エピローグ さくら色のメロディ…♪
最後の旋律を奏き終えた瞬間―――
会場から割れんばかりの拍手が沸き上がった。
ボクはゆっくりと立ち上がり、
体の全部で、その音を受け止める。
会場を見渡す。
いろんな肌の色。
いろんな髪の色。
いろんな瞳。
世界中から集まった人たちが、
みんな同じ顔で笑っていた。
ボクの音楽に、そっと寄り添うみたいに。
――ああ。
ボクは、なんて幸せ者なんだろう。
ピアノと一緒に世界中を旅して、もう十年になる。
あの日から。
クラスのみんなに支えられて。
何度も立ち止まりながら。
それでも、音楽だけは手放さずに、ここまで来られた。
さくら。
本当に、ありがとう。
鳴り止まない拍手の中、そっと瞼を閉じる。
すると、いつだって浮かぶんだ。
あの公園。
並んで座ったベンチ。
流れる、花筏。
そして――
さくら色のメロディと、きみの笑顔。
……さくら。
ボク、キミのことが好きだよ。
今さらだよね。
遅すぎるよね。
もしも、あの頃に伝えていられたなら。
キミは、どんな顔で笑ったのかな?
困ったかな?
それとも―――。
ああ――
フラれてもよかったんだ。
ちゃんと伝えればよかったんだ。
でも。
きっとね。
キミと出逢えたことを―――”奇跡”って呼ぶんだね。
あの日。
あの場所で。
キミと同じ音を好きになれたこと。
―――幸せだった。
これからもボクは、音楽と一緒に旅を続けていく。
伝えることの難しさと。
伝わることの尊さ。
キミが教えてくれた、「Story」を、
―――噛みしめて。
ねえ、さくら。
ボクたちは、これからも、
一緒だよ。
ずっと―――。
end
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
この物語は、
「伝えること」と「伝わること」の大切さをテーマに書きました。
さくらと一陽の時間は終わってしまいましたが、
ふたりの『Story』は、
きっと誰かの心の中で、これからも続いていくと思っています。
もしこの物語が、ほんの少しでも心に残ったなら、
とても嬉しいです。
またどこかで、お会いできますように。




