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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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おちてくる

 ボトッという何かが落ちた音がした。

 少女は音のした方を見るが特に何か落ちてきた様子はない。

 だが、確かに何かが落ちたような音が室内からしたことだけは事実だ。


 ただそれほど少女は気にしない。

 何か落ちたのであれば、そのうち気づくだろうと、そう思ってのことだ。


 そして、少女はスマホの画面に視線を戻す。

 少女はスマホに夢中になる。


 するとまた、ボトッと音が聞こえて来る。

 何かが転がってベッドの下へと転がり込んだのが今度は見えた。


 ただ、何が落ちて来たのかはっきりとは見えなかった。

 少女はベッドの下を覗き込む。

 何もない。


 もしかして生物で虫とかネズミなのか、と少女は気味悪く思う。

 ただ、それらしきものは何もないのだ。


 少女は元々いた位置に戻り、スマホを見つつ、周囲にも気を配る。

 虫かネズミかが入り込んでいるかもしれないと。

 だが、しばらくしてそれは落ちてくる。


 顔だ。

 人形の顔だ。

 こぶし大くらいの大きさの人形の顔だ。

 顔だけがどこからともなく落ちて来て、そしてベッドの下へと転がり込んでいったのだ。

 今度はそれをはっきりと見ることができた。

 少女はすぐにベッドの下を覗き込む。


 そこには何もない。

 確かに人形の顔が転がり込んだはずなのにないのだ。


 そのあと少女は人形の顔が落ちてきたほうを確認する。

 壁と天井があるだけで何もない。

 そちらの方には棚などもない。

 少女も訳がわからなくて呆然としていると、何もない虚空から、何かが落ちて来て少女にあたる。


 それはやはり人形の顔だ。


 少女にぶつかった人形の顔は床に転がる。

 それを少女が拾い上げようとすると、それはひとりでに転がりベッドの下へと転がり込む。


 そこで見てしまう。


 ベッドの下へと転がり込んだ人形の顔はベッドの下で跳ね上がり、ベッドの背面に張り付いていたのだ。

 ベッドの背面にはいくつもの人形の顔が張り付いて、少女の方を見つめていたのだ。


 少女は大きな悲鳴を上げる。

 少女の親が駆け付けて来て、事情を聴いてベッドの背面を見るが、そこに人形の顔などありはしなかった。


 だが、少女の部屋では、まだ何かが落ちてくる音がするのだ。

 ベッドの下には入り込まないように柵が敷かれているが、それが意味があるのかどうかは分からない。


 もしかしたら、どこかに人形の顔がたむろって張り付いているのかもしれない。






おちてくる【完】

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