ガルドとレインの手紙
秋の終わり、ガルドからレインに手紙が来た。
珍しいことだった。
手紙は短かった。
「王都の訓練所に、正規騎士見習いへの推薦枠がある。お前の名前を上官に挙げた。来る気があれば連絡をよこせ。断っても構わない。ガルド」
レインはその手紙を何度も読んだ。
コルに見せた。コルが「行くの?」と聞いた。
「……わからない」
「行くべきだよ」
「ここを離れることになる」
「俺が守る」
レインがコルを見た。
コルが「本気だよ」という顔をしていた。かつての、走り回っていた小さな子供ではない。まっすぐな目をした、少年の顔だ。
「お前が成長したのはわかってる」
「だから行ってこいよ。先生が推薦してくれたんだろ。それって、すごいことじゃないか」
レインが手紙に目を落とした。
「ガルドさんが俺を推薦した理由が、よくわからない」
「わからなくていいよ。信じてるから推薦したんだろ」
レインが窓の外を見た。
秋の空が高かった。
秀はその空を一緒に見ていた。
ガルドがレインを推薦した理由は、秀にはわかる。路地裏の少年が、衛兵になって、正しい判断をして、仲間を守ってきた。その全部を、ガルドは一年かけて見ていた。
信頼は、観察から生まれる。
レインがコルを向いた。
「……返事を書く」
「行くの?」
「行く、と書く」
コルが「よし!」と声を上げた。
その声が、秋の夜の家に響いた。




