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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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あぶらののろい

 油の臭いがする。

 いや、ガソリン、それも違う。灯油だろうか。

 灯油の臭いが辺りからする。

 ただそれらしきものは何も見当たらない。


 少年は嫌な臭気に立ち止まり、辺りを見回す。


 ここは公園の一角だ。

 少年が立つこの辺りはむき出しの地面で舗装されていない。

 昨日、雨が降ったので水たまりができている。

 その水たまりがところどころ虹色に輝いている。


 油が、灯油が浮いているのであろうか。

 少年はそう思った。

 灯油の臭いがするので、きっとそうなのだろうと。


 水たまりの表面に浮かぶ、虹色の薄い膜。

 それが少年の見ている前で、風もないのに勝手に姿を変えていく。


 それは二つの穴を作り、最後に二つの穴の下に歪んだ楕円形を作った。


 まるで人の顔に見える。

 虹色の人の顔が水たまりに映っているように見える。


 無論、それはリアルな人の顔ではなく、簡単な落書きのような人の顔だ。

 それでも少年を怖がらせるには十分だった。

 少年は助けを求めるように友人らを呼ぶ。

 すぐに少年の元に数人の子供が集まってくる。


 集まった少年らは、水たまりに浮かぶ薄い虹色の顔を見る。

 そして、各々が騒ぎ出す。

 スマホで撮影しようとする者や、木の棒を拾ってきて、水たまりをかき混ぜようとする者。

 中には水たまりに石を投げ込もうとする者もいた。


 さらに素行があまりよくない友人の一人が、油なら燃えるんじゃないか、そう言いながらマッチを取り出した。

 学校で禁止されている爆竹に火をつけるためのマッチだ。

 その友人は水たまりに浮く油に火のついたマッチを近づけるが、それで火が付くわけもない。


 結局、少し変わった油が水たまりに浮いていただけで、その時は解散を迎えた。

 ことが起こったのは翌日だ。


 少年の友人が数人ケガをした。


 木の棒で水たまりをかき混ぜた友人は引掻かれたような傷を、石を投げた友人は顔に石が当たったような傷を、火をつけようとした友人は顔に火傷を負っていた。

 怪我をした要因は様々であったが、少年らの間でこれは油の呪いと名づけられ、怖がられることになった。


 ついでに、スマホで撮影された水たまりの顔は、くっきりと画像として残っていて、なぜか笑っているように見えたという。

 少年らの間だけでだが、その画像がチェーンメールのように一時期飛び交っていた。


 誰が加工したかわからないが、その画像は飛び交うごとにどんどん不気味なものになっていったそうだ。

 そして、稀にだがその写真を受け取った者はなにかしらの怪我をするのだ。





あぶらののろい【完】

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