ルネの村
・登場人物
エリア=アリアス 剣士
何時間歩いたのだろう?道中、魔物は現れず、ただひたすらに歩いた。履いてあった靴もボロボロである。目的の場所である黄色いマークの所まで後少しであった。目を凝らしながら目的の場所ルネの村を探す。すでに体力は限界に近い。暑さに続いて今度は寒さであった。しばらく歩くと、ようやく村の門が見えた。
「助かった…」
俺は感謝の言葉を口にする。門の前にはレザーアーマーらしきものをつけた人影が見えたからだ。たぶん村の守りを魔物から守っているのだろうと思う。向こうも俺に気づいたようだが、そこで大きな女の声が俺の耳に聞こえた。
「そこで止まれ!」
どうやら警戒しているようだ。
(ここは素直に従った方がいいな)
そう思い、その場で立ちどまる。やがて1人のレザーアーマーに身を纏った女の人が剣を抜き、こちらにきた。
(いやいや警戒しすぎだろ…)
しかし、ここは穏便にするしかない。ザックと小声で呼んだが反応はないし、何より体力の限界である。これ以上、問題が起きて欲しくないのが現状であった。
女の剣士が近付くと警戒しているのか距離をとっている。そして俺に剣を向け言葉を発した。
「その顔つきはエルフか?して、このルネの村に何ようで来たのです?内容次第ではエルフであろうと切ります」
威圧的な態度で女剣士は言った。腕に自信があるのだろう。門の所には、何人もの人影が、その光景を見ていた。どうやら歓迎されてはいないようだ。だが俺には、人がいるだけで感謝している。疲れた体を酷似し俺は礼儀正しく女剣士にむけて名を名乗った。
「自分は斉藤一吾といいます。気がついたら砂漠でさ迷ってました。なので休める場所を探していました」
嘘ではないが本当ではない。異世界から転生したと言ったら怪しまれる。だが今の発言でも怪しさは十分あったみたいで女剣士は警戒体制を崩さずに剣を構えている。
「なら金は、あるのですか?」
カネという、この世界の流通がわからないので頭で検索してみる。
「聞いているのですかっ?」
そんな事を言っているので早く検索が完了する事を祈った。
「怪しいですね。早く答えなさい」
女剣士が間合いをつめ、斬りかかろうと手に力をこめる。このままでは危ない。そう思った時、検索結果がでた。俺はすぐさまスウェットのポケットとから先程の魔獣石をとりだし女剣士に投げた。それを斬ろうと一瞬、剣に動きがあったが何も起こらず女剣士は魔獣石を受け止めた。
「これは魔石?いや違う。もっと高価な魔獣石!?」
一目みただけで分かるとは、この女剣士は侮れない。
「こんな綺麗なのは見たことがない。だがここでは使えないわ」
この言葉に俺は動揺した。検索結果では利用できると分かったからだ。しかし女剣士は使えないと言った。
(これは、どういう事なんだ)
女剣士は俺に向かってゆっくりと近づき魔獣石を渡したので俺はスウェットのポケットに、また入れた。
「流石はエルフです。こんな高価なものを持っているとは。ですが、このような物を投げてよこすとは」
女剣士は、呆れた表情で俺を見つめ剣を鞘に収めた。
「失礼しました。私は、ここで身を寄せているエリア=アリアスといいます」
女剣士が名乗ると、いつのまにか門の近くに集まっいた者達が驚きの表情や口をおさえているのがわかる。どうやら俺は女剣士エリアに認められたのだと、その時思った。




