アルファベに帰る
数日間、イロハ・ラ・ムーの屋敷で暮らした勇者アカサタと女勇者ハマヤラは、元いた街へと帰るコトにしました。
元々住んでいたのは、アルファベ国の首都アルファベです。
帰り際、伝説の画商イロハ・ラ・ムーが屋敷の門の所まで来て、見送ってくれます。
「いや~、楽しかったよ。また来てくれたまえ」
「もちろん!また、芸術について語り合いましょう!」
そう言って、勇者アカサタは右手を差し出しました。そうして、2人はガッチリと熱い握手を交わします。
「そうそう、君らも、なんらかの美術品が見つかったら、私の所に持ってきてくれたまえ。価値のある作品ならば、私が高く買い取ろう」
イロハ・ラ・ムーに、そう伝えられ、2人は別れを告げました。
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街の宿屋の前に、商人と傭兵のグループが立っています。
商人の1人が、勇者アカサタと女勇者ハマヤラに、こう話しかけてきました。
「私らは、残った商品を売りさばく為に、先に進むつもりなんだよ。そこで別の商品を仕入れたりもするだろうし。どうするね?この先、一緒に行くかい?それとも、アルファベに戻るかい?この先の街道を進めば、また別の大きな街に出るが…」
傭兵のリーダーも、こう言ってくれます。
「君らは、なかなかの戦力になってくれた。次の街までは比較的安全な道のりだが、その先では危険な場所もあるだろう。いずれ、傭兵の補充をしなけりゃならなくなる。どうせだったら、君らのように顔が知れた者の方がありがたいのだが…」
女勇者ハマヤラは、勇者アカサタの顔をジッと見つめています。どうやら、アカサタの判断に従うつもりのようです。
勇者アカサタは、しばらく考えてから、こう答えました。
「1度、アルファベに帰ろうと思います。もうちょっと、あの街でやりたいコトもあるので。いずれ、一緒にお供させてもらうコトもあるでしょう。その時は、よろしくお願いします」
珍しく、丁寧な対応です。どうしたのでしょう?
「そうかい、わかった。じゃあ、またいずれ。それまで達者で暮らせよ!」
こうして2人は、商人と傭兵の一団とも別れを告げたのでした。
*
勇者アカサタと女勇者ハマヤラは、アルファベ国の首都アルファベへと、帰りの道を急ぎます。行きは大勢でしたが、帰りは2人だけです。トロールにでも出会ったら、結構大変です。戦闘は避けて、さっさと逃げ帰るつもりでいました。
道中、女勇者ハマヤラが尋ねてきます。
「あの街でやりたいコトって何よ?」
「いや~、オレもイロハ・ラ・ムーさんに出会って、いろいろと触発されてな。そろそろ、本格的に勇者らしい自覚を持たないといけないな~と思って。あの街で修業するコトに決めたのさ」
女勇者ハマヤラは、そんな勇者アカサタの言葉を疑っています。
「何だか怪しいわね~?また、よからぬコトでも考えているんじゃないの?修業するんだったら、さっきの商人のグループについていけばよかったじゃないの。そうすれば、きっと、実戦経験を積めて、レベルも上がったわよ」
「ハッハッハ!オレは、まだそんな段階にはないさ。基礎からみっちりやらないとな。その為には、敵との戦闘はまだ早い。街で、基本的な訓練からやり直しさ」
相変わらず、疑いの目で見続ける女勇者ハマヤラでありました。が、何にしてもアカサタが、やる気になってくれたのはよかったですね。




