行動の示し
翌日の夕方、夏だからかまだ日は落ちていなかった。祖父母は家でのんびりしていた。
小さめの神社、一希は一人で夏祭りを堪能していた。焼きそばや駄菓子を買ってその辺で立ち食いをしていた。
「……じいちゃんとばあちゃんに買ってこ」
そう呟き、再び歩き始めた。周りには小さい子がお面を買ったり、りんご飴を噛じったりして遊んでいる子が多かった。
強く風が吹いた。神社のすぐ隣にある木々が揺れた。その方向を見ると、そこには5、6体、あるいはもっと多く怪物がいた。2m超えの黒い怪物。静かに歩いて向かってきた。一希はその場に立ち尽くして、周りの人々はまだ気づいていなかった。
「……や、ばい。」
ゆっくり一歩ずつ、確実に近づいていた。
「っ……逃げろぉ!!」
一希は汗をかきながら、喉から絞り出すように叫んだ。そこでようやく人々は怪物を認識して、一目散に走って逃げていった。一希も逃げようとした瞬間、長く大きな風が吹いた。そして目の前に1枚の羽根が落ちてきた。
「……はぁ…最悪な時に動いたね。」
聞き馴染みのある声、振り向くとソラが空中に留まっていた。
「え!?お前!飛んで!」
「死にたい?嫌なら今すぐ――」
ソラが言葉を言い終わる前に、怪物の背後から人影がソラに襲いかかった。
「回収なんてさせねぇっ…!!」
ソラは、はばたき風を起こして追い返した。
「……その腕、関係ありだね。あいつは今どこ?」
「両者とも、落ち着いてくださいよ。」
木々の奥から平角、そしてその背中に恵美が姿を現した。
「……また天使の誕生って訳か。どういう風の吹き回しなの?大我」
「ふふっ、少々黙ってほしいですね。”回収役”さん?」
「……回収役?あぁ、なるほど……吹き込んだね。」
その隙に、一希に向かって怪物が走り始めた。
「一希、どうするかは君次第だよ。僕は構ってあげないから。」
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親父はちょっとグレーめな普通の会社員。母さんは俺が中学に入ってから看護師になった。俺自体、別に普通だとは思う。頭は赤点回避ギリギリの時も多いし、でも動くのは好きだから体育は得意。割と平均的な人だと自分でも思う。
家には大体1人だし、別に寂しくも悲しくもない。1人時間は結構好きだ。
今ここで逃げたらどうなる。下手したら他の人にこいつらが行っちまう…
足りねぇ頭で考えろ。今、俺に、できることを
いや、考えるのなんて無理だ。
ガラじゃねぇだろ万年赤点回避野郎!
一希は怪物に向かって走り出した。器用に怪物の間をすり抜けて己に注目させるように動いた。
「テメェらの弱点とか知らねぇし気にもなんねぇけど……時間は稼がせてもらうぜ?」




