あざなつる!
寿(ことぶき)島には、物に名前を宿すことで命を吹き込める能力を持った、『名術師』の家系、命音(みことね)一族の本家がある。そして、彼らの中でも、ずば抜けた才能を持つ二人の青年がいた。物に名前を宿すことに関しては一族の誰にも勝る『名前宿し』、命音名弦(みことね・なつる)。一族の中でも稀な、名前を奪い、魂を殺す能力を持った『名前殺し』、命音字名みことね・あざな)。しかし、この二人は顔を合わせれば殺し合いになるほど、壊滅的に仲が悪い。寿島で仕事をしながら一族のトップを狙う名弦、仕事を放り出して本土で放浪生活をする字名。全く別の道を進む彼らを本家に招集したのは、一族のトップ、命音名継(みことね・なつぐ)。三年ぶりに再会した彼らへの、名継からの『依頼』とは――?