第四十七花「すれ違う想いと、ひとつの答え」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 夏休み・部室
「ここ、もう少し明るい展開にしたい」
私はノートを指さして言った。
「……そうかしら?」
芽草ちゃんが静かに首をかしげる。
「この流れなら、一度落とした方が感情が深くなるわ」
「でも、プレイしててつらくなりすぎないかな?」
「それも含めて物語よ」
少しだけ、空気が止まる。
◆
「……」
私はペンを持ったまま考える。
(どっちも、間違ってない気がする……)
「他の人の意見、聞きましょう」
芽草ちゃんが言う。
◆
「私は……」
リリィちゃんが少し悩んでから言う。
「感情が動く方が、好きです」
「……落ちる展開、あり」
翔ちゃんも小さく頷く。
「音的には……」
菫ちゃんがゆっくり言う。
「落ちたあとに上がる方が、印象に残るかも」
「構造的にも、その方が自然です」
睡蓮さんが補足する。
◆
「……そっか」
私は少しだけ息を吐いた。
「じゃあ、一回落とす方向でいこうか」
「いいの?」
芽草ちゃんが少しだけ意外そうに聞く。
「うん」
「その代わり!」
私は顔を上げる。
「最後はちゃんと、前向きにしたい!」
「……ええ、それは必要ね」
芽草ちゃんが小さく笑った。
◆
「じゃあ、書き直すね!」
私は一気にペンを走らせる。
さっきまで少し迷っていたのに、
今は不思議と手が止まらない。
(落ちるからこそ、上がる――)
(その方が、きっと心に残る)
◆
「……できた」
書き終えて顔を上げる。
「見せて」
芽草ちゃんが読む。
静かな時間。
「……いいわね」
その一言で、
胸が少し軽くなった。
「本当?」
「ええ」
「ちゃんと“あなたの良さ”も残ってる」
「よかった……!」
◆
「反映します」
睡蓮さんがすぐに作業に入る。
「イラストも調整する」
「音も変えてみるね」
「テストします……!」
また、みんなが動き出す。
さっきまでの小さなすれ違いは、
もう消えていた。
◆
「ねぇ」
私は小さく言う。
「さっきさ」
「うん?」
「意見ぶつかって、ちょっと焦った」
「……そうね」
芽草ちゃんも少しだけ苦笑する。
「でも」
「うん」
「なんか、前よりいいの出来た気がする」
芽草ちゃんは少しだけ目を細めて、
「そうね」
と、優しく答えた。
◆
作品を作るって、
楽しいだけじゃない。
考えて、
ぶつかって、
悩んで。
でも――
それがあるから、
もっといいものになる。
◆
「次はどこ詰める?」
「中盤の演出を」
「……やる」
「はい……!」
「音、もう少し重ねたい」
「処理も最適化します」
また、いつもの空気に戻る。
でも、
少しだけ強くなった気がした。
「よーし!」
「もっと良くしよう!」
夏の開発は、
まだまだ続く。
――すれ違いの先に、見えたもの。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




