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ガウル  作者: キヌミタロ
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第8話 不可解な出来事

 カラスはふと服の下からジョッキをひとつ取り出す。そこにはちょっと黄色い液体が入っている。

「とりあえずこのバナナジュースを飲んで落ち着くんだ」

 僕たちはカラスのジョッキをひとりずつ両手に持ってバナナジュースを飲む。美味しいけど、周りの状況が気になってそれどころじゃない。

「さて、村の人々は眠り続け、僕と少年たち三人はこうして目を覚ましている。そうなると僕たち四人には何かしらの共通点があるかもしれない」

「はい!」

 ダンネが手を上げる。

「はい狐ちゃん」

「皆でジュースを飲んだ」

「それなら村の人々をも目を覚ますよ」

「あ、ほんとだ」

 ダンネは両腕を組んで目を瞑る。

「きょうつうてんって」

「私が何か、何か同じことをしているってこと」

 僕たち四人が同じこと。僕と、ダンネと、ドロップと、カラス。僕たち四人が同じことをしたと言えばなんだろう?

「私思うんだけど」

 ダンネが口を開く。

「私、ガウルとドロップと出会ったばっかりで共通点なんてないと思うけど」

「そうなのかい? 狐ちゃん」

「川で会って、お魚もらって、ガウルが嘘を見破るからそれで遊んで」

「それはどんな遊びだい?」

「単純な遊びで、どっちに石を持っているか」

「あまり参考にならないねえ」

「そうよね」

 ダンネはまた目を瞑って両手を組む。

「ん? 待てよ。ということわ狐ちゃん。狐ちゃんは少年が嘘を見破れるようになったと知ったのはその瞬間だね」

 ダンネが目を開く。

「確かにそうね。でも私がガウルに初めて会った瞬間だし。あ」と、言ってからダンネは喋らない。

「おや? 何か気になることでもあったのかい?」

 ダンネが僕を指さす。

「すごい変なこと言ってた」

「へえ、どんなことだい?」

「最初変なこと言ってるからあのときは無視したけど。空に流星群がバアって空いっぱいで流れ星がドロップに当たってドロップが記憶喪失とか」

「ふうむ。確かに滅茶苦茶に聞こえるね。でもそれを君は実際に見たんだろ少年?」

 僕は頷く。

「そのときのことを詳しく説明してくれ。でもなんとなくで言いよ」

 なんとなく。

「流星群が空いっぱいにバアってなって、流れ星が一個落ちて来るから危ないと思って隠れて。帰ろうと思ったけど誰かに呼ばれたんだガウルって、だから呼ばれた方向に行ったら、ドロップが倒れてて杖が落ちてた」

 確かこうだったはず。

「それで君はそのドロップをどうしたんだい?」

「揺すったら起きなくて、急に周りがバアって炎に包まれて」

 僕は頭を掻く。

「えっと……幽霊が」

ダンネが「幽霊?」と口にしカラスが「シー」とダンネを止める。

「枯れ木の幹から黒い腕が伸びてて、怖くて逃げようと思ったけど。誰かがその手を取れって。それで僕はその手を」

 どうしたんだっけ? 僕は思い出せない。

「覚えているところだけ言ってごらん」

「目が覚めたらドロップと杖が落ちてたから、背負って村まで走った」

「曖昧さに混じる正確さか」

 カラスが難しいことを言っている。

「つまりガウルの言っていることは事実ってこと?」

「そういうことになるね」

 ダンネとカラスが何を言っているのか理解できない。

「よし! もし少年がその黒い手を握っていたと仮定しよう。手を見せて」

 僕は右手を前に出す。カラスがその手をじっと見つめる。

「いたって普通の手だなあ。ちょっと僕と手を握ってみてくれ」

 カラスの黒い手袋を僕は握る。

 僕の手が痺れたと思ったら激痛が走る。

「これは」

 僕の手から黒いカラスに黒い雷が走る。するとカラスがいきなりふにゃふにゃになり。服と仮面に靴。僕が握っている黒い手袋だけが残る。

「うわ」

 僕は手が痛かったのもあって黒い手袋を仮面の上に投げ捨てる。

「カラス?」

「ガウル、今何したの?」

「僕は何もしてない」

「でもカラスがいなくなっちゃった!」

 ダンネの大声に僕は目をつぶる。ドロップがダンネに近づく。

「駄目だよ喧嘩わ」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! いまの見たでしょ! あんなの見たことないもん! ドロップは説明できるの?」

「ぼ、僕に聞かれても」

「こらこら喧嘩はいけないよ」

 急にカラスの声が聞こえる。ふにゃふにゃになっていた服が徐々に立ち上がってくる。誰も着ていない服が着られていく。そしてカラスは元に戻る。

「ようし戻った」

 いつの間にかダンネとドロップが僕の後ろに隠れている。

「あなた本当に何者なの?」

「僕はジュース売りのカラスさ!」

 カラスは嘴を開いて「カア!」と鳴く。

「さて話を戻そう。ところで少年、君は呪われたね」

「呪い?」

「そうだね呪いだね。縛りの契約。業火で逃げ道を塞ぎ、手を握ることで契約という名の呪いをつけるという物なのだが。そんなこと出来る訳がない。それに少年は苦しんでいない。痛みはあるかい?」

 僕は少し考える。

「手を握ったとき痺れて痛かった」

「うん。間違いなくいま矛盾が発生している。君には何かしらの呪いがかかっている。けど苦痛もないし痛みもないし。今何か不安なことはあるかい?」

「ない」

 僕はハッキリ答える。

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