【05】 レーサーに必要な「気象学」
車は浜名湖の美しい夜景の見える大橋を渡っていた。
爽香「綺麗……」
千鶴「いつか、浜名湖の競艇場でも走るのよ」
爽香「はい! 頑張ります!」
千鶴「そう、その意気よ。爽香さん、養成所でいろいろ勉強したでしょ? 操縦学、整備学、それと……」
爽香「気象学、ですか?」
千鶴「そう! レーサーになって一番差がつくのって、実は『気象学』なのよ」
千鶴は真剣な眼差しで爽香を見つめた。
千鶴「気温が下がり、水温が下がると、エンジンの回転はどうなる?」
爽香「上がります! 空気が凝縮して吸入効率が良くなるからです」
千鶴「正解。じゃあ、標高が高いレース場では?」
爽香「ええと……気圧が下がるから、モーターの出力量が落ちます」
千鶴「完璧じゃない! そういう『体感』と『知識』を結びつけるのが大事なの」
爽香「でも、覚えきれるか不安です……」
千鶴「難しいノートなんて作らなくていいの。『今日は空が青くて気持ちよかった』『水がぬるかった』『登録番号〇〇の先輩がイケメンだった』――そんな日記で十分よ」
爽香「えっ! イケメンとか書いていいんですか!?」
千鶴「いいのよ! 楽しく続けなきゃ意味がないんだから。レース場ごとに24冊、ノートを作りなさい」
千鶴の温かい言葉が、傷ついた爽香の心にじわじわと染み渡っていく。
千鶴「海老名サービスエリアに着いたら、名物のメロンパンを食べましょうね。お腹いっぱいごちそうするから!」
爽香「わぁっ! 本当ですか!? 楽しみです!」
夜の高速道路を、車は軽やかに駆け抜けていく。
爽香は窓の外の流れる光を眺めながら、深く息を吐き出した。
爽香(プロの世界は怖くて、厳しい……。でも、こんなに温かい先輩もいるんだ。あたし、もう一度だけ、死ぬ気で頑張ってみよう)
胸の奥で、小さな情熱の火が再び灯り始めていた。
(了)
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【後書き】
物語の主人公・速水爽香は、デビューから3節、絵に描いたような挫折の真っ只中にいます。全レース最下位、さらには新人にとって最も手痛い「フライング」と「即日帰郷」。
ボートレースの世界は華やかな賞金の裏側には、常に命の危険と、結果を出さなければ居場所を失うという冷徹な現実があります。爽香が直面した「夢中になると周りの声が聞こえなくなる」という感覚は、何かに一生懸命になったことがある人なら、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。しかし、プロの世界ではその純粋さが時に命取りになります。
そんな彼女の絶望を救ったのは、同じ埼玉支部の先輩、里見千鶴の優しさでした。
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【ポイント・評価での応援のお願い】
爽香のこれまでの成績まとめ
第1節、戸田、デビュー戦。実質オール最下位。転覆も経験。
第2節、戸田、ほぼオール6着。違反により即日帰郷。
第3節、蒲郡、初遠征。トップスタートを切るも……フライング欠場。
もし「爽香、ここから這い上がれ!」「里見先輩、かっこいい!」と思っていただけましたら、 広告の下にある 【☆☆☆☆☆】 を 【★★★★★】 にして、応援ポイントを入れていただけますと幸いです!
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【読者様へ】
たくさん素晴らしい作品がある中、本編をお読みいただきありがとうございました。m(__)m
皆様に愛される作品となりますよう努力を重ねていく所存です。m(__)m
あきらかな内容の間違い、誤字、脱字、コンプライアンス違反などありましたら、なんでも結構ですのでお申し付けくださいませ。m(__)m
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【ボートレース関係者の皆様へ】
いつもボートレースを楽しませていただいております、ありがとうございます。m(__)m
ボートレーサーの皆様だけでなく、ボートレース関係者の方々、特に裏方として運営や現場そして宿舎を支えている方々には感謝の気持ちでいっぱいです。m(__)m
これからは逆に、ボートレース関係者の方々に楽しんでいただこうと思い、この作品を書き始め、そして今後も書き続けてまいります。
皆様方に少しでも恩返しが出来たら幸いです。何とぞ宜しくお願い申し上げます。m(__)m
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