星が住む泉?
森の奥の小さな町に、「ニィ」と「チィ」という仲良しの兄弟猫が住んでいました。
兄のニィは、茶トラの元気いっぱいな男の子。
弟のチィは、キジトラの大人しくて、まだ小さな男の子です。
チィは毎晩、夜空のお星さまに手を伸ばしては、
「ニィ! どうしたらお星さまをつかめるの?」
と、ぴょんぴょん跳ねながら星をつかもうとします。
ニィはそんな弟を見て、いつも悩んでいました。
(どうしたら、チィにお星さまをつかませてあげられるんだろう?)
そんなある夜。
トイレに起きたニィの耳に、トトとカカの話し声が聞こえてきました。
「昨日ね、星が住む泉に行ってきたの」
カカがお茶を飲みながら、お酒を飲んでいるトトに話しかけます。
「星が住む泉? そうか。今の時期は、とてもきれいだろうね」
トトはお酒の入ったグラスを軽く揺らしながら、にこりと笑いました。
「ええ。まるで湖が満天の星空みたいで、とてもきれいでしたよ」
思い出して語るカカの声に、ニィは思わず耳をぴんと立てました。
ずっとチィに星をつかませてあげたいと思っていたのです。
(湖に満天の星空……?
“星が住む泉”に行けば、チィに星をつかませてあげられるかもしれない!)
そう考えたニィは、チィが“星が住む泉”で星をつかんで、
幸せそうに笑っている姿を思い浮かべました。
想像しただけで胸がぽかぽかと温かくなります。
(明日、チィを連れて“星が住む泉”に行こう!)
そう決めると、ニィはわくわくした気持ちのまま布団に潜り込みました。
(もしチィが星をつかめたら、どんなに喜ぶだろう)
嬉しくて嬉しくて、ニィは思わず笑ってしまいます。
明日、トトにもカカにもナイショで、チィと一緒に“星が住む泉”へ行こう。
大丈夫、明るいうちに帰ってくればバレないはず。
それに、お弁当はチィの大好きなサンドウィッチにしよう。
そう考えると、ニィの胸はさらに躍りました。
その夜、ニィが見た夢は──
たくさんの星をつかんで、チィが幸せそうに笑っている夢でした。




