2 魔斧ナローアックス
聖剣エクスカリバーや聖剣デュランダル、聖剣レーバンテインといった聖属性にまつわる武器は誰もがその名を聞いたことがあるであろう。
聖なる武具。聖~はあるのに、その対になる魔剣の類はあまり有名なものがない。
魔刀ムラサメブレードをぽんと出せるのは貴兄がマニアであるからだ。
ラグナログの属性に関する論議をふっかけるのはやめてもらいたい、先日13日かかっても答えは出なかった。……おかげで我が家のストゥルングゼロの在庫が無くなってしまったではないか。
さて、ニージュラ島には呪われた武器がひとつある。
魔斧ナローアックスだ。
別名断棺斧ともよばれるこれは、攻撃をうけた相手の動きをまず弛緩させる魔法攻撃を加える。
この攻撃を受けた相手は1撃目で動きを封じられ、2手目の攻撃で絶命することを運命付けられるのだ。
弛緩効果は、精神にダメージを及ぼすことに由来する。
この斧の2の撃を受けた魔王、ブラッド・ギガスの弁によれば、
「自らの武芸を披露し、強者と競っていたはずが、この斧の一撃とともに精神に己の人生のあり方を完全に否定される精神攻撃を受け、まともに立っていられなくなった」
という。
断棺斧とは勇者アッシュ・トーキの葬儀からよばれだした別名だ。
アッシュ・トーキの死後、彼の棺の中に収められたナロー・アックスであったが、出棺の瞬間にその棺を叩き割って空へ飛び出した。
そして次なる持ち手、使い手をさがして今もニージュラ島の上空を飛び回っているという。
この島に巨大な飛行系のモンスターが居ないのは、ナローアックスの仕業であると言われている。というかあいつの仕業で間違いない。
そしてナローアックスが島を出ずに島の上空だけを飛んでいるのは、3魔王の貼った結界のおかげであろう。
ありがとう魔王。
島の冬。木枯らしの吹く日に、ひときわ強い「びゅうう」という音を聞いたら、空を見上げてみるといい。ナローアックスが飛んでいる様子を見ることができるであろう。
ただしあまり見つめてはいけない。
ナローアックスが貴方に振り下ろされるかもしれないからだ。
次回 3勇者アッシュ・トーキは沢山いる。