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混世界  作者: 慧瑠
彼女が見た夢
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起きたら剃り残しスーツが居た

この章、少し長くなるかもしれません。


後、このページの過去は茜の一人称視点にしてみました。

「私が黙示さんと会ったのは、この世界の初期頃。

混世界なんていう呼び方もされていない頃です」


――――


視界は数字が走り続け、プログラムの構成と最終確認をしている。


「今度こそいけたと思うんだけどなぁ」


「こんな状況で良くまぁ自分の趣味に全力になれるものですね」


「バカ野郎!こんな状況だからだろ!

依頼も無い!仕事もない!自分の機材だけは目の前に置かれている!

こんなの、趣味に費やして時を待ちなさい。と言われているようなもんだろ!」


「まぁ、自分も結構自由にしているので言えた立場ではないですけど…

流石に自分の嫁を造ろうとは思いませんよ?

そもそも、自分の嫁を造るって言う発想が」


「黙示には理解できねぇだろうなぁ…。

自分の理想を造れる環境があれば、誰でも造るって」


聴覚機能からは声が聞こえた。

距離も計算では数メートルと無い位置で、音声情報からして二つの生命体が会話をしている事が分かる。


情報が次々と更新される中で私はゆっくりと視覚機能を起動した。


走り続けていた数字は消え、視界は黒に染まる。瞼と言う部分が閉じている為、当然。


「う、動かないな…」


「先輩のプログラムが壊れてるんじゃないんですか?」


「ばっかお前、これは俺の生涯を掛けても良い超発明だぞ!」


「テレポート装置研究の合間で組んでいたプログラムがですか?」


「むしろテレポート装置の方が適当だったわ」


「この現状引き起こしたの、先輩のせいじゃないですよね」


「………違う、たぶん」


「そこは絶対と言ってください。

大体、世界まるごとテレポートとか適当にやってできても困りますよ」


「俺、絶対って言葉があんま好きじゃないからなぁ」


会話の流れを汲み取り処理すると、一つの生命体は私が視覚機能をしっかりと解放しない事に困惑している。

もう一つの生命体は、その状況を使い会話相手をおちょくっている。そういう結論が出た。


このまま聞く事に専念しても、大きな進展は無い確率の方が高く、最悪の場合'処分'されるだろう。

そう思った私は、視界機能を使うべく瞼を開けた。


一番始めに情報メモリを埋めたのは、こちらを見つめる生命体だった。


「お、起きたぞ!黙示!起きたぞ!」


「はい、分かってますから揺らさないでください」


その生命体は、隣に居た別の生命体を掴み揺らしている。

整理した情報から生命体は人間である確率が高く、性別は男である確率が高い。

頭髪は整えられ、剃り残しがある髭の男は少し解れがあるスーツを着て私の前に傅いた。


「初めまして。

俺の名前は'藤原ふじわら たかし'って言う。

そして、君は俺の嫁で'(あかね)'だ」


男は、傅いたまま自分の名前を名乗り私の手の部分を握り言った。

情報から嫁という言葉の意味を理解。新しく自分の名称を茜と書き換える。


しかし、そこで疑問が浮かんだ。


人間で言う嫁とは、通常であれば同じ人間の雌型の事をそう言うはず。

しかし、私は自身を造られた機械だと理解している。

機能を確認している時に、人間に近い構造をしているようではあるが節々は機械だと言うことを確認している。


人間とは言い難い私の事を、何故俺の嫁と言うのか理解できない私は、おそらく創造主である男に私は聞いてみる事にした。


「隆様、私は機械です。

隆様の嫁となる事はできません。

何故、私を嫁と呼ぶのですか?」


私の質問を聞いた隆様は、驚愕した表情のまま固まった。隣では、先程の会話の流れから隆様の後輩に位置するであろう黙示様が笑いを堪えている様子。


「黙示…俺、もしかして今フラれた?」


「くっ…んふ…えぇ、そうですね。

まぁ、いきなり起きたら嫁です!は僕が女性でも引きますよ」


隆様は、私の質問に答えること無く傅いた姿勢のまま両手を地面に付き頭を下げるという不可解な姿勢へと体勢を変えた。

隣では、未だ黙示様が隆様を見て笑いを堪えている。


質問の答えが返ってこず状況に進展が無い事を無駄にしない為に、私は人間の機能を利用して周囲を観察した。


薄汚れた壁に、様々な用途に対応した機材が置かれた部屋。

私は、部屋の中でも特別綺麗にされた反発性が高いソファーという家具に座らされている事が分かった。


「あ、茜さん」


自分が居る部屋の細部を確認し始めた時、隆様から声が掛けられた。


「はい」


「嫁とは少し急ぎすぎたかもしれない。

とりあえず、お互いをよく知ろう!そこから進展発展していって、嫁になってくれ!」


「ですから隆様、私は…」


もしかしたら先程の質問の意図が伝わっていないと思った私は、同じ事を言おうとすると…隆様は私の口元を指で塞ぎ、笑みを浮かべ言った。


「茜、君はロボットだ。

だが、俺は君を人間として造った。それに、俺は結構わがまま…身勝手で自分勝手なんだ。

だから、君を俺はロボットとは思わない。


本当は約束として聞いて欲しい。だけど、今の君では難しいだろうから本当は好きじゃないけど命令だ。


君は人だ。人らしく他人よりも君であれ。


そうある為に真似なんてしなくていい。茜は茜のままで人でいてくれ」


「……申し訳ありません。

言葉の意味が理解できません。私は機械です。人ではありません」


「今はそれでいい。

ただ、俺は確信しているよ茜。

君は人だと」


隆様に言われ、私がエラーばかりでる情報を整理していると黙示様が呆れたように言った。


「無茶苦茶な事を言いますね。

茜さんも困っているじゃないですか。


初めまして茜さん。'明示みょうし 黙示もくし'といいます。

貴女を造った隆先輩の後輩になります。


先輩の言う事は、あんまり真に受けなくていいですからね。

たまに、わけの分からない事を言うんですよ」


黙示様は、困惑している私にそう言う。

まるで人間に話しかける様に話す黙示様が言う真に受けない方法とはどうすればいいのか…結局、私は情報を整理できずにエラーばかりが増えていく。


そんな私の状況を察したのか、黙示様は用事があると隆様と私に伝え部屋を出ていった。

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