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やらかしていた男子ぼちぼち頑張る。  作者: ぐっちょん


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第157話(東条麗香視点)

ブックマーク、評価ありがとうございます。

「はい、はい……手続きはすでに終えておりますが……えっ、婚約っ!? いえ、すみません。はい、問題ありませんわ。はい。はい、お任せください。失礼致します」


 わたくしは東条麗香。お母様からかかってきた電話を切り、椅子の背もたれに寄りかかる。


「……ふぅ」


 お母様から伝えられた内容はあまりいいものではなかった。


「お嬢様……」


 思わずため息をつきたくなりましたが、側仕え兼友人でもあるカエが不安そうな顔をわたくしに向けておりましたので、何事もなかったかのように装う。


「大丈夫よカエ。わたくしはわたくしのやるべきことをやるだけよ、何も問題ないわ」


「はい」


 とはいえ、カエもまた、スピーカー通話にしていたため、わたくしとお母様との会話は聞いている。


 これはわたくしのスケジュール管理をカエに任せているからであり、スケジュール調整をスムーズに進めるためでもあります。


 そんなカエがわたくしの顔をじっと見ている。


 ——お見通しってことよね。


 カエとの付き合いは長い。わたくしの強がりなんてカエには通用しないのよね。


「あーあ、西条朱音さんに先を越されたわ」


 わたくしが少しおどけて言えばカエがふふっと笑う。


「そのようですね」


 沢風和也の件は、もともと男性に期待していなかった東条家にブレーキをかけるキッカケになった。

 男性に過度な期待は危険だと。剛田武人様も人気になれば沢風和也と同じような行動をとるようになるのではないのかと。

 同じ轍は踏まないと過剰なほどに慎重に事を進めていた。


 我が東条グループ関係者に武装女子チャンネルに登録するような指示がなされたのもそう、登録者数が増えた彼がどのような行動を取るのか図るため。


 実際、わたくしは登録はしましたが忙しさを理由に中の動画は一度も拝見したことはありません。


 男性の行動をチェックするくらいならば、わたくしは将来に向けて、帝王学を学び、経済の知識を身につける方がまだ建設的だと思っていたからだ……


 ——……。


 ごめんなさい。わたくし嘘を言いましたわ。何度も彼の歌は聞いておりますし、彼の出演した歌王夜はしっかりと保存しております。


 うたコラボ番組では彼の知らなかった一面が知れて、ますますほ……こほん、気になる存在になっておりますわね。


 か、勘違いなさらないでください。あの念力操作は努力なくしてできるものではないとすぐに理解できましたから、彼は沢風和也と違い努力もできる人間だと判断しだけです。

 そんな男性は稀少なのですからね……


 しかし、彼が目立ってきたことで、厄介な情報もすぐに上がってきました。


 それは西条家だけでなく、北条家や南条家までもが彼を取り込もうとしているというもの。


 特に西条家と南条家はすでに彼と接触しておりますので油断なりません。

 わたくしとしては正直焦りを感じておりましたが、お婆様やお母様は慎重になさっているのか唸るばかり。それどころか、もうしばらく様子を見てもいいのではとあまり気にしていない様子……


 わたくし知っていますの。お婆様とお母様が東条家に忠実な男性タレントを密かに育てていますのを。


 わたくしは嫌な予感がしています。そちらがうまく育てば武人様に拘る必要がないと思っているのではないのかと……

 そうなればわたくしの婚約者もその中の誰かになってしまうのではないのかと……


 武人様を知る前だったらそれでもよかったのですが、今のわたくしは……


 そんな時に「自分の目で確かめてみてはどうですか」と背中を押してくれたのがカエです。

 わたくしが何の行動も起こさなかったのが歯痒かったのでしょう。

 わたくしの気持ちなど付き合いの長いカエには誤魔化せませんからね。


 でもそんなカエの一言があったからわたくしも覚悟を決めて行動を起こす事にしました……


 彼のいる学園に転校し人格を見極めたいと。4月からわたくしは3年になりますので、期限は一年間しかありませんが、しっかりと見極め、東条家のためになるようならばわたくしの婚約者として取り込み、期待外れならば普通に卒業すればいいのではないかと。

 幸い、彼の通っている学園のレベルは今の学園とそうは変わらない、わたくしのこの行動は東条家のためになるとね。


 そのような交渉をお婆様とお母様、そして叔母様たちにしましたが、わたくしがそのような提案をするとは思ってもいなかったみたいで、大変驚いていましたが、わたくしの東条家を想う真摯な気持ちが伝わったのでしょう。

 それからは終始笑顔で交渉はスムーズ、わたくしの提案は意外なほどあっさりと許可されました。


 あれほど悩んでいた自分がバカらしくなるほどにね。


 武人様の通う学園にはもちろんカエも一緒。その手続きを終えホッとしていたのも束の間。


 お母様からの電話で西条朱音さんとの婚約を知りました。


 つまり東条家は西条家に出遅れてしまったのです。


「婚約はリードされましたが、婚姻はわたくしの方が先ですわ(年齢的に)」


「ふふ。そうですね」


 お婆様たちと交渉したあの日から武人様の情報は逐一報告してもらえるようになり、武人様の人となりが見えるようになると、武人様とお会いする日がとても待ち遠しく思えるようになっていた。


 そんなある日、カエから報告を受けわたくしは思わずため息をついた。


「はあ、どうしようもなくおバカなのですね」


 元婚約者の沢風和也さんが法務局内で暴れ警察沙汰になっていたのです。


 詳細を聞くと、どうやらあのおバカは潰れかけて自己破産寸前だった『トアルネットテレビ会社』と『そこそこ芸能事務所』を買収(代わりに億単位の借金返済)したらしいが、代表者どころか会社株の所有すら認められずに寄付扱いにされて大激怒。


 代表者たちはいきなり買収すると言いつつ乗り込んできたおバカに、キチンとその辺りのことを説明したらしいが、おバカはそんな代表者たちの話に耳を傾けるどころか、僕を騙そうとしても無駄だと、聞く耳持たずに借金を恩着せがましく返済した。


 それから、すぐに今日からここは僕の会社だとかなんとか、高笑いしたかと思えば、手続きに行くから来いと法務局までの同行を強要されたのだとか。


 暴れに暴れたおバカは彼の保護官に警察官が来るまで取り押さえられる。


 警察署内で、警察官と法務局職員立会のもと再び話し合い。

 折衷案として未亡人となっていた代表者たち(60歳と62歳)が妻となることでその場を収めようとしたらしいが(娘はすでに結婚していたため)、ババアの妻などいるか! と逆上して代表者を殴りつけようとして、今度は警察官から取り押さえられ、今は留置場で頭を冷やしているのだとか。


「彼との契約は?」


「ドラマが一本残っていましたが、体型が変わり途中から降板になりましたので、今は何も」


「そうですか。では放っておきましょう」 


 下手に庇ったり、芸能事務所を解雇したとしてもいい事がないと考えたからだ。


「そうですね。それが賢明かと」


「それよりもカエ。転校後の住まいは……」


「はいお嬢様。候補をいくつかお持しておりますよ」


 満面の笑みを浮かべながら、プリントした不動産情報を差し出すカエ。でもその顔がなんだか腹が立つ。


「カエ。何度も言いますが、わたくしはあくまでも東条家のために……」


「ふふ。そういうことにしておきますね」


「そういうことも何も、わたくしは……」


「はいはい」


 もちろん、わたくしが押さえた不動産は武人様の通学経路にある一軒家。ふふ。


 ちなみに元婚約者の沢風和也さんは代表者たちを妻に迎えることで話をまとめたらしいが経営状況は依然として厳しく、再び借金して悩むくらいならばとその会社は無借金のまま廃業する事になったらしい。

 借金を返してやった(寄付扱い)だけで、何も残らない無駄な買い物をしたみたいですと、カエから報告があった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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