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4 ワグ茄子


 ワグ茄子。


 島の特産品をひとつあげるとすればワグ茄子があるだろう。


 西部にある盆地ではワグ茄子畑が広がっている。


 時忘れの実とも呼ばれているこれは、200年前、魔王の一人、サバルムが命乞いの末に勇者ノーソンに差し出した禁断の果実である。


 ノーソンは実家の畑がサバルムの攻撃によって焼けてしまったことを激怒していた。


 管理人さんの仲裁があったものの、最後までノーソンはサバルムを許さなかった。絶対に。


 実をつけるが、決して腐らず、いつまでも保存が利く、毒でないもの。みんなが元気になるやつをくれ。そうしたらお前を見逃そう。


 サバルムを始末するつもりでノーソンは、この魔王に難題を出した。


 だが、神に近い存在である魔王はその難題をクリアするものを差し出したのだ。


 それがワグ茄子である。


 ゾンビマスターであるサバルムはゾンビを使役して、農地改造を行い。ワグ茄子の種を撒いた。


 収穫されたワグ茄子は見事に太った茄子だった。


 この茄子の特徴は外皮が他者によって切られるまでその果実の時が止まるという代物だった。


 実をつければ誰かにかじられるか調理されるかまで決して腐ることのない果実。


 島の食糧事情はこのワグ茄子の量産によって、一気に解決した。島を探せば200年前のワグ茄子もあるかもしれない。


 ただし、ひとつだけ問題がある。


 食べ過ぎると時間の感覚が少しだけおかしくなるのだ。



「すこし前に流行った子連れの超乳武器屋ママ居たじゃん」


「それ10年前のだよ」


「えっ、そんなに?」


 ワグ茄子であるが、特にマーボー茄子と焼き茄子と揚げ浸しは絶品である。


 実を結ぶが決して種を残すことの無いワグ茄子。


 おかげでサバルムは茄子の種を売るだけで左団扇の生活をしている。


 サバルムの住む城は茄子御殿とも呼ばれている。


 庭は公園として開放されており、入場料は300円で、10時から18時まで。(冬の間は17時まで)。


 併設された茄子畑でノーソンの子孫たちと一緒にナスを採っているサバルムに会える日もあるだろう。

太陽の神クー・リーン・サン

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