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死体回収業務は真似っこさん  作者: ⻆谷春那
CaseK.1 真似で救われる人生
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人間譚 Case.1

死体回収業務は真似っこさん

⻆谷 春那

CASEK.1

真似で救われる人生

人間譚 CASE.1

シュトゥピド

「・・・あ、もう出るのか。」

「まだ居たの。」


拭いながら、薄暗い部屋から出てきた怪人。


「・・・見たの?」

「何を?」

「勘が悪い事は良い事よ。」


そんな事をのたまう【怪人】と話したくない訳ではないのだが、油を売っていたら終わらない。

それを分かっていて【怪人】も、部屋に入る事を厭わない。


別に、「見られていなければ」良いのだ。

「何を」やっていたのかは、もはや明確。

「明確」と言うより、最早最初から「分かりきっていた事」だ。




だから【怪人】は、日陰でしか生えられないのだ。


日陰で育つ植物は、「日向では負けるから」、賢い選択をして移って来たのだ。

移るにも、能力が要る。


能力も何もないのに、「日陰」に移って来たこの【生物】は、どのような生存戦略をとったのか。




答えは実に単純。

他の生物の、「真似」をしているのだ。


しかし、ただの単純な「真似」ではない。


性格から生き様まで。

食べ物から習慣まで。

他の「生物」の関係から体裁きまで。


この【怪人】は、記憶さえも喰らって、模倣し、溶け込んでいる。

そんな、弱い生き物だ。


しかし、この青年―色白だが、「美少年」と呼ぶには何かが違う、この男―はどうだ?


別に、日向では生きられない訳では無いだろう。

もしそのような「事情」が仮にあるのならば、きっともっと。


少なくとも、こんな性分はしていないだろう。


なぜ、自ら「日陰」に飛び込んで来たのか。

別に、日向でも生きられるのに、どうして?




この怪人には、それが分からない。


「・・・あ、意外と目立たないんだな。」

「当たり前でしょ?

そんなに大食いに見える?」

「いや、見える。

・・・だけど、これじゃ流石に、事足りないんじゃない?」

「アタシも別に、好きで食べる訳じゃない。

いや、好きだけど。

・・・人間の食事だって、食べれるし食べる。

人間は、これ、食べないでしょ?

だからアタシも、そんなには食べない。」

「へぇー。ホントに、そっくりそのまま化けるんだな。」

「当たり前でしょ?

・・・そう言えばお前は、どうしてここに居るの?」


薄暗い部屋の中にいる青年と、比較的日の差す場所にいる【怪人】。


実際は、逆だろう。


「・・・どゅう(・・・)こと?」

「・・・何食べてんの?」

「ハーブ。気付けの。

・・・食べる?」

「いらない。匂い強いし。

毒っぽいし。」

「毒じゃねえよ…」

「兵隊にも見捨てられたと言う事は、この街がこの国に、完全に見捨てられたと言う事。

・・・別にここにもう、役割はないでしょうに。

確かに、ヴェルフ爺は退かないでしょうけど。

別にヴェルフに着いてかなきゃいけない法はない。

・・・お前、本当は誰について、此処にいるの?」

「・・・は?何言ってんの?

俺は、爺ちゃんについてるけど?」

「そう言う事じゃないわ。

・・・なんで、そんなにヴェルフについてるの?」

「え~?んー…

爺ちゃんは俺の、親みたいなもんだから?

ほら、『年老いた親置いて、行けない』ってやつ?」

「・・・お前、そもそもこの仕事、人間共への反逆みたいなもんじゃないの?

なんでこの仕事を選んだのよ。」

「えー?難しい事言うな…

あー?『人間なんてどうでも良いから』、かな?」

「変な人間ね。」

「別に、人間が俺に何かしてくれた訳じゃないだろ?

むしろ、人間は俺に、厭わる目しか向けなかったぜ?

その点爺ちゃんは、俺の味方さ。

だから俺も、爺ちゃんの味方さ。

・・・どのみち人間なんて、いない方が俺たちゃ()にとっちゃ、お気楽なんだよ。

伸び伸び生活できる。

・・・そういうアンタは、何でここに居るんだ?」

「・・・ここに拾われたからよ。」

「あぁ。アンタか。

噂の『ダークホース』は。」

「・・・食事にありつける。

しばらくして【安定】したら、出てくつもり。

お前は?」

「俺は一生、骨まで埋めるつもりさ。

俺は根っからの、『賛成派』だし。

爺ちゃんも、いるし。」

「・・・騙されてんじゃないの?」

「ある意味、人間の方が正直だったかもな。

・・・でも、『世辞』の一つや二つ、社会にゃつきもんだろ?」

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