アンヌとラスタ
鏡に映る華やかな自身の姿に嬉しさが溢れ、何度も見返しては「フフ♪」と声が出て笑顔がこぼれるリーシャ。ふと視線に気がつくと穏やかな微笑みでこちらを見つめるマリア…。
「―――し、失礼いたしました!」
真っ赤な顔でそう言うリーシャにマリアは微笑み首を振る。
「いいえ、とてもお似合いでございますよ。
さすがはラスタ王妃陛下がお嬢様へと自らデザインしたドレスでございます。」
(……………………ん??????)
にっこり微笑みそう言うマリアの言葉に、頭の中が『?』でいっぱいになる。
(私のためにラスタ様がデザインした…???)
「ええ、こちらにご用意させて頂いたお召し物は全てお嬢様への王妃陛下からの贈り物でございます。ニコッ」
リーシャの頭の中が見えているのか、マリアはそう言って衣装部屋の扉を開く。中には色とりどりの美しいドレス、帽子、装飾品がズラリ。
「―――っ?!」
大きな瞳をさらに大きくまん丸にしてビックリするリーシャにマリアが穏やかに声を掛ける。
「こちらのお部屋は、アンヌ様が侍女として王宮にいらした頃に王妃陛下より与えられ過ごしたお部屋になります。」
「侍女の職を離れた現在も、王都へいらした際はご家族でいつでもご滞在できるようにと陛下よりご用意させていただいているのですよ。」
(お母様が過ごしていたお部屋……)
美しい庭園が目の前に広がり、暖かな陽が差し込む。豪華絢爛な装飾が施される王宮の中で、この部屋はやわらかな色合いの壁に可愛らしい花の模様が刻まれ、シンプルだが上品な調度品が置かれている。
「ラスタ様にとって、お母様って……」
ポツリと呟くリーシャ。瞳に涙が浮かんでくる。
「王妃陛下にとって、アンヌ様はかけがえのない存在なのですよ。そして、お嬢様も」
優しく微笑みリーシャの涙をそっとハンカチで拭い、「さぁ、参りましょうか。」とマリアがリーシャの手を取り部屋を後にする。
部屋の外ではレヴィが待っていた。
リーシャの姿を見るなり、レヴィは一瞬にして固まってしまう。「レヴィ?」心配そうに声をかけると、ハッ!と我に返りまじまじとリーシャを見つめる。
「とてもお似合いですね。」
そう言い微笑むレヴィの顔がとても優しく、『兄』として妹の美しい姿を喜んでいるようだった。
「ありがと」少し恥ずかしそうに言うと、レヴィがニヤリと意地悪に笑う、
「とても従者をまいて走り回るご令嬢には見えませんね♪コルセットをキツく締めたのを忘れて食べすぎて倒れるご令嬢もいらっしゃるようですが…ニヤっ」
「あー!もうっ!マリア様の前で言っちゃダメー!!!」
ふたりのやり取りをマリアは優しく微笑み見守る。
(アンヌ様、とてもお幸せでいらっしゃるのね♪ニコッ)




