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無自覚な初恋とこじらせ初恋  作者: 阿衣真衣


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13/16

13.デートだって…?

雨で何度か一緒にバスで登校したが、特に進展はなく…

気付くと梅雨も明け、ジリジリと暑い日差しが降り注ぐ日々に。

そして、あっという間に夏休み前日になっていた―


―麻琴Side


教室に入ると、あちこちで明日から始まる夏休みについての話が聞こえてくる。

兄・颯汰(そうた)からの伝言を伝えるため、朝陽(あさひ)の席に向かうと、彼もまた友だちと夏休みについて話をしていた。


「朝陽くん、話してるところごめんね。放課後、委員会あるから3年3組の教室に集合してほしいって」

「了解。 他のクラスにも伝えたの?」

結月(ゆづき)には伝えたよ。1組と2組にはこれから行く予定」

「じゃあ、俺1組行くよ」

話していた友だちに「ちょっと行ってくる」と合図をして席を立つ朝陽。

「ありがとう。」


(朝陽くんと一緒でよかった~ 他のクラスに言いに行くの緊張したからありがたい。 話しやすいし、手伝ってくれるし、いい人だな~)


委員会の話は、体育祭で三学年の同じ組でチームになりダンスを披露することと、そのための練習が夏休みにあるので、場所とスケジュールを確認して、クラスに伝えてほしいとの事だった。


「とりあえず、仮で作ったスケジュールがあるから、それぞれメモしてください。変更あったらまた知らせるから。写真撮ったり、メモした人から帰っていいからね~ じゃあ、1組から…」

夏休みの練習スケジュール表を颯汰が教壇の上に置いて、順番に案内する。


スケジュール表の写真がちゃんと撮れているか確認し、朝陽にクラスの皆にどうやって連絡をするか相談すると、

「クラスへの連絡は俺がやるよ。今日、スケジュール表送信して、前日にまた連絡するってことでいいかな?」

朝陽がスマホを見せながら提案してくれた。


「ありがと。それじゃあ、連絡は交互にしない? 二回目の練習の前日は私が連絡回すよ」

全て任せるのは申し訳ないので、そう言うと朝陽はニコッと笑いながら「オッケー」とポーズを交えて言う。

(朝も思ったけど、やっぱ朝陽くん優しいなぁ 安心だわ)


朝陽と連絡の回し方について話がまとまると、スケジュール表を確認した柊斗(しゅうと)と結月が戻ってきた。

「それいいね! 柊斗くん、私たちも二人の真似して交互に連絡回さない?」

私達の会話が聞こえたのか、結月が柊斗に提案すると、柊斗はカバンを肩に掛けながら

「…わかった。 じゃあ、今日は俺がやるから」と返事をする。

その返事に「よろしくお願いします。」と結月が返して、流れで四人で教室を出た。


「じゃあ、みんな部活頑張ってね」

下駄箱へ向かう三人に手を振り、私は約束があるので、階段へ向かう。

「はーい! 麻琴(まこと)はデート楽しんできてね!」

「デートって…」(また揶揄って…)

ニコニコしながら「いってらっしゃーい」と手を振る結月の後ろで、朝陽は驚き、柊斗は固まっていた…

気がした。


「そうだね。 楽しんでくる! じゃあね」

揶揄う結月に合わせて返事をし、待ち合わせ場所へ向かう。


―柊斗Side


今回の委員会も四人で一緒に行くことに…

前を歩く麻琴と結月は、楽しそうに夏休みについて話している。


(夏休みか… 顔見るの減るな…)

そんなことを考えながら、前を歩く麻琴を見ていると…

「そんなに見てたらバレるぞ」

コソッと朝陽に耳打ちされた。

恥ずかしさから思わず朝陽を睨むと、朝陽はシシッといたずらに笑っていた。


教壇の上の練習スケジュール表を撮り、席に戻ろうと振り向く。

「―…」

委員会についての話とは分かっているが、麻琴と朝陽を見てモヤモヤ…

朝陽と話しながら微笑む麻琴の顔に胸がざわめく。


(もし、この委員会がきっかけで麻琴が朝陽に惹かれたら… 朝陽はいい奴だし、その可能性がないとは言えない。 でも朝陽は俺の気持ち分かってるから、もしもの事があっても断るだろう… そうなったら麻琴が悲しむ… いや、それよりも朝陽が惹かれる可能性も…)

ポーカーフェイスを保っているが、二人の様子を見て内心穏やかではない… むしろ、大荒れである…


これ以上二人が一緒なところを見ると、冷静ではいられなさそうなので、帰ろうと、カバンを手に取る。

すると、結月が自分たちも二人のように連絡を回そうと言ってくる。


麻琴がいる手前、結月に対して、なるべく冷たい言い方にならないようにと軽く息を吐き、気持ちを落ち着けて返事をした。

(大丈夫だったよな? 普段通りのトーンだったよな…)


そして流れるように四人で教室を出る。

(もう委員会の集まりの時は、これが定番化してほしい…)


「じゃあ、みんな部活頑張ってね」

同じように校舎を出ると思っていた麻琴が、下駄箱前で手を振りながら言ってきた。

何か用事でもあるのかなと思っていると、結月が「あっ、そっか」と思い出したように

「はーい! 麻琴はデート楽しんできてね!」

と笑顔で手を振る。


(!?!?!?!?!?……デート?)

ドクンとなった心臓がギュッと締め付けられた…(デート…?)

横から小さく「えっ…」驚く朝陽の声が聞こえる…


「デートって…」と呆れ笑いのような顔で言いながらも、少し嬉しそうにも見える麻琴の表情を見て、動けなくなった…

そして、麻琴からのトドメの一言……

「そうだね。 楽しんでくる!」

そう言いながら階段の方に振り向き歩いて行く麻琴の姿が、スローモーションのように見えた…


(―……相手は? 周りに男がいる気配はなかったはず… 朝陽も何も言ってなかった。

 ということは、違うクラス?先輩? 誰と…… どこに?)

動けずに、頭の中でいろいろ考えていると、隣から結月に質問する朝陽の声が聞こえる―


「あの~…結月さん? デートって……」

ニコニコと麻琴に手を振っていた結月に朝陽が聞くと、靴を履き替えながら悪戯な笑顔で答える。


「ん? あ~、同じクラスの相原天音(あいはらあまね)って子とカフェに行くんだって~」

「「―……?」」

(あいはら あまね? 女か? いや、男って可能性もまだ残ってる…)


「最近仲良くなったらしくて、なんでも同じキャラが好きってことが判明して、そのことについて語るんだーって嬉しそうにしてさ~」

フフッと嬉しそうに、楽しそうに笑いながら言う結月。


朝陽が「…あー なるほど…そういえば最近、仲良さそうにしてたな」と呟く。

結月は満足そうな悪戯な笑顔を浮かべながら、俺に向かって

「安心して、女の子だから! じゃあ、二人ともまたね~」と手を振り歩いて行った…


(……やっぱり苦手だ…)

いつからか、結月から揶揄われているように感じることが増えた。


(男じゃなくてよかったー…)

安心と、結月に揶揄われた恥ずかしさから、前髪をくしゃっと掻き上げながらため息をつくと、朝陽が肩にポンと手を置いてきた―


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