精神-16
「知らないっ!!」
「おかしいですね。これは、例のプリン屋さんにあった防犯カメラ映像なんですが」
写真をスライドさせると、野神が激昂しながら店員を詰める様子が映し出されていた。
「これは、事件当日に写されたものなんですけどね」
「何かの間違いだ! 僕はそんなこと知らないっ!!」
「でも、ここに映っているのは貴方ですよ。間違いなく。あ、そういえば、野神さんはプリンに目が無いんでしたっけ?」
「だから、俺じゃない!!」
相も変わらず否定し続ける野神を無視して、長四郎は続ける。
「しかしね、ここに映っているのは貴方ご自身なんですよ。当然、ここのプリン屋の店員も覚えてましたよ。スプーンが入っていなかったからって酷い罵声を浴びせられたって」
「知らないっ!! 知らないっ!!」
野神は大きく首を振って否定する。
「皆、俺を貶めようとしているんだ!!!」
「貶めるだなんて・・・・・・・」
燐はここまで否認し続ける犯人は見たことがなく絶句する。
「なんにせよ。事実は事実ですから」長四郎は目配せで野神に手錠を掛けるよう促す。
絢巡査長は「野神弘志。殺人容疑で逮捕します」時間を読み上げ、手錠を掛けた。
「わ、罠だ!! た、助けてくれ!!!」
絢巡査長だけでは抱えきれず長四郎が手助けしながら、覆面パトカーに連行するのだった。
それから、数日が経った。
野神の逮捕は世間をにぎ合わせた。久々のシリアルキラーが逮捕されたからだ。
そんなニュースを見る燐はテレビ画面に目を向けず、スマホと睨めっこする長四郎に「ねぇ、あの人はどうなるんだろ」と質問した。
「精神鑑定送りで、心神喪失ってことで無罪だな」と平然と答えた。
「はぁ!? あれだけの事しておいて? あり得ない!!」
「あり得ない!! と思っているのは本人だよ。絢ちゃんも言っていただろ? 殺した自覚がないって」
その後の取り調べで野神は、正義執行をしただけだと今度は供述し始めた。
「言っていたけど」
「あの人な精神疾患なんだよ。ここに来た時からなんとなく思っていた」
「え?」
「話が通じなかったろ? 話が通じないから精神疾患ってわけじゃないんだよ。突然、話が切り替わって話が通じないと激昂する。かと思えば、普通に話が通じる日もある。しまいには、自分が貶められているという妄想。言い方は悪いが精神疾患患者だ」
「そんな・・・・・・・・ じゃ、じゃあ、それが理由で罰は無しって事?」
「そうだな。世の中、そんなのがザラだよ。ラモちゃんは誘拐されて殺されかけりゃ怒るのも無理はないけど。受け入れなきゃ」
燐は途轍もなく苦々しい顔をする。燐の性格上、悪は罰せられるべきとの子供じみた考えの持ち主なので、到底受け入れられないのだがそこは大人の階段を踏む時なのである。
「分かった・・・・・・・・」
燐は悶々としながら、テレビを見る。
それから数ヶ月の後、長四郎の言う通り公判で野神は心神喪失による無罪となり、精神病院へと入院することになった。
鉄格子の病室で野神は一人、ぶつぶつと呟く。
「殺してやる。殺してやる。殺してやる。 熱海長四郎ォォォォォォォォォ!!!!!」
完
特別編、いかがでしたでしょうか?
面白いと思って頂ければ「探偵は女子高生と共にやって来る。」本編もこの機会に読んでみてください。
全41話(2026/10/05現在)からなる1話完結型の物語です。
オススメは、第壱話-結成, 第玖話-オニ , 第拾漆話-彼氏 , 第弐拾捌話-御祭 , 第肆拾壱話-港区です。
サクッと読めますから、読んでね♡
感想をお待ちしております(*´ε`*)チュッチュ




