第一話:「午前0時の招待状」
初めまして、トワライトです。
この作品は、私が◯✕△◯で制作しているアニメをベースにした小説版になります。
現代の世界観を意識しつつ、ホラーと感動を詰め込んだ物語に仕上げていく予定です。
初めての投稿で至らない点もあるかと思いますが、応援よろしくお願いします!
ピッ……ピッ……ピッ………………ピッ…………ピーーー
「………また失敗か…この個体は『恐怖』に耐えられず、心臓が先に止まったか」
男は手元の資料を無造作に放り投げ、冷たくなった被験者を見下ろした。
「……次こそは、もっと頑丈な『器』を用意しろ」
「自ら『スリル』という名の罠に首を突っ込んでくる…」
「『最高に狂った連中』とかな」
ピピピピ、ピピピピ
朝の柔らかな光が、静かな部屋に差し込んでいた。
枕元で鳴り響く、聞き慣れた目覚まし時計の電子音。
「……ん……」
「もう朝か…」
「眠……」
「布団から出たくないなあ…」
「……」
窓の外では、何も知らない鳥が鳴いている。
「起きるか…」
独り言をつぶやきながら、アキはのっそりとベッドから這い出した。
昨夜は大学の課題に追われて、寝たのは午前3時を回っていた。今日は講義のない土曜日。誰に邪魔されることもない、自由な一日の始まりだ。
昨夜の雨が嘘のように晴れ渡った空から、強い光がワンルームの床を照らしている。
キッチンへ向かい、冷蔵庫を開ける。
中には飲みかけの麦茶と、賞味期限の怪しい卵。
「……平和だなあ」
――♪(着信音)
独り言に答えるように、カウンターに置いたスマホが激しく震え出した。
画面には『カイト』の二文字。
「……朝から元気な奴。もしもし」
『よおアキ! 生きてるか? 土曜の朝っぱらから悪いな』
スピーカー越しに聞こえるカイトの声は、相変わらずバカみたいに明るい。
「生きてるよ。……さっきまで死んだように寝てたけど」
『はは、相変わらずだな。……でさ、今日これから暇だろ?』
嫌な予感がした。カイトがこのトーンで話しかけてくる時は、決まってロクでもない提案がある時だ。
「……内容による。お金が飛ぶような遊びは勘弁だぞ」
『安心しろよ、むしろ逆だ。実はさ、今夜の午前0時に行われる「廃工場見学」のチケットが手に入ったんだよ。ほら、例の最近話題になってるやつ!』
スマホに通知音が響く。カイトが送ってきたのは、古びた機械人形が描かれた不気味なパンフレットの画像だった。
『「深夜に動き出す機械たち」……だってよ。スリル満点だろ? ネットじゃ「最高に狂ったイベント」って有名なんだぜ』
スリル。
その言葉を聞いた瞬間、アキの背中を、理由のない冷たい風が通り抜けた。
「深夜の廃工場……? 趣味悪いな、お前も」
『いいじゃんか、大学生の思い出作りだよ! 0時に現地集合な。断るなよ!』
「……はいはい、わかったよ」
電話を切ろうとした、その時だった。
『あ、あとアキ。言い忘れてたことがあってさ』
カイトの声から、さっきまでの明るさが消えていた。
『そのパンフレットの裏にある「同意書」、今日の21時までに“絶対”にネットで提出しておけよ。 1分でも遅れたら、参加できないどころか……面倒なことになるらしいからさ』
「……同意書? 随分と厳しいんだな。……おい、カイト?」
『じゃあな。忘れるなよ、“絶対”だぞ』
ツー、ツー、と無機質な切断音が響く。
21時まで。
まるで何かのカウントダウンを突きつけられたような、嫌な圧迫感が胸に残った。
アキはスマホの画面をスクロールし、パンフレットの裏面を表示した。
そこには、血のような赤黒い文字で、こう記されていた。
【いかなる事態が起きても、当施設は一切の責任を負わないものとする】
「………責任を負わない、か。大げさなイベントだな」
アキは苦笑いしながらも、カイトの気迫に押され、スマホの画面上で「同意」のボタンをタップした。
【登録が完了しました。再起動をお待ちください】
画面に表示された奇妙なメッセージ。
その瞬間、ワンルームの電灯が一瞬だけ、パチリと瞬いた。
「……?」
見上げても、古い蛍光灯はいつも通り静かに部屋を照らしているだけだ。
窓の外は、相変わらず平和な土曜日の昼下がり。
遠くで子供のはしゃぐ声が聞こえ、穏やかな光が部屋を満たしている。
しかし、アキはまだ気づいていない。
同意のボタンを押したその瞬間から、彼の心臓が、あの黒幕のモニターと「同期」し始めてしまったことに。
運命の24時まで、あと12時間――。
止まっていた物語が、今、静かに再起動する。
(第1話 完)
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
24時の廃工場でアキを待ち受けているものは何なのか。
「心臓が同期した」とはどういう意味なのか……。
これから少しずつ、隠された真実(Hidden truth)を明らかにしていこうと思います。
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次回、第2話でまたお会いしましょう。




