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やらかしていた男子ぼちぼち頑張る。  作者: ぐっちょん


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175/196

第175話

ブックマーク、評価ありがとうございます。

『タケト様、ただいま戻りました』


「!?」


 クラスのみんなと入学式の会場(体育館)に移動している途中で、ミルさんからテレパスが届いた。


『ミルさん』


『はい』


 時間にして20分くらいかな。思っていたよりも早かった。

 ミルさんは俺の保護官だからあまり時間をかけれなかったのかもだけど、何か分かったのかな……


 ——ん、ミルさんどこ?


 今は新山先生の後ろをサンちゃんとタケヒトくんと並んで歩いているんだけど、ミルさんの姿が見えない。


 ——あ〜、そうか。


 いつものようにみんなの後方かな。


 ミルさんは俺の学校生活をなるべく邪魔したくないらしくて、少し離れたところに待機している。

 

 まあ、ミルさんは、気配の消し方がうまいからそこまで気にしなくてもいいんだけどね。


 それに最近では、ますます気配の消し方に磨きがかかっていて、俺の隣に立っているのに、みんなから認識されていない時もある。


 それでいて必要な時は逆に気配を大きくして、保護官としての存在感を示しているからすごい。


 俺も練習すればできないかな……なんて思ったけど、ミルさんが言うには、俺は(高すぎる)念力やら(人を惹きつける)体臭やら(存在感を放つ)オーラやら色々と出ているから無理だと言われた。


 ——念力は分かるけど体臭って……


 身体は毎日ちゃんと洗っているのに。思い出したらなんか涙が出てきた。


『大丈夫、タケトくんはいい匂い』


 今日は大丈夫だろうかと、何度か自分の匂いを確認していたら、ナナコからそんなテレパスが届いた。


 そうだった。すぐ後ろにはサキやナナコやツクシやサチコ、それにクラスのみんなもいるんだった。


 みんな一緒に移動しているから当然といえば当然なんだけど、俺の行動を後ろから見られていたと思うと、恥ずかしくなった。


『気にしなくていいと思う』


 ——そう、かな。ありがとうななこ。


 でもまあ、ナナコは優しいから仮に匂っていたとしても臭いとは言わないだろうな……


『タケト様』


 ——あっ……

 

 そうだったミルさんだ。周囲に見当たらないところをみると、やはり、いつものように最後尾にいるようだ。


『タケト様は女性の下着にご興味はございますか?』


 ——ん? 


 幻聴かな? ナナコと体臭の話をした後に、今度は女性の下着? なんで?


 たしかに最近は目のやり場に困ることが多々あるけど、俺はなるべくみんなの顔の辺りを見るようにして、視界にいれないようにしてるよ?


『み、ミルさん。俺が女性の下着に興味なんてあるはずないじゃないですか』


『失礼いたしました。女性の下着にご興味のある男性がおりましたもので……タケト様もそうであればと……』


『お、俺は違うけど、そんな男性が……あ、ひょっとして陸奥利先輩?』


『はい』


 先ほど見かけた時にもちょっとおかしいかもって、不審に思っていたけど、よく分かったね。さすがミルさん。


『いえ。それで陸奥利様は……』


 ミルさんの話によると、3年生の校舎に入っていった陸奥利先輩は教室に向かうことなく、昨年まで使用していた別室に入り、スマホの画面を眺めてはにやにやしていたらしい。


 少し離れて待機している保護官と陸奥利先輩にバレないように気配を消してスマホに近づき、その画面を覗き込めば、我が校の生徒らしき女性や先生方の画像が表示されている。

 しかも、その画像は全て下着がチラリと写っているかギリギリ写っていないかの画像ばかりだったとか。


 ——なるほど……


 盗撮という言葉が頭に浮かぶが、残念ながら、男性がそんなことをしていたと言っても誰も信じてくれない。

 この世界においては、盗撮は女性の犯罪というイメージが強いのだ。


 新山先生が言いづらそうにしていたのもこういう理由だからで、迂闊な事は言えないか……


 それにこの国からすれば、そんな男性(女性に興味がある)は貴重だと思うかも。


 しかし、なんか嫌な感じだな。


『その点はご心配なく……』


 どうやら陸奥利先輩は女性からあまり好かれる体質ではないらしく、今側にいる保護官の人ですら契約しているからで、用がなければ少し距離をあけて待機しているのだとか。


『そんな事ってあるんだ……』


『はい』


 短時間でよく調べたものだと感心していたら、陸奥利先輩がスマホの画面に釘付けになっている間に、ミルさんは、陸奥利先輩を担当している保護官の人から直接話を聞いたらしい。


 ミルさんとそんなことを話していればあっという間に入学式の会場に着いてしまった。


 3年生はすでに着席していて、複数の視線を感じるが、


「タケトきゅん、タケヒトちゃん、ここに座りましょん」


「おい、引っ張るな」


 サンちゃんに腕を引っ張られる形で俺とタケヒトくんも椅子に座り前を向く。


 ——あっ……


 大きいからか、すぐに陸奥利先輩を発見した。


 陸奥利先輩の両隣に座る3年生の先輩方、陸奥利先輩から離れるように椅子の半分に腰掛けている。これは驚いた。


 そんな先輩方を見て、ミルさんが『女性からあまり好まれる体質ではない』と言って意味を理解した。


 ——あれはツラいだろうな……


 でも、陸奥利先輩は平気そうというか、ニヤけた顔で両隣の先輩方の太ももあたりを眺めていたかと思えば、突然、陸奥利先輩が持っていた小物らしきものを下に落とし、拾う振りをしつつスマホをポケットから取り出してパシャリ。


 ——は?


 我が目を疑ったね。一瞬でも仲良くできたらいいかもって思ってしまった自分がバカらしくなった。


 残念ながら、サンちゃんとタケヒトくんは2人で話をしていて見ていなかった様子。

 俺の隣に座る小宮寺さんはというと……こっちを見ていたのか、俺と目が合いボンッと音が聞こえてきそうなほど、頬を染めて俯いてしまった。


 見ていたのは俺だけか……いや、新山先生が眉間にシワを寄せながら陸奥利先輩の方を見ているから気づいているのかも。


 それからすぐに入学式が始まり、緊張した様子の新入生(女子生徒)が会場に入ってきた。


 ぽっちゃり体型の男子生徒14人と、さらに横幅の広い男子生徒2人の合計16人は最後に入場した。


 ——ん?


 そんな彼らは学校指定の制服ではなく、ダボっとした私服姿でダラダラと歩いてくる。


 横幅の広い男子生徒は半袖シャツに短パン姿で特にダルそうにしているが、金髪と茶髪だ。髪を染めている男子なんて珍しい。

 少し前に流行ったヤンキーじゃなくてスケバン漫画の影響かな? 


 あの中の6人が登校組になると聞いているけど、あんな感じで大丈夫なのかな。かなり不安だ。


 それからは滞りなく進み、校長先生のお祝いの言葉に、来賓祝辞、生徒会長が新入生に祝辞を読み上げ……


「桜の花が咲き始め……

 新入生の皆様、この度はご入学おめでとうございます。在校生一同、心より歓迎申し上げます。

 私も2年前……

 今日はそんな、少しだけ早く高校生になった私から、学生生活を楽しく過ごすための秘訣をお教えしたいと思います。

 それは「サーヤ」と「武活」です。

 他にも……

 ……というようなこともあります。

 ぜひ、充実した時間を過ごしてください。

 また、私たち先輩……

 分からないことがあれば、なんでも聞いてください。

 以上をもちまして、歓迎の挨拶とさせていただきます」


 ん? よく分からない言葉があったような気がしたけど、ざわつく(新一年生)男子生徒たちが気になって、よく聞いていなかったよ。


 でも、会長は満足気。生徒たちも羨望の眼差しを向けている。俺もちゃんと聞いていればよかった。


 新入生の代表は北川彩葉きたがわいろはさんという子だった。ちょっとした仕草が上品で、綺麗な感じの子だ。

 緊張している様子もなくスラスラとお礼と抱負を読み上げていたよ。

 ちらちらと視線が合ったような気がしたが、こういう視線はよくある事で、ただ男性が珍しいからだろう。


「まだかよ」

「ダリ〜」


 というか1年生男子、時間が経つにつれ、どんどんうるさくなっていく。


 キラキラした目で1年生男子を眺めていたサンちゃんも今では興味を失い、船を漕いでいる始末だし。


「つーか、お前くせぇな」

「くせぇーのはお前だろ」


 今にもケンカを始めそうな金髪と茶髪。入学式が中止になるのでは? と少し心配したが、すぐにそれぞれの保護官から静かに摘み出されていて、入学式は無事に終わった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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