ポイント
「1ナフタ(1N)が100タフタ(100T)。で1タフタが100サフタ(100S)ね。」
そう言うと、いっくんが別の硬貨を手のひらに乗せて見せてくる。
あたしの世界でいう、アメリカのセントみたいなものかしら。1000単位じゃないんだ。
「ポイントの額はこちらで確認できますよ。」
そういって、ラムさんが宙に浮かぶ映像のポイントのボタンを指さす。
・・・ってあれ?今気づいたけど。
「あたし文字が読めてる!」
「トランスレーター着けてるからね。」
「ええ、これ耳に着けてるだけなのに。すご。」
そう言いながらポイントのボタンを押した。
『29560ポイント』と宙に浮かぶ映像に表示される。
「・・・え?」
「・・・うそだろカエデ。」
二人が驚いた顔をしている。
「ポイント?ふふん。すごいでしょ?小学生の時から貯めてるの。
普段のお買い物も、公共料金の支払いも、家電買う時だってポイント付くお店でしか買ってこなかったんだからね。
極力ポイント2倍デーとか3倍デーとか狙って行ってたんだから!」
プリンセスあたし、唯一の自慢ポイントだから誇らしげに言ってみたものの、冷静になって考えるとなんてがめついんだろう。
これじゃプリンセスあたしじゃなくて、モラルレスあたしじゃん。まあこの趣味辞めるつもり無いけど。
「だって29560ポイントって・・・、カエデわかってる?」
「え?」
「昨日カエデが買った水、あれが1T、つまり100Sだよ?ちゃんと見てた?俺お釣りもらってたでしょ?」
「えーっと、1Nをいっくんが渡したんだから、お釣りは99T?」
「そう。」
「それで、えーっと1Nが1ポイントだったっけ?」
「はい、そうです。」
「っていうことは、29560ポイント=29560N=2956000T=295600000S?」
「そうだよ。」
「う~ん。いまいちピンとこない。」
「カムニアの上級学校卒業者のひと月の初任給が、大体20Nつまり20ポイントです。」
「ふむふむ。」
ということは、20Nがざっくり日本でいう20万ぐらいかな。意外と分かりやすい。
29560ポイントだから29560万か。
・・・。
「えええええええええええええええええええええええ!」
3!?億!?円!?
噓でしょ?
3億円って一生働いて手に入るかどうかって聞いたことあるよ?
というかそもそも3億も稼げるか怪しいって聞いたことあるよ?
億とか、宝くじとメジャーリーガーの年棒でしか見たことないよ?
カードを持つ手がプルプルと震えだす。
「ちょっとカエデ、大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫。ちょっとし、振動して、脂肪燃焼効果を高めてるだけ。
お姉さん最近二の腕の辺りが気になってたから。触ってみる?」
「大丈夫じゃなさそうですね。カエデさんゆっくりと深呼吸してください。」




