第三話 デビュッタントの準備は面倒です(訂正済み)
顔合わせから数ヶ月が経ちました。
魔法があるくせに貴族の家って対策があまりないんだねー。
て言うか、魔法に頼りすぎで魔法なしの潜入はわかんないのかもね。古き良きって言葉が前世ではあったけどこっちの世界は昔から魔法があるもんね。古きもなにもないか。
さぁて、そんな私は今日も元気に開発中です!
私の魔法の属性って相変わらずないんですけど、独自の私の解釈ややり方などがあるので研究課題は尽きぬばかりか、知識がつく度に疑問が増えるばかりです。
誰かに言うわけにはいかないので自分だけで考えなければならないのが時間がかかる原因になっているとは昔は考えもしませんでした。協力プレイって重要なんですね。あれって手を抜きたい人の言い訳だとばかり思ってました。
それ以外にも私は魔法が使えないと周りから思われてるらしいので護身のためにも武器の開発は必須なんですよね。
いやー、タイヘンタイヘン。嬉しすぎてヤバイヤバイってもんですよ。
トントンッ
ドアがノックされました。
「お嬢様、アルディー王太子殿下がいらっしゃいました」
あ、忘れてた!
「応接室に案内してください」
いっそげー!
いっそいで身仕度を整えてダッシュで向かいます。チクショウ!廊下がなげぇんだよ!
え?廊下は走るな?貴族としての?
そんなの見られなきゃいいんですよ!
え?貴族で引きこもりなのに体力あるね?
あるわ!一人で材料収集とかのために山登ってんだぞ!たぶんそこら辺の貴族の男とか普通の女よりはあるわ!
そんなことを考えながらも息ひとつ切らさずに無事部屋につくことができた。
全く急に来ないでほしいね!
部屋に入るとアルディー王太子殿下がソファーに座っていました。王太子殿下は暇なのかな?
彼は金色の髪に緑の瞳です。
いや、同い年に見えませんね~。
え?人のこと言えない?知りません。私は天才なので!
あ、ワカリマスワカリマス。
私ったら心理学も嗜んでいました。
それくらいわかりますよ。
「遅くなりました」
「いや、大丈夫だよ。・・・・にしても家にいるときはいつも黒のワンピースなのかい?」
あ、怪しんでいますね。
ふっ、私にかかれば楽勝ですね!
以前聞かれたからとは言わせませんよ!
「そうですね。公の場でないときはいつも黒ですね。今日はなにようですか?」
ほんとほんと、この間も来たばっかりだろ。
「来月は建国記念日で私たちはデビュッタントだろ?そこで私たちの婚約を発表するんだよ」
あったね。あの話実現したんだ。
初耳なんだけど。
「あぁ、そうでしたね。ということはドレスのことですね」
知ってたふりでいっか。
たぶんあってるだろ。
「婚約者だから色を揃えようかなって」
えー、殿下と同じ色はちょっと。
髪とか目の色も違いますし。
「それに来年は学園に通うことになりますからね」
学園ね。貴族に学園とかいらないと思うんだけど。これもゲームのせっていかな?
「では色ではなく形を合わせませんか?」
それなら私が男っぽい格好をしてもいいだろう。
「いいね、箇所によって揃えればいいのか」
やっぱり殿下も同じ色とか嫌だったんだよ!
「ではまた今度来るよ」
もう帰るのね。
ほんとにそれだけが理由で来たんだ。暇人だね殿下。
「お待ちしておりますわ」
もう来なくていいよー。
ふふっ、そんなこともあろうかと私は個人で服飾店を持っているのです。
今回はたまたまの偶然ですけど。
私、あのふわふわしたドレスって重くて嫌なんですよ。
自分の店ですからやりたい放題!
見た目は普通しかし、その実態は中はほとんどボリュームのない見た目だけのドレスです。
色は薄めの赤紫。
で、何が王太子殿下と同じなのかと言うとドレスが王太子殿下と同じ、つまり男の人が着る夜会服をドレスに改造したようなもの。
簡単に言うと着物をドレスにしたみたいな。
ちなみに中にはぴったりしたタイプの黒いタイツと黒のショートパンツ、上にはぴったりしたでも防御力高めのシャツ?を着る予定です。
いつでも脱いで逃走できますね。
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ユグドシル公爵家を後にしたアルディー殿下
衣装の形か。
そんなこと考えもつかなかったな。
やっぱりルルイエ嬢もおしゃれは好きなんだな。
にしてもルルイエ嬢はシンプルな服が似合うな。外見が派手ではないが完成されているぶん、過度な装飾は余計なもので邪魔になるんだろう。従者も考えている。
さらに髪を一本で結っているのも清潔感があっていい。行動も邪魔されないし、かといって髪を切ってないので貴族の問題にもならないだろう。何故か知らんが女性は髪を長くするのが良くて短いのは男の真似とかでよくないらしいな。
ルルイエ嬢のことを知るのは新たな発見にもなる。ルルイエ嬢と婚約できたのが俺で良かったよ。他の奴にはやりたくない。この高い地位に感謝だな。
また会うのが楽しみだ。
◆◆◆◆◆◆◆
建国記念日当日
「アルディー王太子殿下とルルイエ公爵令嬢はこの度婚約することになりました」
これを聞いた貴族たちの顔が面白いこと面白いこと。
心理学を嗜んでいる者としては望むところと言うものです!
みなさん度肝を抜かれているでしょう!
反感する人も出てくるはずです!