幸せな朝食
(んーーーー♡♡♡ なんて美味しいの!!)
幸せに膨らんだ頬を赤く染め、幸せを噛み締める。焼きたてカリカリふわふわのパンに新鮮な卵と野菜、そしてグランバル伯爵家では滅多にお目にかかれないパリッパリジューシーなソーセージ。目の前に用意された朝食を幸せいっぱいに堪能しているとなんだか視線が…………。
「――――――っ、!!」
幸せそうに朝食を摂るリーシャの姿を室内の皆が穏やかに微笑み見守っている。
(は、恥ずかしい!!)
顔を真っ赤にし膝のナプキンに目線を落とすと、視界の隅に意地悪そうに笑うアレックスの姿が。チラッとテーブルの向こうのアレックスに視線を向けると、
「(リス)」
と口を動かし自身の頬をつつくとニヤっと笑う。
「――――――っ(カァーッ)!!!」
さらに真っ赤になるリーシャ。そんなふたりの姿を見て、ラスタがひとつ咳払いをすると、ビクッ!と身震いし綻んだ口元をキュッと結ぶアレックス。
「リリー♡ いーーーーっぱいたべてね♡ 」
幸せそうに満面の笑みをリーシャに向けラスタが言う。アレックスは強ばった顔で黙々と食事を続ける。
(いったい、ラスタ様とアレックスになにがあったのかしら……)
「ありがとうございます!とっても美味しくって……、お母様と領地のみんなにもたべさせてあげたいわ―――」
「マリア!」
「はい、陛下。すぐにご用意を」
リーシャの言葉を聞くやいなや、ラスタがすぐに声を掛けると予測していたと言わんばかりにテキパキとそばに控える侍女達に指示を出すマリア。
(料理長にレシピを―――)(食材と香辛料を手配して―――)
リーシャの耳になにやら聞こえてくる言葉の数々。きょとんとするリーシャに笑顔のラスタが声を掛ける。
「リリー♡ 今日は何をして過ごそうかしら♡
お買い物とお茶会と、明日は演劇を見るのもいいわね♪ 画家を呼んでリリーの絵を描いてもらうのも―――」
楽しそうに今後の予定を提案するラスタに父グランバル伯爵が落ち着いた様子で答える。
「今日の午後には出発する予定です。」
「―――な、なんですって?!」
幸せな笑顔から一転、ラスタの顔から笑顔がフッと消える。
「王都に着いてまだ1日しか経っていないじゃない!もう少しゆっくりして行けば―――」
「今回は昨日の宴の為に伺いました。終われば帰ります。それに、領地までは我が家の馬車ではやくても3日はかかります。残してきたアンヌが心配してしまいますので、」
アンヌの名前を出されたらこれ以上引き止めることはできない。ガックリと肩を落とすラスタ。
「お母様とみんなにお土産を買うのですが、ラスタ様一緒に選んでいただけませんか?」
目に見えて元気がなくなるラスタを見かね、リーシャがそう声をかけると目を輝かせパァっと笑顔になる。
「もちろんよ! マリアっ!」
「はい、すぐに」
再びマリアが侍女達に指示を出す。
(すぐに商人を―――)(ドレスを30着程、それに合わせた宝石も用意を―――)
なにやら、とんでもない規模の話しが聞こえてくる。リーシャは聞こえないフリをしてデザートの果物をもぐもぐたべはじめた。
(んーーー♡ おいしいっ♡)




