夏といえば恋話4
更に、投稿。
「またのお越しを」
「また来るわねー!」
「…また」
カランカランと退店の音を響かせながら上機嫌の呂呂と窶れ気味のリュコスが店を出ていった。
それを見送る黙示と雪。二人は店の扉が閉まりきるとカウンターに置かれたコップなどを下げていく。
「それにしても、随分とリュコス君は気に入られていますね」
「そうですね。
呂呂ちゃんは少しやり過ぎな所があるから、気をつけて欲しいですけどね」
スポンジに洗剤をつけ、呂呂が使ったカップを洗っていく。
黙示は、雪が洗った食器の水気をしっかりと拭き、ガラス製の物は曇り無く磨いていく。
二人は仕事をしつつ、古き付き合いである友人二人の先程の様子を話していた。
「まぁ、リュコス君に据え膳食わぬは男の恥と言ってあげようとも思いましたが…
なんと言いますか…」
先程までの話を聞き、リュコスを少しおちょくってやろうかと考えていた黙示も、事の顛末を聞いて苦笑いもぎこちないモノに変わり言葉を失った事を思い出す。
「リュコス君が聞いたら'俺だって!'と反応してきますよ?
いえ、まぁ…でも…そうですね…
酔った勢いで服を全部脱ぐとは、リュコス君の周りにそんな女性が居るとは思えませんね。」
その横で雪も話の内容を思い出し、優しい笑みに見えるが口元がヒクヒクと引き攣っているのが分かる程になんとも言えない顔をしていた。
リュコスが入店してきて話した昨日の事。
リュコス曰く
-食事に行こうと言われ家に、ほぼ無理矢理連れて行かれた。
-大量の酒と中々に美味しい料理を振る舞われた。
-呂呂が風呂に入ると言うので自分は帰ろうと言ったら、まだ酒は残っていると止められ更には帰ったら大声で泣くと言われ…しぶしぶ呂呂が風呂から出てくるのを待った。
-風呂から上がった呂呂は、アルコールも入っていたせいか即潰れ寝た。
-それを見た自分は、不躾ながらも呂呂の部屋の鍵を探し、掛けて玄関ポストに投げ込んでから帰ろうと動いた。
すると、少ししたら呂呂がいきなり起き上がり全裸に…そして再度寝たと言う。
全てを確認したリュコスは、鍵を見つけテーブルに'鍵は玄関ポスト'と書き置きし風邪を引いてはいけないと布団を掛け帰ったと言う。
「リュコス君、意外と紳士ですからねぇ」
「呂呂ちゃん酒癖あまり良くないのよねぇ」
二人は、これからあの二人がどうなるか期待と不安に少し息をこぼした。
少しの沈黙の後、黙示は呂呂の言葉で気になった事を雪に聞いた。
「女性にとって11軒隣って近い…と言うより運命とかを感じる距離なんですか?」
その台詞を聞いた雪は、いつもとは違い挑発的で色っぽく妖艶な美しさを持つ笑みを黙示へと向け
「運命と感じれば、世界の果てでも近い距離ですよ」
その笑みに一瞬黙示は見とれ、雪の台詞に聞き入る。
同時に脳裏に浮かぶのは昔の風景と、似たような事を言われた事を思い出す。
「それはそれは…」
そう零し、いつのも様に笑みを見せいつの間にか止めてしまっていた食器を拭く作業へと戻った。
そんな黙示を暫し見つめ、少しつまらなそうに雪も残った食器を洗い始めた。
-自己紹介-
喫茶店-本の蟲-のマスター
明示 黙示
性別:男
喫茶店-本の蟲-の店員(厨房担当)
雪
性別:女
いつもの:アイスティー
店の料理は彼女が作っている
常連客
朽木 呂呂
性別:女
いつもの:緑茶
口裂け女 化粧品会社創設現経営者
月無 リュコス
性別:男
いつもの:饅頭
補足:コンビニ店員 狼男




