表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱な能力に異世界転生した僕こそが最強の勇者に間違いないっ!  作者: ぴこたんすたー
第1章 勇者誕生の時

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/12

第1話 さようなら、そしてこんにちはの世界

私なりに描いてみた、少し変わった異世界ファンタジーです。

これまで書いてきたコメディやラブコメから離れ、新たなジャンルで攻めてみた意欲作でもあります。

この物語には残虐なシーンもありますが、それが苦手な読者さんのことを考慮し、控えめにしています。

それでは異世界の扉を開いて旅立ちましょう。

『ガタンゴトン、ガタンゴトン……』


 どこにでもいる冴えない18歳の男子高校生。

 僕の名前は次悠仁じゆうじん


 今、穏やかだった夕刻に感情を揺るがす有りさま、どうしてこんな風になったのかは僕にも分からない。


 僕の目の前で華やかな笑顔を見せていた彼女、同じクラスメイトの和賀岬代わがみよは、今日も一生懸命に茶道の部活動で、それこそ華やかに生きていた。


 その僕の足元から線路を周辺に、校内では健やかだった彼女のバラバラに朽ち果てた姿が目の前に無惨に散らばっている。


 岬代はこのような影のある自害行為とはかけ離れ、いつも明るく前向きだった。


 そんな彼女が18歳の誕生日の今日に、僕がいる無人のホームにて、列車に飛び込み自殺をするなんて、()()()にも信じられなかった……。


『ガタンゴトン、ガタンゴトン……』


「一体、君に何があったんだよ」


 緩やかにスピードを落として停まろうとする電車の音を耳にしながら、溢れる雫を手の甲で拭い去った僕は、彼女だったむくろを乗員に気付かれる隙に線路から遠ざけて、近くの街灯がある場所へと運んだ。


 ──とは言っても体の損傷が痛々しく、かろうじて持ち出せたのは、血に染まって赤茶けた頭部だけだったが……。


****


 ──季節は春、3月の初めでも、夜更けはまだ冬のように肌寒い。


 何十年も過ごしてきて見慣れたギラギラとしたネオンの街の片隅にて、彼女だったボールを抱きしめて唇をぎゅっと噛みしめ、顔が分からないよう、黒のパーカーに付いたフードを深々と被る。


「──おい、アイツが持ってるの、人の頭じゃないのか!?」 


「嫌だわ、殺人鬼だ。警察に通報した方がいい!?」


「いや、逆に逆恨さかうらみで、オイラたちが殺されるかも知れないぜ……」


「じゃあ、どうしたらいいのよ!?」


 時折、点滅する壊れかけた街灯の下で、寒さで身を震わせている僕に向かって、周辺の人々から、このような聞きたくもない怒声や悲鳴やらが聞こえる。


 壊れているのは僕の冷めきった心か。

 それとも僕の周りにまとわりつく、熱い正義感ぶった他人の言葉か。


 僕はその喧しい人々の声に耳を貸さずに、野次馬が比較的空いている道路際へと足を向ける。


 もう何もかも、堅苦しいルールやモラルとかを捨てて、自由になりたかった……。


『プップー!!』


 そんな投げやりな人相で道路をろくに把握もせずに、心身ともに疲労でふらついていた僕は、猛烈な車のクラクションを肌でも感じながらも、体はそれにぶつかり、彼女の頭を抱いたまま勢いよく宙へと舞い上げられた。


 この衝撃は乗用車に跳ねられた感覚か。

 毎度、交通事故があっても無傷だった僕にもいよいよ天罰が下ったか。


 まあいいか。

 僕は彼女を救えなかった。

 ならば、ここで死んでも後悔はない。

 あの世で岬代に謝ろう。


 ……しかし、世の中とはそう簡単に思い通りにはいかないらしい。


「──ちょっとお客さん、もしもし?」


 次に目を覚ました場所で、小綺麗な白装束の着物を着た女の子に声をかけられるまでは……。


****


 ……というわけで僕は死んだみたいだが、なぜこのような殺風景な灰色の大地に立っているんだ?


「そうか。僕は全知全能の神になったというわけか!」


 僕は偶然、地面に置いてあった細長い棒切れを握り、チャンバラごっこのようにそれを振り回し、手の空いた左手でピストルを指で表現し、ニヒルな笑顔で爽やかに決めてみせる。


「……あなた、その神の目の前で何を寝ぼけたことをほざいてるのよ?」


 僕のイカしたポーズを察した(?)のか、こめかみに指先を当て、苦々しい顔つきで眺めていた女子、いや美少女が思いっきり突っ込んできた。

 そのツッコミの速度ときたら、秒速30メートルと言ったところか。


「……だとしたら、あの女は大いなる台風さえも操る暗雲の魔女だな」


 僕はうんうんと一人で分かったかのような顔で納得しながら、棒切れを構え、チャンバラの続きを始める。


 その場に足を踏みしめて体を捻り、二段回転斬り。

 何かやたらと体が軽い。

 重力を無視した、無重力空間でもないようだが……。


「ひょっとして僕は、死して強力な力を得たのかも知れないな」


「……そんな理由わけあるか。さっきから一人で暴走してないで、ちょっとは真剣に私の話を聞いてよ」


 僕の動きを阻害してきた、ストレートロングヘアな金髪碧眼の美少女。

 幼女のような顔つきで、男のロマンに訴えかける胸は無く、背丈に至っては150もないだろう。


 まさに生まれながらして、天性的なロリを極めたキング・オブ・ザ・ロリに間違いない。


「おい、さっきから僕のいかした決め技を邪魔するお前は誰だ?」


「誰だとは何よ。私にはサクラという、()()()()した名前があるんだから」


「そうか? サクラなんて名前、僕が知っている競走馬ではろくなやつがいなかったけどな」


 そう、この手のタイプの馬は名前が勇ましいだけで、対して優勝の流れに食い込める実力もない。


 要するに実力も運も無しで名前負けだ。

 同じサクラでも、あんがふんだんなサクラ餅の方が断然いける。


 ちなみに僕は20にも満たない未成年だから、競馬の賭け事は出来ない。


「……失礼極まりないわね。天界を司る神の私に向かって、馬とは何よ」


「何だよ。神か紙か、何か知らないけど、有終の美を飾る馬みたいに表彰台デビューしたいだろ」


「ふん、馬面うまづらなジンに言われたくもないわよ」


「だな。さすがに歯はあまり強くなくて、生の人参は煎餅のようにボリボリ食べれないけどな、って……何で僕の名前を知ってるんだよ?」


「うふふ、この世界ではすべて筒抜けなのよ」

 

 サクラが持っていた樫の杖を天へと掲げると、何もなかった灰色の空間からカラフルなお花畑へと、瞬時に景色が変化する。


「そうか、馬にも衣装ってやつか」


「……そのことわざの使い道、思いっきり間違えているからね」


「何の。ことわざを転がして使い倒すことにより、男は真の栄光を手にすることができるのだ」


「──はいはい、もう()()()()()うんちく話は分かったから。そろそろ、この世界の説明に入ってもいいかな?」


 サクラが杖を目の前に振りかざし、僕の言葉の行く先を封じて、この世界についての話を始める。


 その難しい内容の中で、僕は1つだけ感じたことがあった。

 彼女は天界の神様であり、やっぱり僕は死んでしまったということに……。


序盤からダークな展開と見せかけて、笑いの方向性に持っていく。

私の得意とする文法でもあり、今でも中々の作品だなと感じています。

この物語はたまにシリアスなシーンも入りますが、基本的にコメディタッチで書かれた内容でもあります。どうぞ最後までお付き合い下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ