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真実を見極める目

 さて、アルファベの街に帰ってきてから、勇者アカサタは、なにやら熱心に取り組んでいます。

 どうやら、伝説の画商イロハ・ラ・ムーに教わったコトを試しているようです。

「世の中の女性は、おっぱいやお尻、太ももだけではない…か。フム」

 独り言を呟きながら、道行く人々を観察しています。


 何時間も何時間も、ずっとその状態が続きます。

 時折、このように呟いているのが聞こえてくるだけです。

「なるほど。うなじから耳にかけてのラインが美しい」

 あるいは、こんな言葉とか。

「なんという姿勢の美しさ。背筋がピンッと伸びており、指先1つまで無駄のない動き。アレは、プロの歩行者だな…」

 もしくは、こんなセリフとか。

「ウ~ム…美しい足首だ。形よくくびれている。さらにそこから、ふくらはぎをたどっていくと、これまた素晴らしい。パンパンに鍛え上げられたふくらはぎ。さそかし過酷な訓練に耐えたのだろう」

 どうやら、勇者アカサタは、道行く女性たちを観察しているようです。それも、イロハ・ラ・ムーの教えに従って、女性のありとあらゆる場所を細部にわたって克明に観察しているのです。


「開眼!!」


 突然、勇者アカサタは、そう叫ぶと、どこかへ走り去っていきました。

 一体、何を開眼したんですかね?アカサタの目には、何が見えていたというのでしょう?


         *


 その日の夜、冒険者が集まる酒場にて。

 勇者アカサタは、他の冒険者たちに混じって、楽しそうに飲んだり食べたりしています。

「ワッハッハッハ!愉快!愉快!」

 他の人たちは、日暮れ近くまでモンスター討伐に精を出していたのですが、勇者アカサタは何時間も街の中で女の人を眺めて暮らしていただけです。


「見える!見えるぞ!」


 心の中で、そう叫ぶ勇者アカサタ。

 実は、アカサタは“服の上からでも女性のおっぱいを見抜く能力”をさらに発展させ、“女性の頭のてっぺんから足の先まで、全てを見抜く能力”を会得しようとしていたのです。

 その技は、まだ完全ではありません。けれども、1日中戦闘をこなし、汗でベタベタになった女性剣士や女性アーチャーなどの肌を見事に透視していたのでした。

 もちろん、それは勇者アカサタの妄想力によって成せる技でした。それでも、かなりの精度で、相手のスタイルを言い当てます。

「君、ちょっと太ったんじゃない?」

「あ、そっちの君は、お腹のお肉が筋肉に変わっているね。非常に美しい腹筋をしているよ」

 などと指摘すると、女性の方は否定したり賛同したり、その反応は様々なのですが、実は内心「見事に当たってる!どうなってるの?どこかで覗き見されてる!?」などと、不気味に感じていたのです。


         *


 さらに、驚くべきは、ここからです。

 勇者アカサタの能力は、戦闘においても発揮されることとなっていきます。妙に敵に致命傷を与える確率が高くなっているのです。

 以前と同じように剣を振っているだけなのですが、その剣のひと振りひと振りが、適確に敵にダメージを与えていきます。そうして、敵の弱点を突くこともしばしばです。

「オイオイ、どうしたんだい?アカサタ君?最近、妙に調子がいいじゃないか?」

 先輩冒険者に、そんな風に言われるコトが増えてきました。

「いえいえ、大したコトはありませんよ~」と、謙遜してみせる勇者アカサタ。と、同時に、またもや攻撃がクリティカルヒット!敵のウィークポイントを確実に突いたようです。


 これが、伝説の画商イロハ・ラ・ムーの語っていた“真実を見極める目”

 勇者アカサタのエロから始まったこの能力は、徐々に本領を発揮し始めていました。エロパワー恐るべし!!

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