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序章 蟻のように
暖かな陽射しを背に僕は山の中で蟻を眺めている。母さんは僕に言った「蟻のようになりなさい」と。けど僕は蟻じゃないし蟻になれない。それ以上聞いても母さんは何も答えてくれない。だから並んで進む黒い蟻をただひたすら眺めているけど、何も分からない。蟻は木の根の近くにある小さな巣穴か出てきて幹を伝って木に登る。母さんは僕に木登りをしてほしいのか? 蟻の邪魔をしないように木に登って太い枝に座るが何も分からない。
「おーい、そこで何してんだガウル」
村のおじさんが籠を背負い大量のキノコが入っている。
「お母さんが蟻になれって」
おじさんは笑う。
「そりゃあ無理だな」
「僕も無理だと思う」
「まあ暗くなる前に帰り」
「うん」
僕は空を見上げる。良い天気だ。




