シュウが出した条件
するとドンが一歩前に出ました。
「そんなことを言わないで、この小さな子たちの願いを叶えてあげてくれませんか?
こんな小さな体で、遠くから歩いてきたのです」
ドンの訴えに、森の住人たちは顔を見合わせ、ざわざわと話し合いを始めました。
しかしシュウは鋭く言い放ちます。
「ならぬ! そのつもりなら、この先へは一歩たりとも進ませぬ!」
ドンが青ざめたその時、黙っていたルゥが静かに口を開きました。
「ドンは、この子たちを思って言ったのです。
どうか、怒らずに……ニィたちに“森に入る条件”を教えてあげられないでしょうか?」
シュウはルゥの言葉に、しばらく黙って考え——そして頷きました。
「……よかろう。では、森に入る条件だ。
一つ、星の住む泉の星には 無理に触れぬこと。
二つ、この森にある いかなる物も持ち帰らぬこと。
三つ、ゴミなどを捨てて 森を汚さぬこと。
——どうだ? 守れるのか?」
その言葉に、チィは目を丸くしました。
「えっ……お星さま、取っちゃダメなの?」
するとルゥが優しく言いました。
「星は弱いんだ。
無理やりつかんで町へ連れていけば……星は死んでしまう。
だから、みんなで守っているんだよ」
ルゥの言葉を聞き、チィはぎゅっと考え込みました。
(星をつかむのは夢だったけど……
ぼくが連れて帰ったら、お星さま……死んじゃうの?)
そんなチィの手を、ニィがそっと握りました。
「チィ……お星さまを連れて帰るのは、やめよう」
チィはニィの手を見つめながら考えました。
(お星さまにも、トトとカカがいるかもしれない。
ぼくのわがままで連れて帰って、寂しくて死んだら……)
チィは胸の奥がぎゅっと痛くなりました。
「ニィ……ここまで連れてきてくれたけど、ぼく……今日はこのまま帰るよ」
ニィはチィの言葉にそっと微笑みました。
チィは夜空を見上げながら続けます。
「お星さまをつかんでみたかったけど……
たぶん、つかめないで、お空でキラキラしてるから“きれい”なんだよね」
ニィの手をぎゅっと握り返して、
「それに、お星さまを連れて帰ったら……
お星さまのトトやカカ、それにニィまで悲しんじゃうよね」
ニィは優しく頷きました。
「そうだね。お星さまにも、きっと家族がいるからね」
そこへチィが満面の笑みで言いました。
「それにほら、今日はお空に星がたくさんだ!」
二人が空を見上げると——
そこにはまるで宝石箱をひっくり返したような、満天の星空が広がっていました。
「ニィ……美しい星空だね」
チィの小さな声に、ニィは優しく笑いました。
「うん。本当に美しい星空だ」
その言葉を聞いたとき、どうやら森の住人たちの気持ちは——もう決まっていたようでした。




