。

 今日はスーパーに行く予定もないので放課後は暇だ。最近は日も長いし、部活動が終わる時間になってもまだ日は沈んでいない。


「大丈夫」

「私も」

「おー!部長から写真の現像が終わったって連絡が来たから、今日鑑賞会をしようってことになってね!部長もぜひ二人に来てほしいって言ってたんよ!」


 ああ、あの妙にフレンドリーな七不思議と撮った写真か。


「じゃあ、放課後ね!」

「うん」

「あーい」

 

 学校の怪異以外写ってないといいけど。










「ようこそ、オカ研へ!ワタシが部長の神出かみでだ!よろしく頼むよ!」

「よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします」


 オカルトに会ったときの結桜みたいなテンションで挨拶をしたのが、オカルト研究会の部長さんらしい。今は二年生で背は結桜くらいで、大きな眼鏡をかけている。因みに三年生の部員はいるが幽霊部員らしいので、出席率の高い神出先輩が部長をやっているとのことだった。

 正直あんまり上級生には見えない。


「さて、話には聞いているよ、梧桐君に黒鳥君。特に梧桐君は、視えるそうだね」

「え、まぁ…………結桜」

「いやん、そんな目で見ないで♪」


 コイツ……ッ!

 私が結桜を睨みつけていると、部長が困った声で弁解し始めた。


「結桜君を責めないでくれ。ワタシが無理やり聞き出したんだ。そうだな、ワタシだけ知っているのはフェアじゃないな。ワタシも多少視えるんだ」

「はぁ…………」


 そんなことを言われても、はいそうですかと簡単には信じられない。オカルト好きの”視える”は、本人の妄想だったりただ目立ちたいだけの嘘だったりするからだ。


「信じられないかい?それもそうか。じゃあ鑑賞会の前に少し校舎を散歩しようか」


 そう言うと神出先輩は、席を立って教室の外に出て此方を手招きした。

 望と結桜と顔を見合わせて、とりあえず神出先輩に着いていくことにした。



 少し歩いて窓のない暗い廊下の前で立ち止まる。

 こういう所は好きじゃない。害がないとはいえ、あの黒い奴が廊下の隅にいるから。

 ほぼ無意識に望の服の裾を掴む。望がそれに気が付いて裾を掴んでいたあたしの手を、まるで大丈夫だよと言うように握ってくれた。

 あたしの変化に気が付いたのか、神出先輩が申し訳なさそうに眉を下げた。


「すまないね。これが一番手っ取り早いと思ってな。結論から言うと、あそことあそこ、あそこ。ああ、後そこか、人ならざる者がいる」


 神出先輩が指さした4か所には、確かに黒い奴がいる場所だった。驚いて神出先輩を見ると、いつとったのか眼鏡をかけていなかった。

 結桜は先輩が指さしたところを見て首をかしげていたから、やはり普通の人には見えていないみたいだ。

 だけど、数が足りない。


「はい。でもあと二つ、います」

「…………どうやら君はワタシよりもよく視えるようだ。部室に戻ろうか。ワタシもここには長居したくないのでね」


 そう言って踵を返した神出先輩はすでに眼鏡をかけていた。







「さて、これで信じてくれたかな?」

「まぁはい。あの、すみませんでした」

「んぅ?ああ、気にするな。疑われるのには慣れている。むしろこちらが謝罪をするべきだろう。怖がらせてすまなかった」

「そうですよ!いくら害がないとはいえ、視えて気分がいいものではないですから!」


 プンプンと効果音がつきそうな顔で望が怒る。

 うん、そんな顔膨らませて怒っても可愛いだけだけだからな?

 神出先輩は少し驚いていたものの、すぐに先ほどまでと同じ調子に戻った。


「ふむ。もしかして、黒鳥君も視えていたのかい?」

「え!?あーえーっと、なんか嫌な雰囲気はあるなーとかが分かるくらいですよ!ね、さくちゃん!」

「あたし!?えっと、そう!そうなんですよ!」


 まさかこっちに振られるとは思っていなかったので、かなり挙動不審になってしまった。

 そんなあたし達の空気を感じた結桜は、意地の悪い笑みを浮かべていつも以上に間延びした口調で望に声をかける。


「へぇ~、そうだったんだー。まあ、隠したい気持ちは分かるけどさ、うちには話してほしかったなー。友達っしょ?それとも、友達だと思ってたんうちだけ?」


 よよよと泣き真似をして望を揶揄っている結桜。

 あたし的にまたやってるって感じだけど、望は真面目なのか純粋なのかオロオロとしている。


「ち、違うよ!?結桜ちゃんのことちゃんと友達だと思ってるよ!ただ、心配かけたくなかっただけなの!結桜ちゃん、さくちゃんのこといっつも気にかけてくれてるからこれ以上負担かけたくないっていうか!だって、結桜ちゃんも大切な友達だから!」

「うぇい!?」

「おー」


 望は珍しく焦りながら、結桜にまくし立てた。しかもそれを抱き着きながら至近距離で言ったもんで結桜も目を白黒させている。

 まあ、望があたし以外で、あと花子さんもか、唯一タメ口で話す人だから友達だと思ってないわけないんだよ。ここ数か月一緒に過ごしてわかったけど、望は人当たりはいいけど必要以上には踏み込ませないようにしてる感じがある。本人は無意識なんだろうけど、それが顕著に出ているのは言葉遣い。未だにクラスメイトとも敬語で話している。

 それにしても、結桜が狼狽えてるのおもしれー。どうだ、好きってストレートに伝えられると恥ずかしいだろー。


「わ、わかった、わかったから!近いから少し離れてほしいんよ!」

「やだ!」

「う~、朔!どうすればいいんよ!?」

「ん?望が満足するまで、抱き着かせてあげれば?」

「そりゃないんよ!」


 結局、望は数分間結桜に抱き着いたままだった。その間結桜は真っ赤な顔をしながら、揶揄ったことを謝ったり弁明したりしていた。

 結桜はあたし達の友達だから許したけど、ちょっとモヤっとしたのは内緒だ。

 




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