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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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てんじょうのかげ

 少女が寝ようとし、部屋の電気を消し布団に潜り込んだ時に、天井になにか丸い影が映り込んでいることに気づいた。

 なにが影となって映りこんでいるのだろう、と、少女は考える。


 少し楕円状で一か所だけ太い棒のようなものが見える。


 割とありふれた形だが、それが何なのかまでは少女にはわからない。

 それにその影を映し出している光源にも心当たりがない。

 少女はベッドから起きて、光源がなんなのか少女はベッドから起き確かめないと、そう思いつつも布団の外は寒く一度入り込んでしまった布団から出たくはない。


 ただ、天井に映し出された影が気にならないわけでもない。

 少なくとも昨日まではそんな影が天井には映し出されることはなかったのだ。


 しばらくその影を少女は不思議そうに見て、何の影なのか、また光源がなんなのかを考えてみる。


 だが、その答えに少女がたどり着く前に、影が形を少しだけ変える。

 楕円の部分に二つの穴が開き、ちょうど目のようになる。

 そうなると位置的に太い棒状の影が首に見えてきて、影全体が顔のように見えてくる。


 なんで影の形が変わったんだろう、と少女が思っていると、丸い穴だった、目のように見えた二つの穴が三日月状に変化した。

 今度は笑っている顔のように見える。

 ピクトグラム的な絵が笑っているようにも思える。


 そこで少女は初めて、その影が怖くなる。


 それどころか、その影が少女を見ているような気がして仕方がなくなってくる。

 もう寒いから布団から出たくない、なんて考えている場合ではない。


 少女はベッドから飛び起き、部屋の電気をつける。


 電気の光に照らされて、天井の影はあっさりと見えなくなる。

 そして、天井に映し出されていた影があった場所の真下まで少女はやってくる。

 光源と影を映し出していたものを特定するためだ。

 だが、そこには影になりそうなものはないし、そもそも影を作るための光源も見当たらない。


 少女がますます不気味に思っていると、突然部屋の電気が消える。

 少女の真上の天井に先ほどの影が、笑った顔の記号のような影が映し出される。


 あまりに急で、少女は悲鳴も上げられずに息を飲む。

 そして、天井の影と目が合っていると、そう感じる。


 天井の影に見下ろされる形となり、少女は動けなくなる。

 金縛りにあったわけではないのだが、視線を外したら何かをされるという直感が少女にはあったのだ。


 しばらくの間、一分か五分か、三日月状の笑ったような目が少女を見下ろし続けた。


 その状況に少女が耐えきれなくなり、少女は部屋から走って逃げだした。

 そして、親のいる部屋へと駆け込んでいく。


 少女の両親は驚きつつも、少女の様子に話を真剣に聞き、父親が少女の部屋を調べに行く。


 父親が少女の部屋に行くと、少女の部屋の電気はついていて、床に麦球が一つだけ不自然に落ちていたそうだ。

 麦球には配線があったものの、電源には繋がっていなかった。


 その日、父が少女の部屋で寝ることとなったのだが、特に変なことは起きなかった。


 ただそれだけの話だ。







てんじょうのかげ【完】

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