表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それなりに怖い話。  作者: 只野誠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

791/809

いけのこい

 少年の家は裕福で大きな庭があり、そこには立派な池もある。

 池には鯉がいっぱいいて、優雅に泳いでいる。

 そんな鯉のうちの一匹が、池の縁から顔を出して、口をパクパクさせていた。


 それを見た少年は鯉が何か求めているんだと、そう思い鯉の元へと走り寄った。

 少年は鯉の前にしゃがみ込む。

 池の縁にある黒く大きく平たい石の上に、鯉は身を乗り出し、水中から顔を出して、口をパクパクさせている。


 大きな鯉だ。

 金色の鯉だ。

 とても立派な鯉だ。


 そんな鯉に向かい少年は、どうした? 餌が欲しいのか? と声を掛ける。

 返事が返ってこないのは少年にもわかり切っていたことだった。


 のだが、その時は返事が返ってきた。

 少し間延びした声で、発音は悪いがちゃんと人の言葉で、今は餌はいい、と、確かに鯉はそう言ったのだ。


 少年は驚く。

 それで尻もちをつく。

 少年が呆然と鯉を見ていると鯉は更に、少し池の水が冷たい、どうにかならぬか? そう言ってきたのだ。


 池の水が冷たい、そう言われた少年は、お湯を注げばいいですか? と聞き返す。

 すると鯉は、そんなことをされたら死んでしまう、と言う。


 じゃあ、どうすれば、と少年が迷っていると、鯉が答える。

 大人に伝えてくれ、と。


 少年は頷き、おずおずとその場を後にする。

 そのことを少年は父親に伝える。

 すると、父親はものすごい笑顔になる。

 そして、少年に言うのだ。


 おまえが会った鯉はうちの守護神だ。その要望を叶えることでうちは栄えて来たんだ。早速池用のヒーターを用意しないとならないな。


 父親は本当に嬉しそうにそう言った。

 実際、すぐに池用のヒーターが設置された。

 それから少年の家が栄えたかどうか、少年には分からない。

 だが、父親の羽振りが良くなったことだけは事実だ。


 それから数年して、少年はまた池の縁に金色の鯉がいるのを目撃して、鯉に会いに行く。


 そして、鯉は言うのだ。

 腹が減った。人が食いたい、と。


 少年がそれを父親に伝えても、父親は笑顔のままだった。




 





 

いけのこい【完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ