第2話 独裁的な理想の政策とは⁉
起立、注目、礼!
「お願いしまーす」
暑さも重なりだるくなる季節だが、彼らにとって大事な授業が始まった。
「テストも近いからしっかりノートまとめとけよ〜!次のテストですべて決まるからな」
重々しい口調で先生は言った。近いうちに全国一斉実力調査が始まるのだ。無論、結果を残さなければならない。先生の言うことを受け止め勉強するしかないのだ。生きるために…
今となっては全国民が、支持をする新大日本帝国。堅剛な組織として日本に降臨している。権力も絶対的なものだ。はたしてどんな政策を打ち立てていったのか…今から簡単に説明しよう。
改革前の日本は高齢化という避けられない問題を抱えていた。65歳以上の老人は仕事もあまりできない。家に留まることも多く、景気も悪くなる一方。そしてなにより医療費、介護費の負担が大きすぎた。そこで覇民党は、単純だが残忍な行動に出たのだ。それは70歳を迎えた国民を、強制的に殺すこと。老葬所に集め、そこで安楽死させるのだ。使えないものは消す、それだけだ。そんなの酷すぎる!と思う人もいるかもしれない。しかし、日本にはその選択しか残されていなかった。心は痛くなるが、その政策は大成功を収めた。言葉は悪いが老人を相手する手間も省け、金もかからなくなり、効果的に税金を使用することができるようになったのだ。
他にも税金の無駄遣いを徹底的になくし、消費税も30%に引き上げられた。労働基準法も大きくかわり、深夜まで働かせた。もちろんニートのように楽した生活もさせてもらえない。国民は無駄なく、国に尽くした。そうしなければ死が待っている。もう人間の権利など半分も残っていないのでは…
だが、これでは無駄を削ぎ取っただけで進歩はない。そう考えた新大日本帝国は、世界最強の国づくりを始めたのだ。そしてすぐに実施されたのが、児童才能別仕分け制度。名前の通り、日本全ての子供が6才を迎える前に身体力調査が行われる。そこで基準値より、大幅に上回る運動能力を持っていれば、国に勝手に定められたスポーツを徹底的にやらせられる。それにより今では、ほとんどのスポーツで世界のトップに立つ。世界ベスト16が限界だったサッカーですら、もう3連覇を果たした。毎日同じメンバー、同じポジションで20年以上も練習、いや訓練を果てしない量を積み、設備、スタッフが完璧な環境でサッカーだけを打ち込む。十分にこの成績にも頷ける。
仕分けはこれだけではない。惜しくも運動能力が欠けていた子供は、頭で補わなければならない。そこで新政府は今までの教育を覆した。まず、各地の各エリアに小、中、高一貫の学連舎を設立し、各学年きっちり20名ずつになるようにした。もちろん高校までが義務教育だ。学ぶ内容も今までより難しいものを選んだ。ゆとり教育などふざけたことを言っている場合ではない。そして、さらに厳しいルールが生徒にのしかかった。それは小学6年、中学3年、高校3年の夏に全国一斉実力調査が行われる。そこで成績の悪かった5校の生徒は、残った1校だけが救われるという死のバトルロイヤルを行なう。特別に用意された競技場で、ただ勉強が少し出来なかっただけのために殺し合いをするのだ。少し聞いただけでは馬鹿げていると思うかもしれないが、この効果でどれだけ日本の学力向上に繋がり、発展の土台となったかは言うまでもない。死の恐怖は、子供たちに勉強させる最善のひとつだったのかもしれない。
こうした身が引き締まるような政策を、確実に行い今の新大日本帝国はあるのだ。彼らの革命活動は、まだまだ続いている。日本は何かを犠牲にしながらも、確かな一歩を歩んではいるが、はたしてこれが正解なのかは、吉永 政宗も含め多くの人が疑問を持ち始めていた。




