7.朝の結果は…~お兄ちゃんは応援したい~
―湊Side
「湊、体育館行こうぜ!」
ワクワク、ソワソワした表情で誘ってくる颯汰に並び、
「そうだね~ 俺も気になるし」
全体オリエンテーションのため、少し早めに体育館に向かう。
いつもはゆっくり向かうが、今回早めに行く理由は一つ、昨日から立てた作戦が上手くいったかということ。
(今度こそ、うちの弟は報われるかな~)
体育館に着いてしばらくすると、ターゲットの一人が友だち二人と入ってきた。
その事に颯汰も気がついたようで「麻琴!」と手を振りながら近づいていく。
ソワソワしながら「委員会どうだった?」と颯汰が聞くと、ちょっと呆れたように
「言われた通り、なりました。 ゆづも一緒」
と麻琴が答える。
(よかった麻琴ちゃんはなれたか。柊斗はどうだったかな…)
と思っていた時、麻琴の肩にポンっと手を置きニコニコしながら結月が
「ちなみに、私のペアは柊斗くんですよ」
とこちらの心の声が聞こえたように答える。
その言葉を聞いて、颯汰と思わず顔を見合わせる。
(颯汰、嬉しそうだなぁ 俺も嬉しいけど)
颯汰は嬉しそうに
「そっか! よしよし あっ放課後、委員会の顔合わせあるから二人ともまた!」
と手を振り歩き出す。
ニコニコしている結月とポカーンとしている二人をあとに、もう一人のターゲットのもとへ。
「柊斗!朝陽」
名前を呼ばれて振り向いた二人は、自分たちを呼んだ声の主の顔を見て何かを察したよう…
「こんにちは」朝陽があいさつをする。
「よっ!」と朝陽に合図をして、フフと笑いながら、颯汰と肩を組み
「「よかったな~」」と柊斗に向かって声を揃える。
「同じ委員会で頑張ろうな~ よろしく!」少し意地悪そうに颯汰が言うと、
朝陽が「あっちなみに自分もです。よろしくお願いします」といつもの人懐っこい笑顔。
一方、柊斗は俯きながらもペコッと頭を下げた。
「柊斗、よかったね~」
柊斗の顔を覗き込んで言うと、柊斗の口が開く
「………ます」
??? 柊斗が何か言ったような気がするが、三人とも聞き取れなかった。
「柊斗、今なんて?」
朝陽が聞くと、悔しそうな、恥ずかしそうな顔をしながら柊斗が言い直す。
「ー…協力してくれて、ありがとうございます…」
小声だったが、今度はハッキリと聞こえた。
!!! 柊斗の口から予想外のことが発せられ驚く三人。
普段、こうして絡まれる事が嫌な柊斗が、催促もしていないのに素直に礼を言うことは滅多にない。
(揶揄って怒ったと思ったのに、まさかお礼を言うなんて…)クスッ
「しゅ…柊斗どうした?」「お前が素直に礼を言うなんて…」
颯汰と朝陽は戸惑っていたが、俺は、不器用で可愛い弟の成長を感じていた。
「柊斗も、たまには素直になることだってあるよ。」
ポンッと肩に手を置いて弟の顔を見ると、その弟の視線は一人に注がれていた…
(ホント…麻琴ちゃんを見るときは柔らかい顔するな―…)




